米国とカナダの貿易摩擦(2017/04/26)
トランプ米大統領の米国第一主義に押され、隣国カナダとの貿易関係がこじれ始めている。就任100日を前にトランプ大統領は米国農家を支援するため農務省に特別部会を設置する大統領令に署名した。26番目となる大統領令は農務長官にパーデュー氏が就任した数時間後のことだった。カナダが乳製品原料の輸入に関税をかけたことで、米国ウィスコンシン州などの農業州の酪農品が売れずに打撃を受けているという。一方米国は、カナダ産木材の輸入に最大24%の関税を適用する事を発表。ロス商務省長官は、「良き隣人がルールに従うとは限らない。カナダとの材木や乳製品をめぐる貿易摩擦は北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉が必要なことの表れである」等と述べ、カナダと米国の貿易交渉が激しさを増すと見られる。
カナダ政府は、カナダへの米国産乳製品の輸入が大幅に上回っており米国に有利な点、またカナダ産木材の輸入に関税を適用すれば建築材の高騰で米国消費者への打撃が大きい点などを挙げ米国の強硬姿勢に対応する構えでいる。
4月25日付米国
『USAトゥデイ』は「カナダに強硬姿勢:トランプが地方おこしの大統領令に署名」との見出しで以下のように報道している。
「トランプ大統領は、地方農家の競争力強化のための大統領令に署名した。ホワイトハウスでの署名の際、農業関係者に、「米国の国境州は畜産品が売れず困っており、これ以上我慢ならない。」と述べた。
この大統領令もトランプのこれまでの慣例どうり、特別委員会を設置し、180日以内の報告書提出を促し規制緩和を促すもので、農務長官のサニー・パデュー氏を特別委員会の委員長に指名した。...
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4月25日付米国
『USAトゥデイ』は「カナダに強硬姿勢:トランプが地方おこしの大統領令に署名」との見出しで以下のように報道している。
「トランプ大統領は、地方農家の競争力強化のための大統領令に署名した。ホワイトハウスでの署名の際、農業関係者に、「米国の国境州は畜産品が売れず困っており、これ以上我慢ならない。」と述べた。
この大統領令もトランプのこれまでの慣例どうり、特別委員会を設置し、180日以内の報告書提出を促し規制緩和を促すもので、農務長官のサニー・パデュー氏を特別委員会の委員長に指名した。
商務省がカナダ輸入材木に最大24%の懲罰的関税を発表したタイミングと重なったこの大統領令。カナダが米国にひどい仕打ちをしてきたのを理解していない。皆カナダは素晴らしく礼儀正しいと勘違いしている。私はカナダが好きだが、ずっと米国の政治家はカナダに出し抜かれてきた。米国農家は政府の支援を受ける権利がある。」と農業関係者に述べている。
今回の大統領令は26番目で、就任100日目も迎える今週は他にも保護地区、退役軍人、エネルギー関連の大統領令が予定されている。」
4月24日付米国
『デイリーコーラー』は「トランプが農業問題に対処する新たな大統領令」との見出しで以下のように報道している。
「農業特別委員会設置の大統領令は、指名から3ヶ月を経て上院で圧倒的多数で承認されたパデュー農務長官就任の数時間後に署名された。
この大統領令により、オバマ政権時代2011年に設置されたの「農村評議会」は閉会となる。トランプ政権によると、「これ(評議会)は高尚な目的をもっていたが非正規で米国農村の経済成長に特化するものでなかった」という。対してトランプのタスクフォースは農務省外の機関への提案を行うもので、環境保護庁などの機関の規制に悩まされている米国農家を支援するものだという。オバマ政権はブロードバンド普及などの農村のインフラ整備をしたが、トランプ政権は経済支援で最も効果的な農業そのものに焦点をあて雇用創出を促す策をとるのだという。
NAFTAを撤退するというトランプの貿易政策を不安視する農業団体もあるが、月曜トランプ大統領はカナダの木材に20%の関税を課すと発表した。同氏は カナダの「不公平」な貿易に苦言を示してきたが、特にカナダ政府が限外ろ過乳(チーズなどの加工乳生産を効率化する)の国内生産者を保護する関税を課したことで米国農家の生産が落ちていることへの不満をあらわにしている。」
4月25日付カナダ
『ハフィントンポスト・カナダ』は「米加貿易交渉劇が泥沼化する中、NAFTA交渉に言及」との見出しで以下のように報道している。
「トランプ米大統領は近日NAFTA交渉に関しカナダへの不平を並べている。当初より拡大した乳製品や木材、医薬品特許までもが交渉対象となるだろう。
ロス米商務相は、複数メディアに対し「木材や乳製品での貿易摩擦はNAFTAが機能していないことの表れだ」と述べた。何故隣国カナダをやり玉に挙げるのか聞かれロス氏は、「普段は良い隣人だが、彼らがルールに従っているとは必ずしも言えない」と述べた。
カナダ政府は、米国との交渉で以下の点で反論しようと試みている。「乳製品」に関しては、米国に俄然有利なシステムとなっており、米国からの(カナダへの)輸入が年間5.5億ドル。一方輸出は1.1億ドルのみ。
またカナダ産木材の輸入に関税をかければ、米国消費者への打撃が大きく、木材価格の高騰により平均的な家の建築費が3600ドルも上昇するという。」
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共和党大会でクルーズ氏が13票のうち10票を獲得(2016/05/02)
米大統領予備選挙で、民主党はクリントン氏が勢いを増している。他方、共和党もトランプ氏が世界が首をかしげる中、着実に指名獲得へコマを進めている。そんな中、4月30日にヴァージニア州で行われた党大会において、クルーズ氏が13の代議員のうち、10を獲得したことが明らかになった。共和党内では、クルーズ氏とケーシック氏がこの先の予備選で協力することを互いに約束するなど、トランプ氏の一人勝ちを阻止するための策が練られている。今回の代議員選出の結果が今後の指名獲得に影響を及ぼすのか、各メディアは以下のように報じている。
4月30日付
『ABCニュース』(米)は、トランプ氏が3月にヴァージニア州で行われたスーパーチューズデーで勝利していただけに、トランプ氏の支持者は今回の結果に怒りを感じるだろうと報じている。予備選挙の段階ではトランプ氏を支持する代議員が多数だったにもかかわらず、今回の党員集会ではトランプ氏ではなくクルーズ氏を支持する代議員が増えたということになる。
この点に関して、クルーズ氏の代理人であるクチネリ氏は前回ヴァージニア州で行われた投票では、トランプ氏は投票総数の38%しか獲得しておらず、今回の結果は驚くに値しないとコメントしている。...
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4月30日付
『ABCニュース』(米)は、トランプ氏が3月にヴァージニア州で行われたスーパーチューズデーで勝利していただけに、トランプ氏の支持者は今回の結果に怒りを感じるだろうと報じている。予備選挙の段階ではトランプ氏を支持する代議員が多数だったにもかかわらず、今回の党員集会ではトランプ氏ではなくクルーズ氏を支持する代議員が増えたということになる。
この点に関して、クルーズ氏の代理人であるクチネリ氏は前回ヴァージニア州で行われた投票では、トランプ氏は投票総数の38%しか獲得しておらず、今回の結果は驚くに値しないとコメントしている。「確実に大統領選で勝利するためには、まず党内が団結することが必要であり、今回は代議員らが熟考した結果である。今回のような草の根の運動が全米に広がることを期待している」。さらにクチネリ氏は、今回の党大会で13対0でクルーズ氏勝利というシナリオもあり得たとする。それにもかかわらず今回の10対3という結果に至ったのは、トランプ氏を支持する有権者との融和を図るためであり、これにより党内が分裂するのを防ぐためだとする。
ただ、これに対してはトランプ氏を支持する代議員からは、トランプ氏はもうすでに1002の票を獲得しており、トランプ氏が共和党の大統領候補に指名されることはほぼ確実との声も上がっている。
同日付
『デイリーコーラー』(米)では、トランプ氏が共和党から大統領候補としての指名を受けるには7月に行われる党大会の第一回の投票で1237票を獲得する必要があり、クルーズ氏やケーシック氏はこれを何としても阻止しようと躍起になっていると報じる。初回の投票で1237票が集まらない場合は共和党内の協議により大統領候補者を決めるため、この手続きに望みを託そうというわけである。
同日付
『NYSEポスト』(米)も、トランプ氏が大統領候補者に指名された場合、大統領選で民主党に敗れるのは必至であり、さらには上院、下院ともに議席を大幅に失う恐れすらあると危惧する声が共和党内からも上がっていると報じる。
同日付
『アルジャジーラ』(カタール)によると、トランプ氏の止まらぬ勢いを何とか阻止しようと、アメリカ国内でヒスパニック系移民がアメリカ市民権を獲得する動きが活発になっているという。共和党の大統領候補者指名はこれからまだまだ熱くなっていきそうだ。
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