12月25日付米
『Foxニュース』は、「中国の楼継偉(ロウ・ジーウェイ)財務部長(財務相に相当、65歳)は12月25日、今年6月に57ヵ国が署名したAIIB設立協定の発効条件に基づき、AIIBが正式に発足することになったと発表した。同設立協定における、合計50%以上の出資比率となる10ヵ国以上が国内批准手続きを終えることとの発効条件を満たし、既に17ヵ国、合計50.1%の出資比率となる国々が手続き済みという。同部長はまた、来年1月16~18日に、AIIB本部を置く北京で設立総会を開くとした。」とし、「同設立総会では、AIIBの初代総裁が任命されるが、中国は金立群(ジン・リーチュン)氏(元財務副部長、前アジア開発銀行(ADB)副総裁、66歳)を候補に推しており、既に内定した形となっている。」と報じた。
同日付米
『ロイター通信(米国版)』は、「AIIB初代総裁内定の金氏は、AIIBとしては主として、アジアにおける発電設備、道路建設、そして都市の社会インフラへの融資を対象として営業を始めると語った。」と伝えた。
同日付英
『ザ・テレグラフ』紙は、英国のオズボーン財務相のコメントを引用して、「(同盟国の米国の反対を押し切ってAIIBに参加したが)今後、世界で最も急成長を遂げるアジア市場に、大きなビジネスチャンスを英国企業にもたらすため、英国がAIIBに参加することは意義あることで、それは英国の長期経済政策に適うことである。」と報じた。
12月26日付中国
『新華社通信』は、「ADBの試算では、2010年~2020年の間に、アジアでは8兆ドル(約960兆円)のインフラストラクチャー開発資金が必要となるとしている。ADBと世界銀行は、農業支援、教育及び男女平等制度の確立を主に支援しようとしているが、AIIBはインフラ開発援助に注力する意向である。国際通貨基金、世界銀行、ADBともAIIB設立を歓迎してくれており、ライバルなどではなく共同で当れる分野があるはずである。」とし、「AIIBの最初の融資案件は、2016年半ば頃と見込まれる。」と伝えた。
また、同日付韓国
『聯合ニュース』は、「米国と日本は、AIIBに透明性及びより高いガバナンス(企業統治)を求めていて、依然参加を見送っている。AIIBの透明性の問題以外にも、圧倒的シェアを有する中国が、自国の経済発展や地政学上の影響力を高めるために利用しかねないという懸念もある。」と報じた。
韓国メディアの懸念事項の他、中国主導への警戒感は他の国にもみてとれる。例えば、中国と南シナ海の領有権争いをしているフィリピンは、創設メンバー57ヵ国のひとつとなったが、依然批准手続きが取られていない。そして、26%超の議決権を持つ中国が、4分の3以上の賛成票が必要となる重要案件への拒否権を握る仕組みであること、更には、業務を監督する(中国以外の)理事が北京本部に常駐しないことから、中国の意向が強くはたらく恐れがあると、欧州や大洋州の参加国が懸念している。
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