国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は14 日、米ワシントンのカーネギー国際平和財団の講演で、ロシアのウクライナ戦争が世界のほとんどの国の経済見通しを弱めていると警告し、高いインフレは世界経済にとって「明確かつ目の前にある危険」だと述べた。
『ロイター通信』とドイツ週刊誌
『シュピーゲル』によると、IMFは2022年と2023年の世界経済成長率の予測を下方修正することを明らかにした。ロシアのウクライナ戦争によって食糧とエネルギー価格が上昇し、すでに脆弱な経済に圧力がかかっている。ゲオルギエワ専務理事は、世界は「非常に危険な時期」にあると警告している。また、ほとんどの国がプラス成長を維持するものの、世界経済生産の86%を占める143カ国の経済成長見通しを下方修正すると述べた。
ゲオルギエワ専務理事は、「今日、私たちが直面していることの根本的な原因は戦争であり、戦争こそ終わらせなければならない」と述べ、「経済的には、成長率は低下し、インフレが進行している。人で言えば、人々の所得は減り、苦難が増している」と語った。そして、インフレが、以前の予想よりも長く高止まりする見通しを明らかにした。
ゲオルギエワ専務理事はまた、世界経済の成長率について「戦争とその影響のため、見通しは大幅に悪化している。さらにインフレ、金融引き締め、世界のサプライチェーンに新たな混乱をもたらしている中国での頻繁で広範囲なロックダウンなどが、(世界経済の)重荷になっている」と述べた。その上で、貿易や技術、決済システム、基軸通貨などの基準が異なる、競合するシステムが出現する恐れをもたらす世界経済の分断化は、第二次世界大戦後に設立されたIMFや世界銀行などの機関が統治する米国主導の経済秩序に対する最大の脅威であると警告した。「このような地殻変動が起きれば、痛みを伴う調整コストが発生する。サプライチェーン、研究開発、生産ネットワークが破壊され、再構築が必要になるだろう。貧しい国や貧しい人々が、このような混乱の矢面に立たされることになる」と語った。
そして、「ヨーロッパの戦争がアフリカの飢餓を引き起こし、パンデミックが数日で世界を一周して何年も長引き、ある国で排出されたものが海全体の上昇を引き起こすような世界では、グローバルな協力関係が崩壊し、集団繁栄に対する脅威となることは誇張されてはならない」と述べた一方で、「複雑だからといって不可能なわけではない。冷戦終結後の統合により、世界経済規模が3倍になり、約13億人の貧困が大幅に削減された」と指摘した。
厳しい世界情勢が続く中、IMFは、5月1日付で新たな基金「レジリエンス・サステナビリティー・トラスト」を創設することを発表した。仏『レゼコー』によると、この基金は、「低所得国や脆弱な中所得国が、気候変動やパンデミックなど、マクロ経済上のリスクをもたらす長期的な構造的課題に取り組むのを支援する」ことを目的としており、資源目標は少なくとも450億ドル(約5兆6853億円)だという。
この新しい基金は、「国際収支上のリスク管理の支援のために、20年の償還期間と10年半の猶予期間」という、より長期の手頃な資金調達を提供する。加盟国の4分の3が利用可能となる。
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ドイツの憲法裁判所が、過去の事件の殺人犯が、インターネットで事件を検索した際に検索結果に自分の名前が出てこないようにする権利を認めたという。インターネットの検索エンジン表示をめぐっては、情報を得たいという公共の利益か忘れられたいというプライバシー保護かの間で、しばしば裁判が起きている。
11月27日付英国
『BBC』は「ドイツの殺人犯が“忘れられる権利”を勝ち取る」との見出しで以下のように報道している。
ドイツ最高裁の判決により、1982年に殺人罪で有罪判決を受けたドイツ人男性が、インターネットの検索サイトで自分の名前を検索結果から削除する権利を勝ち取った。カールスルーエの憲法裁判所は、ヨットで2人を殺害し終身刑となっていた男に有利な判決を下した。男は2002年に釈放され、犯罪歴と名字の関連性をなくしたいと主張。...
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11月27日付英国
『BBC』は「ドイツの殺人犯が“忘れられる権利”を勝ち取る」との見出しで以下のように報道している。
ドイツ最高裁の判決により、1982年に殺人罪で有罪判決を受けたドイツ人男性が、インターネットの検索サイトで自分の名前を検索結果から削除する権利を勝ち取った。カールスルーエの憲法裁判所は、ヨットで2人を殺害し終身刑となっていた男に有利な判決を下した。男は2002年に釈放され、犯罪歴と名字の関連性をなくしたいと主張。出版社がネット上でアクセスすることが制限されることとなる。
当時カリブ海を石油タンカーで航海中、二名を射殺し1人を重傷を負わせた。この事件に関する本やTVドキュメンタリーが制作されている。1999年、雑誌「デア・シュピーゲル 」(Der Spiegel) が1982から翌年にかけ作られた男のフルネーム入りの3つの記事を同誌ホームページ上にあげた。その記事は今もグーグル検索で簡単に見つかるという。2009年男はその記事に気づき削除を求めた。裁判陳述によると、彼の「権利と人格形成能力を侵害する」として認められたのである。
2012年、最初連邦裁判所は彼のプライバシーは公共の関心や表現の自由に勝るとは言えないとして、棄却したが、憲法裁判所でその決定は覆され、連邦裁判所に戻されることとなった。
出版社はネット上に記事のアーカイブを保存できるが、要請があれば削除しなければならなくなる。「忘れられる権利」問題は賛否ある問題であり、EUとグーグル間で訴訟も起きている。
同日付ドイツ『DW』は「ドイツの最高裁が殺人犯の忘れられる権利を認める」との見出しで以下のように報道している。
ドイツの憲法裁判所が1982年に有罪判決を受けた男がネット上にある自分の名前を削除する権利を認めた。男のフルネームがネット上の大手雑誌のアーカイブに残っている。1982年におきた犯罪に関する記事が、名前検索の上位に来るため削除を求めた男の申し立てが認められたこととなる。
水曜出された声明によると、サーチエンジンが現在の犯罪についてのニュース記事を載せるのは妥当だが、時が経過すれば、加害者を突き止めようとする公共の関心は薄れるものだとの判断が成されたという。
1982年、当事件はドイツで大ニュースとなった。タンカー船がカリブ海を航海中、船上で乗組員のもめごとが起き、男が複数名を殺傷した。当時40代前半だった男は2002年釈放されている。
事件は2004年に本や民放番組(ARD)で取り上げられるほど有名になり、1999年雑誌「デア・シュピーゲル 」(Der Spiegel) が過去に作成した彼の名前を含む記事をホームページ上にあげた。その記事は今もグーグル検索で簡単に見つかるという。
弁護士や報道の自由提唱者は、今回の決定を歓迎。個人弁護士は、特殊な重罪事件のような場合でも、犯人は社会の中で、忘れられ新たなチャンスを得る権利があるとする。
ネット検索エンジンを巡るプライバシーの権利と情報を得る自由とのバランスは、ドイツや欧州でしばしば裁判沙汰となっている。4月には、欧州司法裁判所がEU法の下では、EU圏外の国の要請により、検索結果を削除する必要がないとの判決を下し、グーグルが勝訴。フランスのデータ監視当局CNIL(情報と自由に関する国家委員会)が、ネットサーチ結果から機密情報を削除する事を拒否したことで、グーグルに2016年罰金を科したこともあった。ドイツの憲法裁判所は、EU法は合法だが、この件では、ドイツ国民の憲法上の権利を守る義務があると判断した。
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