中国の主張が全面否定された、国際仲裁裁判所(PCA)裁定直後に開かれる国際会議、「アジア欧州会合(ASEM、注後記)」において、中国は、南シナ海問題を同会議での話題にしないよう躍起になっている。
7月12日付米
『Yahooニュース』:「中国、PCA裁定への反対行動激化」
「・中国外交部の孔(コン)副部長は7月12日、7月15~16日にウランバートル(モンゴル)で開かれるASEMサミットにおいて、南シナ海問題を話題にしないよう要求。
・同副部長は、南シナ海問題で緊張が高まっているとしたら、日米等同海域に無関係の国が干渉してきた結果であり、米国が主張し強行している“航行の自由”などの軍事行動について、ASEMで討議するのは相応しくないと強調。...
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7月12日付米
『Yahooニュース』:「中国、PCA裁定への反対行動激化」
「・中国外交部の孔(コン)副部長は7月12日、7月15~16日にウランバートル(モンゴル)で開かれるASEMサミットにおいて、南シナ海問題を話題にしないよう要求。
・同副部長は、南シナ海問題で緊張が高まっているとしたら、日米等同海域に無関係の国が干渉してきた結果であり、米国が主張し強行している“航行の自由”などの軍事行動について、ASEMで討議するのは相応しくないと強調。」
同日付台湾
『チャイナ・ポスト』紙:「中国、ASEMサミットで南シナ海問題を話題にしないよう要望」
「・今回のASEMサミットは、7月12日公表のPCA裁定直後に開かれる国際会議であるが、中国は、フィリピンの他、同じく領有権を争うベトナム、マレーシア等も参加する同サミットでそれを話題にしないよう、アジア・欧州の参加関係国に要請。」
同日付モンゴル
『モンゴリア・ニュース』:「安倍首相、モンゴル訪問」
「・安倍首相は7月14日、モンゴルのエルベグドルジ大統領の招待で自身3度目のモンゴル訪問。
・主目的は、第11回ASEMサミットに参加するためで、今年創設20年目を迎えるASEMは、“相互連携による未来へのパートナーシップ”がテーマ。
・ASEMには、アジア及び欧州から50ヵ国以上が参加するが、うち34ヵ国からは首脳が出席。」
同日付中国
『チャイナ・デイリィ』(
『新華社通信』記事引用):「中国、アジアと欧州間の連携強化を目指す」
「・7月15~16日のASEMサミットに出席予定の李克強(リー・コーチアン)首相は、同会合を通じて、アジアと欧州間の連携強化に努める意向。
・中国は、1996年のASEM第1回会議より参加しているが、今やASEMはアジア・欧州の53ヵ国・機関が加盟する国際会議に発展しており、世界経済第2位の中国への期待が増々増大。
・なお、同首相は、英国の欧州連合(EU)離脱問題、及び、南シナ海領有権争いに関し、フィリピン提訴の一方的な仲裁裁定問題等を討議するものと予想。」
引用記事中にあるとおり、中国側としては、予めASEM参加各国に、PCA裁定等南シナ海問題を話題にしないよう釘を刺しているが、一方で、万一提起された場合には、PCAの非管轄権や、フィリピンの一方的な提訴は国際法違反である等、自らの主張をまくし立てるものとみられる。
(注)ASEM:1996年、シンガポール首相の提唱で創設された、アジア(東アジア・東南アジア)と欧州における経済、政治、社会・文化などの分野の対話と協力のための会合。アジア参加メンバー(21ヵ国とASEAN事務局)及び欧州参加メンバー(30ヵ国と欧州委員会)にて構成。首脳会議は、2年に1度、アジアと欧州で交互に開催。
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