米共和党タカ派下院議員、米国開催のAPEC首脳会議に台湾総統の出席を可能とする決議案提出【米メディア】(2023/10/06)
アジア太平洋経済協力会議(APEC、注後記)は1993年以降、毎年持ち回りで首脳会議を開催している。ただ、1991年に中国及び台湾が参加することになった際、中国の圧力もあってか、「台湾からの首脳会議への参加者を経済閣僚か財界指導者に限定する」との慣例が確立され明文化されている。そこでこの程、米共和党タカ派下院議員らが、中国敵視の一環で、米国が議長国となる2023年首脳会議はもとより、将来米国が主催する同会議に台湾総統の出席を可能とする決議案を議会に提出した。
10月4日付
『ザ・デイリィ・コーラー(DC)』オンラインニュース(2010年設立の保守系メディア)は、共和党下院議員が、今年11月にサンフランシスコで開催されるAPEC首脳会議に、議長国権限で台湾総統の出席を可能とする決議案を議会に提出したと報じた。
第30回APEC首脳会議が、今年11月中旬にサンフランシスコで開催される。
これまで台湾は、1991年APEC参加時の中国との政治関係の影響を受けて、慣例で第1回以降の首脳会議に総統を送ることができず、閣僚級か財界指導者しか参加できなかった。...
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10月4日付
『ザ・デイリィ・コーラー(DC)』オンラインニュース(2010年設立の保守系メディア)は、共和党下院議員が、今年11月にサンフランシスコで開催されるAPEC首脳会議に、議長国権限で台湾総統の出席を可能とする決議案を議会に提出したと報じた。
第30回APEC首脳会議が、今年11月中旬にサンフランシスコで開催される。
これまで台湾は、1991年APEC参加時の中国との政治関係の影響を受けて、慣例で第1回以降の首脳会議に総統を送ることができず、閣僚級か財界指導者しか参加できなかった。
そこで、中国との対峙を強硬に主張する共和党タカ派の下院議員らがこの程、議長国権限で、今回の会議を含めて、今後米国で開催されるAPEC首脳会議に台湾総統の出席を可能とする決議案を議会に提出した。
『DC』が入手した詳細情報によると、ランス・グッデン議員(40歳、テキサス州選出、2019年初当選)、アンディ・ビッグス議員(64歳、アリゾナ州選出、2017年初当選)、トム・ティファニー議員(65歳、ウィスコンシン州選出、2020年就任)、バージェス・オーウェン議員(72歳、ユタ州選出、2021年初当選)他11人のタカ派議員が提出したものである。
グッデン議員は今年4月、『ウォールストリート・ジャーナル』紙に寄稿して、“1991年に中国と台湾がAPECに初参加した際、中国への譲歩として、台湾総統を出席させることが認められてこなかった”とし、“代わりに閣僚級か財界指導者しか送れなかった”との経緯を説明した。
同議員は同時期、他の20人の同僚議員との連名で、ジョー・バイデン大統領(80歳、2021年就任)に宛てて書簡を出し、“2023年11月12日の週にサンフランシスコでAPEC首脳会議を主催するに当たって、蔡英文総統(ツァイ・インウェン、67歳、2016年就任)宛に正式招待する旨の書簡を出す”よう強力に求めている。
更に同書簡では、“このまま中国共産党政府の求めに従って、台湾総統をAPEC首脳会議に参加させないままとすることは、中国側に間違ったメッセージを送ることになるだけでなく、あたかも中国との二国間外交上、中国におもねっていると捉えられてしまう”と言及されている。
なお、今年11月のAPEC首脳会議のテーマは、“全参加者にとって弾力性がありかつ持続可能な将来を築き上げること”とされていて、『ロイター通信』報道によると、この機会にバイデン大統領と習近平国家主席(シー・チンピン、70歳、2012年就任)が首脳会談を持つとされている。
一方、バイロン・ドナルズ下院議員(44歳、フロリダ州選出共和党員、2021年初当選)が今年9月、“中国共産党政府による抑圧の典型であるので、米国省庁が台湾を「チャイニーズ・タイペイ」と呼称するのを禁ずる”との法案を提出している。
(注)APEC:1989年に豪州のボブ・ホーク首相(1983~1991年在任)の提唱で発足した、アジア太平洋地域の21ヵ国・地域が参加する経済協力枠組み。開かれた地域協力によって経済のブロック化を抑え、域内の貿易・投資の自由化を通じて、世界貿易機関(WTO、1995年設立)の下での多角的自由貿易体制を維持・発展させることを目的とする。首脳会議、外相・経済担当相による閣僚会議を各々年1回開催。シンガポールに常設事務局設置。
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米国務長官、訪中成果を上げるためか従前の中国批判姿勢から大きく後退【米メディア】(2023/06/20)
米国務長官が5年振りに訪中した。中国外相のみならず、国家主席との面会まで漕ぎ着け、米中高官レベルの対話継続という一定程度の成果は得られた。ただ、今年初めの中国製偵察気球飛翔問題で2月の訪中を取り止める程対中批判の声を上げていたが、今回の訪中に当たって“水に流す”と発言する等、かなり譲歩している。
6月19日付
『ザ・デイリィ・コーラー』オンラインニュース、
『NBCニュース』、
『Foxニュース』は、訪中した国務長官が、今年1月発生の中国製偵察気球米本土飛翔問題について“水に流した”と発言したばかりか、中国側要求に沿って“台湾独立に反対”との意見表明を行ったと報じている。
アントニー・ブリンケン国務長官(61歳、2021年就任)は6月19日、今年初めに発生した中国製偵察気球の米本土飛翔問題について、“水に流した”と発言した。...
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6月19日付
『ザ・デイリィ・コーラー』オンラインニュース、
『NBCニュース』、
『Foxニュース』は、訪中した国務長官が、今年1月発生の中国製偵察気球米本土飛翔問題について“水に流した”と発言したばかりか、中国側要求に沿って“台湾独立に反対”との意見表明を行ったと報じている。
アントニー・ブリンケン国務長官(61歳、2021年就任)は6月19日、今年初めに発生した中国製偵察気球の米本土飛翔問題について、“水に流した”と発言した。
米国務長官として5年振りの訪中を果たしたブリンケン氏が、『NBCニュース』のジャニス・マッキー・フレイヤ―北京特派員(53歳)のインタビューに答えたもので、同長官は、“その問題は終了させるべきだ”と言及している。
同長官の訪中は元々2月に予定されていたが、上記偵察気球問題で中止されていた。
国務省は当時、米中高官が直接会談して有意義な成果を上げるには“時期が悪い”と表明している。
その上、同国務長官のみならずジョー・バイデン大統領(80歳、2021年就任)も、当該事態は目に余る米主権侵害だと非難していた。
しかしながら、今回訪中した同長官は、習近平国家主席(シー・チンピン、70歳、2012年就任)のみならず王毅中央外事工作委員会弁公室主任(ワン・イー、69歳、外交部門トップ)に対しても大変慇懃の姿勢を示していた。
更に同長官は、王氏との会談で強く求められたことから、“台湾の独立に反対”である旨返答した程である。
ただ、その後に続く会見では、“中台どちらに対しても、如何なる一方的な現状変更に反対する姿勢に変更はない”とした上で、“台湾自身が自衛手段を尽くすことに関し、「台湾関係法(注後記)」に規定された対応を継続する”と強調している。
(注)台湾関係法:台湾の安全保障のための規定を含む米国内法。同法は、カーター政権(1977~1981年)による台湾との米華相互防衛条約の終了に伴って1979年に制定。台湾を防衛するための軍事行動の選択肢を米国大統領に認める。但し、米軍の介入は義務ではなく権利であるため、同法は米国による台湾への軍事介入を保障するものではない。
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