『ウォールストリート・ジャーナル』によると、「習近平は、昨年末に民間の大手テクノロジー企業に対する規制攻撃を開始したが、今回は金融機関に対する徹底的な調査を開始する。大規模検査計画を知る人物によると、9月に発表されたこの調査は、国有銀行、投資ファンド、金融規制当局が民間企業と緊密になりすぎていないかどうか、メスを入れていく。」この調査は、中国経済の中核をなす25の金融機関を中心に行われ、これまでになく大規模なものとなる。「これは、中国の経済システムを西欧型資本主義から脱却させようとする習近平の広範な取り組みの一環であり、来年末に行われる指導部の交代に向けて、習近平氏は慣例にとらわれず、通常の2期5年の任期を超えて権力の座にとどまると予想されている。」という。
『ウォールストリート・ジャーナル』はまた、習近平が金融機関の活動を、「金融クーデター」で経済を不安定にして自分の支配を覆そうとする意図的な試みとして扱ってきた歴史があると指摘している。米『ブルームバーグ』は、ハイテク企業や金融企業に対する習近平の規制措置の一部は、これらの企業が消費者について収集している「膨大な情報」を中国共産党がより直接的に管理することを目的としていると指摘している。
『ロイター通信』によると、米投資管理会社アーク・インベストのCEOキャサリン・ウッド氏は、中国の景気後退がますます明白になってきていると警告している。このような景気後退は世界経済に波及し、日用品にも影響を及ぼす可能性があると警告している。
2020年の米国株式ファンドの中でトップの成績を収めた同氏は、中国が最近、ゲーム、教育、金融会社など様々な分野を取り締まっていることから、政策のミスで急激な減速が起こる可能性が高まっていると述べている。「中国の政策立案者は火遊びを始めていると思う。半年後にこの時期を振り返って、中国で予想外の大きな減速が起こるのは明らかだったのではないか、と言うだろう」と付け加えている。
『ウォールストリート・ジャーナル』は、習近平にとって、金融業界をターゲットにすることは、政敵を弱体化させるための手段でもあると伝えている。例えば、副主席という儀礼的な役職にある王岐山の権力基盤をさらに崩すことなどが考えられるという。そして、「王氏の長年の側近が7100万ドル(約80億円)以上の賄賂を受け取ったとして起訴され、もう一人の元側近であるHNAグループ会長の陳峰氏が昨年破産を宣言するなど、王氏の側近である2人が最近苦境に立たされている。HNAは9月下旬、刑法違反の疑いで陳氏が拘束されていると明らかにした。」
『エポックタイムズ』は、習近平が金融部門の調査に乗り出した本当の理由が何であれ、この動きが中国本土における習近平の権力を増大させることはほぼ間違いないと伝えている。「習近平は、反腐敗運動の初期の頃に比べて、億万長者のライバルたちの金融不正を、より徹底的に、かつ選別して調査、訴追している。これは、中国国内での全体主義的な権力の拡大を目指す習近平にとって助けとなっている。しかしこれが、経済成長と海外での領土支配の拡大という習近平の夢にどう影響してくるのかは定かではない。投資家、そして世界は、神経をとがらせるべきである。」と指摘している。
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