新型コロナウィルス、イスラエル企業が経口ワクチンの臨床試験を開始予定(2021/08/02)
イスラエルのOravax Medical社が、新型コロナウィルスの経口ワクチンの臨床試験の開始に向けて準備を進めている。イスラエルで試験を実施した後、世界各地の臨床施設で実施する予定であることが発表された。現在、イスラエル保健省の承認を待ちとなっている。
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『エルサレムポスト』によると、イスラエル企業Oravax Medical社は、テルアビブにある、イスラエル最大の救急治療センターであるソウラスキー医療センターで、同病院の倫理委員会から試験プロトコルの承認を得て、ワクチンの臨床試験を開始する準備を進めている。現在、イスラエル保健省からの許可を待っており、数週間以内に承認される見通しとなっている。Oravax社は、イスラエルでの臨床試験に使用する数千個のカプセルの製造をヨーロッパで既に完了しており、その後他の国でも使用できる準備を進めている。...
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『エルサレムポスト』によると、イスラエル企業Oravax Medical社は、テルアビブにある、イスラエル最大の救急治療センターであるソウラスキー医療センターで、同病院の倫理委員会から試験プロトコルの承認を得て、ワクチンの臨床試験を開始する準備を進めている。現在、イスラエル保健省からの許可を待っており、数週間以内に承認される見通しとなっている。Oravax社は、イスラエルでの臨床試験に使用する数千個のカプセルの製造をヨーロッパで既に完了しており、その後他の国でも使用できる準備を進めている。
親会社のOramed社は、エルサレムのハダサー大学医療センターで開発された技術をベースにした、経口投与専門の製薬会社である。今年3月、インドのPremas Biotech社との間で、新しい経口ワクチンの開発を目的とした合弁事業として、Oravax社の設立を発表した。新しい経口ワクチンは、Oramed社の「POD」と呼ばれる経口投与の技術と、Premas社のワクチン技術を基に開発された。
新しい経口ワクチンは、新型コロナウィルスの3つの構造タンパク質を標的としており、現在のモデルナ社やファイザー社の、スパイクタンパク質1つを標的としているワクチンとは対照的だという。
Oramed社のナダブ・キドロンCEOは、「このワクチンは、変異ウィルスに対して、より強い耐性を持っているはずです。ウィルスが1つのたんぱく質を通過しても、2つ目のタンパク質があり、2つ目のタンパク質を通過しても、3つ目がある。このワクチンは、デルタ型を含む新型コロナウィルスの変異株に対して非臨床試験が行われている」と述べている。
仏『BFMTV』は、ワクチン接種を完了しているのは世界人口の15%に過ぎず、パンデミックとの戦いはまだ終わっていない中、経口ワクチンは、ワクチン接種を幅広く展開していく上で、開発途上国にとって特に魅力的であると述べている。
また、予防接種を受けようとしない理由の1つに、注射に対する恐怖心もあるため、ワクチン接種が進んでいる国において接種にさらに弾みがつく可能性がある。最近の調査によると、ワクチン接種を望まない1900万人近くのアメリカ人は、もし錠剤の選択肢があれば服用すると答えている。
さらにワクチンが錠剤になれば、プラスチックの廃棄物が少なく、副作用が少ないというメリットもある。
ただし、錠剤の場合、有効成分が消化器官を通過する際に生き残れない傾向があるため、これまで経口ワクチンが成功した例はほとんどない。例外的に、口や消化器官を介して感染する病気のワクチンとして有効な、経口ポリオワクチンがあげられる。
2006年に設立されたOramed社は、これまで消化器系の強酸性環境に耐えうる「経口インスリン」を投与するための技術を開発してきた。同社は、同じ技術を用いてコロナワクチンを開発した。
キドロンCEOは、現行のワクチンを十分に購入出来ていない発展途上国で、まずこのワクチンの使用を期待しているという。同氏は「これが成功すれば、将来の経口ワクチンにも期待が持てます。想像してみてください。インフルエンザワクチンが郵便で届き、それを摂取して終わりになるのです」と述べている。
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イスラエル、兵士を見えなくする新カモフラージュ技術を開発(2021/06/28)
イスラエルの軍事製品メーカーであるポラリス・ソリューションズ社が、兵士が暗視装置でも「見つからない 」ようにする新しいカモフラージュシートを発表した。
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『エルサレムポスト』によると、ポラリス・ソリューションズがイスラエル国防省と共同で開発した迷彩シート「キット300」は、金属、ポリマー、マイクロファイバーで構成された熱感知センサーを欺くことのできる素材でできているという。
軽量で、小さくまるめて持ち運びできるこのシートは、それを被ることで肉眼でも赤外線カメラでも発見を困難にしてくれる。様々な軍事的状況の中で、敵を監視する際に使用されるために開発された。...
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『エルサレムポスト』によると、ポラリス・ソリューションズがイスラエル国防省と共同で開発した迷彩シート「キット300」は、金属、ポリマー、マイクロファイバーで構成された熱感知センサーを欺くことのできる素材でできているという。
軽量で、小さくまるめて持ち運びできるこのシートは、それを被ることで肉眼でも赤外線カメラでも発見を困難にしてくれる。様々な軍事的状況の中で、敵を監視する際に使用されるために開発された。
ポラリス・ソリューションズによると、同社の迷彩シートのようなものは現在市場に存在しないという。同社の共同設立者兼CEOであるアサフ・ピチオット氏は、「我々が知る限り、世界中の軍隊を見た限り、我々の開発は非常にユニークだ」と述べており、世界の多くの国で特許登録を行ったという。
この技術のアイデアは、第二次レバノン戦争中の2006年に生まれた。当時、イスラエル国防軍の特殊部隊に所属していたピチオット氏は、地上の兵士が敵の赤外線カメラや暗視装置からより保護される必要があることを肌で感じた。そして、「敵よりも優れていなければならない中、生存率の点で向上が必要であることを認識した」という。数年後の2010年にポラリス・ソリューションズが設立され、現在は、特殊部隊の訓練を受けた元イスラエル軍兵士数名が専門知識を提供しており、丈夫で耐久性に優れたさまざまな軍事用繊維製品や特許取得済みの軍事製品を製造している。
迷彩シート「キット300」は、草木が生い茂る風景又は、砂漠のような風景に馴染む2通りのシートが用意されている。しかし、顧客のニーズや地域に応じて、パターンやカラーリングをカスタマイズすることも可能だ。丈夫な素材でできており、立体的な形状に成形したり、コンパクトにまるめたりして持ち運ぶことができる。また、防水性で、シェルターや戦場で負傷した兵士を運ぶための担架として使用することもできる。
米『ビジネス・インサイダー』によると、迷彩シートはイスラエル国防軍でテストされ、その後、調達計画に追加されたという。現在ポラリス・ソリューションズは、イスラエルの国防とだけでなく、カナダとアメリカの特殊部隊を含む海外の政府機関とも協力している。
米『ジューイッシュ・ジャーナル』によると、最近では他の技術革新企業もステルス素材の分野で画期的な開発を進めている。カナダの軍服メーカーであるハイパーステルス・バイオテクノロジー・コーポレーションが昨年、人を見えなくする光を放つ素材「クアンタム・ステルス」を発表した。同社はこの発明を「ブロードバンド透明マント」と呼んでいるが、現段階ではまだ、見る角度や距離によって消え方が大きく変わる。
かつてはSFやファンタジーの世界だった透明人間が、現実味を帯びてきたが、製品化できるだけの「確かな技術」を開発するには、5年から10年はかかるだろうとピチョット氏は述べている。
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