ロシアがナゴルノ・カラバフにシリアとリビアの戦闘員が存在することを非難(2020/10/01)
アルメニアとアゼルバイジャンの間で、アゼルバイジャン西部のナゴルノ・カラバフ自治州を巡って戦闘がエスカレートしている。両国は、4日間で100人近くの命が奪われた戦闘について、お互いを非難し続けている。もともとロシア、トルコ、イランなどの大国が競争しあっている地域でもあるため、戦闘の国際化が懸念されている。
『ルモンド』によると、ロシアは9月30日、アゼルバイジャン軍と親アルメニア分離主義者との激しい戦闘が繰り広げられている地域に、非合法な武装グループに属するシリアとリビアの戦闘員が派遣されていると発表した。ロシアは、紛争に関与する国々に対し、「外国のテロリストや傭兵」の雇用を避けるよう促し、「緊張のエスカレートにつながる可能性のある手段について深い懸念」を表明した。
シリアの反政府勢力に近い2つの情報筋は、トルコがアゼルバイジャン軍を支援するために反政府戦闘員を派遣したとロイター通信に語っている。...
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『ルモンド』によると、ロシアは9月30日、アゼルバイジャン軍と親アルメニア分離主義者との激しい戦闘が繰り広げられている地域に、非合法な武装グループに属するシリアとリビアの戦闘員が派遣されていると発表した。ロシアは、紛争に関与する国々に対し、「外国のテロリストや傭兵」の雇用を避けるよう促し、「緊張のエスカレートにつながる可能性のある手段について深い懸念」を表明した。
シリアの反政府勢力に近い2つの情報筋は、トルコがアゼルバイジャン軍を支援するために反政府戦闘員を派遣したとロイター通信に語っている。9月28日付英紙ガーディアンの調査によると、シリアの反政府勢力は、トルコの民間警備会社に雇われてアゼルバイジャンに参加していたという。
シリア人権監視団も9月27日、シリアでトルコ支援の戦闘員がアゼルバイジャン軍と並んで戦うために配備されていたことを確認している。
この紛争に関係する大国の中で、唯一停戦を要求していない国がトルコである。それどころか、アゼルバイジャンの同盟国がカラバフの支配権を武力で奪還することを奨励し、「占領地を回復し、国際法に基づく権利と利益を守る」ことを支援する決意を表明している。
モスクワは29日、トルコが当局に対し「火に油をそそぐ」ことを控え、平和のために働くように呼びかけたが、アゼルバイジャンとアルメニア人が多数住むナゴルノ・カラバフ地域の軍との間では激しい戦闘が続いており、外交関係の緊張が高まってきている。
イスラエル日刊紙『エルサレムポスト』は、トルコがシリア人を利用しようと画策している証拠が増えてきていると報じている。
そして、アゼルバイジャンに送られたシリア戦闘員の多くはシリア政権と戦うことを望んでいた貧しい難民であり、トルコがアゼルバイジャン・アルメニア紛争を乗っ取る試みの一環として利用されていると伝えている。
『エルサレムポスト』によると、トルコはアゼルバイジャンの緊密な同盟国であると主張しているが、リビアやシリアのアフリンで行ったのと同様に、アゼルバイジャンにもシリア戦闘員を投棄したいと考えており、トルコの影響力を行使しながら、歴史的敵対国アルメニアを倒そうとしている。
トルコは過去数年間、自由シリア軍のシリア人戦闘員をトルコ支援の戦闘勢力に変え、シリアのクルド人民防衛隊の一部を「テロリスト」だと主張し、自由シリア軍の戦闘員を戦わせてきたという。
その後も、米国が支援するシリア民主軍(一部クルド人勢力)と戦うためにシリア人戦闘員の募集を続け、2019年12月には、リビアで戦うために彼らを武装させ、訓練し始めたという。1月から7月まで、何千人もの戦闘員をリビアに送られた。しかし、送られた戦闘員の中から、約束された数千ドルが支払われなかったとの不満の声が上がっている。そこでトルコは、行き場をなくした兵士達を今度はコーカサス地方に送り込もうとしているのではないか。
しかし『エルサレムポスト』は、今回の紛争激化で得をするのはトルコだけではないかもしれないと伝えている。ロシアもトルコ支援の反政府シリア軍をシリアから追い出すことで、ロシア支援のアサド政権が前進できる可能性が出てきていると伝えている。
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アルメニアとアゼルバイジャンの間で戦闘が激化(2020/09/29)
アルメニアとアゼルバイジャンの係争地であるナゴルノ・カラバフ自治州で、27日発生した両国軍の戦闘が激化しており、これまでに少なくとも60人の死者を出している。アルメニアの同盟国であるロシアとアゼルバイジャンの友好国であるトルコの今後の動向に注目が集まっている。
『レゼコー』によると、アゼルバイジャンはトルコの友好国であるため、トルコは27日に、「可能な限りの手段」で友好国を支援する準備が出来ていると述べている。しかし、アルメニアはロシアの伝統的な同盟国であるため、今回の戦闘は、周辺国を巻き込み拡大化する懸念がある。
トルコのエルドアン大統領は28日に、アルメニアに対し、「ナゴルノ・カラバフの占領」を終わらせるよう呼びかけ、アゼルバイジャンに対し、「自分の手で問題を解決する」よう促した。...
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『レゼコー』によると、アゼルバイジャンはトルコの友好国であるため、トルコは27日に、「可能な限りの手段」で友好国を支援する準備が出来ていると述べている。しかし、アルメニアはロシアの伝統的な同盟国であるため、今回の戦闘は、周辺国を巻き込み拡大化する懸念がある。
トルコのエルドアン大統領は28日に、アルメニアに対し、「ナゴルノ・カラバフの占領」を終わらせるよう呼びかけ、アゼルバイジャンに対し、「自分の手で問題を解決する」よう促した。トルコはこの問題でアゼルバイジャンを支援してきており、1993年以来、アルメニアとの国境を閉鎖したままにしている。
アルメニアとアゼルバイジャンの双方に武器を販売しているロシアは、シリア内戦とリビア内戦という2つの軍事紛争でトルコと敵対する立場に立ってきたが、トルコとの対立をエスカレートするのをなんとか防いできた。
NGO「国際危機グループ」の専門家Olesya Vartanyan氏は、「紛争の最前線では、互いに準備の整った陣営が、それぞれ非常に調整された行動をとっていることが目撃されている」ため、今回の衝突は、事前に計画されているかのようだと述べている。そして、主に新型肺炎のパンデミックが理由で、7 月の両国家間の軍事事件以来、国際的な調停が欠如していたことが悔やまれると述べている。
『エルサレムポスト』は、トルコ、イラン、ロシアの3ヵ国が関わってくる可能性があるため、この紛争は、中東に大きな影響を及ぼしてくるだろうと報じている。
ロシアはまだアルメニアとアゼルバイジャンの衝突には関与していないが、ロシアの同盟国であるアルメニアを敗北させることはできない。反面トルコは、シリア北部に侵攻し、イラクを空爆し、イラク北部全域に軍事基地を設置するなど、軍事介入に積極的で、今回もアゼルバイジャンと並んでアルメニアと戦うことを望んでいる。
もしトルコがアルメニアとの衝突に過度に関与するならば、ロシアはトルコと取引を求めるかもしれない。ロシアの目標は、まず西側諸国を追い出すことであり、それがウクライナ、ベラルーシ、そして2008年のグルジアとの戦争での目標だった。
一方、イランは貿易や情報収集などでコーカサス地方に目を向けている。アゼルバイジャンとの新たな鉄道プロジェクトを推し進めているイランだが、真の目標は中国やロシアとの関係の緊密化であり、米国の制裁や米国に対抗するためのより多極化した世界を作るのが狙いだ。
しかしイランは、北部の国境地域での紛争ぼっ発は、自国の利益にはならないため、戦闘の激化は望んでいないと思われる。イランには多くのアゼルバイジャン人が住んでおり、不安定化がどのような影響をもたらすか予測不能なためだ。
なお、『エルサレムポスト』は、ロシアやトルコなどは、防空・軍事システムのテストをしたいと考えているのではないかと報じている。アゼルバイジャンがドローンに多額の投資を行うことを決定したことが、戦闘での勝利に役立つかどうか、注目されている。
ドローンは、死傷者を減らすのに役立つことで知られているが、大きな戦闘に勝つために戦術的に使用されたことがまだない。
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