世界各国・地域の中央銀行が加盟する国際決済銀行(BIS)は、米フェイスブックなどのIT大手企業の金融業参入に関する報告をまとめ、23日に公表した。BISは、国際協調の必要性を説き、政治家が新たなリスクに対し、早期に規制上の対応を取るよう促した。
『ロイター通信』『ブルームバーグ』や経済誌などが報じた。BISは23日、年次の経済報告書全体の発表に先立ち、IT大手の金融分野への進出に関する章を公表した。BISは、この動きによっても、銀行がすぐに事業から締め出されることはないとの見解も示した。
米フェイスブックは先週18日、独自の仮想通貨(暗号資産)「リブラ(Libra)」発行の構想を発表し、規制当局や中央銀行の注目を集めている。BISは、同社や米グーグル、中国のアリババなど、IT大手企業の金融業参入の動向は、広範囲に及ぶ豊富な個人情報と、金融の安定性を損なう可能性のある活動が融合するものであると警告している。...
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『ロイター通信』『ブルームバーグ』や経済誌などが報じた。BISは23日、年次の経済報告書全体の発表に先立ち、IT大手の金融分野への進出に関する章を公表した。BISは、この動きによっても、銀行がすぐに事業から締め出されることはないとの見解も示した。
米フェイスブックは先週18日、独自の仮想通貨(暗号資産)「リブラ(Libra)」発行の構想を発表し、規制当局や中央銀行の注目を集めている。BISは、同社や米グーグル、中国のアリババなど、IT大手企業の金融業参入の動向は、広範囲に及ぶ豊富な個人情報と、金融の安定性を損なう可能性のある活動が融合するものであると警告している。
BISは、IT大手の動きは、競争、データ・プライバシー、市場、銀行業など、それぞれに規制当局が存在し、調整を要する分野に関係するとして、そうした調整を可能とするために、各国の政治指導者らが、協調して対応していく必要があると指摘した。
主要7カ国(G7)はフェイスブックの計画を既に精査し始めているが、今のところ世界的な協調体制は取られていない。BISは、IT大手の金融業への参入は、技術革新による効率化が期待できるものの、新たなリスクが生まれるとも指摘。多くの見慣れない要素が出現する可能性があるとして、世界各国の政策立案者らが、新たな目で早期にリスクに対処する必要性を強調した。
ソーシャルメディア、検索エンジン、電子商取引関連などのIT大手企業は、世界的な規模で多くの利用者を抱えており、その有するデータ量は膨大だ。従来の金融業より圧倒的に優位な立場にあり、銀行業界にとっては、これまで決済分野で競合していた一部のフィンテック企業などより遥かに脅威となる。消費者の行動や嗜好に関する広範な種類のデータにより、個人の信用力をより詳細に判断できるため、金融サービスに急激な変化を起こす潜在力を備えている。
しかしながらBISは、IT大手が金融業に大規模に進出した場合でも、全ての銀行預金額から見れば非常に小さな部分を構成するだけであり、銀行はなお大きな優位性を保ち、すぐに事業から締め出される危険性はないとしている。
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