マレーシア当局、南シナ海で違法に沈没戦艦の残骸略奪の中国船を拿捕【米・マレーシアメディア】(2023/06/02)
中国は、領有権問題など無視して、必要とあらば他国の海域に侵入して漁をしたり天然資源を掘削したりしている。そして今度は、南シナ海において、太平洋戦争時に沈没した戦艦の残骸を略奪しようとした中国戦がマレーシア当局に拿捕された。この残骸から回収される鉄は、放射性降下物(注1後記)の影響を全く受けていないことから、粒子検出器(注2後記)・ガイガーカウンター・宇宙船用センサー機器等の製造にとって貴重な資材となり、高値で取引されている。
5月30日付米
『UPI通信』、マレーシア
『ザ・スター・オンライン』、31日付米
『ニューヨーク・ポスト』紙等は、マレーシア当局によって、南シナ海で違法に沈没戦艦の残骸略奪行為をしていた中国船が拿捕されたと報じている。
中国籍の大型ばら積み貨物船“福州(フーチョウ、2012年製造)”が5月28日、マレーシア海事執行庁(MMEA、2004年設立)によって拿捕された。
MMEAの発表によると、同貨物船が南シナ海南西端のマレーシア東岸沖20マイル(約32キロメートル)の領海内に無許可で進入して係留していたために拘束したという。...
全部読む
5月30日付米
『UPI通信』、マレーシア
『ザ・スター・オンライン』、31日付米
『ニューヨーク・ポスト』紙等は、マレーシア当局によって、南シナ海で違法に沈没戦艦の残骸略奪行為をしていた中国船が拿捕されたと報じている。
中国籍の大型ばら積み貨物船“福州(フーチョウ、2012年製造)”が5月28日、マレーシア海事執行庁(MMEA、2004年設立)によって拿捕された。
MMEAの発表によると、同貨物船が南シナ海南西端のマレーシア東岸沖20マイル(約32キロメートル)の領海内に無許可で進入して係留していたために拘束したという。
ところが、警察及び文化遺産保護局による立ち入り検査の結果、太平洋戦争中に沈没した戦艦の残骸を略奪しようとしていたことが判明した。
同船が甲板に引き上げていたのは、1941年の太平洋戦争勃発後間もなく(編注;真珠湾攻撃の3日後に起こったマレー沖海戦)、旧日本軍航空隊の攻撃によって撃沈された英国海軍巡洋戦艦“レパルス(1916年就役)”と“プリンス・オブ・ウェールズ(1941年就役)”の残骸であった。
今回同船が略奪しようとしていたのは、“戦前の鋼”と呼ばれる大量の鉄屑である。
すなわち、1940年代以降の核爆弾や核実験等から発生した放射性降下物の影響を全く受けていない、第二次大戦以前に生産された鉄から造られた船・大砲・兵器・魚雷等の残骸であることから、粒子検出器・ガイガーカウンター・宇宙船用センサー機器等、精密な医療・科学用特殊機器製造に最適とされる代物で高価で取引されている。
なお、MMEAジョホール州支部トップによると、同船には32人の乗組員が乗船していて、内訳は中国人21人、バングラデシュ人10人、マレーシア人1人という。
更に、同船が近海に停泊しているであろう母船まで当該鉄屑を運び、再び同海域に戻ってきて同様行為を行うものと考えられるため、捜査を継続していくとする。
一方、英国国防省報道官は、“沈没船は戦争墓地と考えており、その残骸が英国籍の沈没船であるかどうかは明確に分かる”とした上で、“かかる違法行為は全く看過できず、関係国の当局とも協力して厳しく対応していく”と強調している。
(注1)放射性降下物:核兵器や原子力事故などで生じた放射性物質を含んだ塵で、広域な放射能汚染を引き起こす。一般には死の灰という俗称で知られる。核実験については、米ソを中心として大気中での核実験が1950年代から1963年に部分的核実験禁止条約が締結されるまで行なわれ、その結果として、ウラン・プルトニウムの核分裂で生じた核分裂生成物が地球環境に拡散し、地上に降下して土壌や水環境中に微量に存在することとなっている。
(注2)粒子検出器:原子核壊変によって生じる放射線、宇宙線、または加速器の反応によって生じるさまざまな放射線・高エネルギー粒子を検出・追跡、特定するための装置。
閉じる
ロシア:大富豪の15%が国外へ移住(2022/06/15)
ある調査によると、2022年までに約1万5千人のロシアの大富豪が国外に流出すると予想されており、富裕層の国外流出世界一となっている。
仏
『BFMTV』や米
『ビジネス・インサイダー』によると、ロシアの多くの大富豪が母国に見切りをつけて国を離れているという。世界の民間の富と投資の移動を調査するイギリスのヘンリー&パートナーズ社のレポートによると、2022年には1万5千人のロシアの大富豪(100万ドル以上の資産)が国外に出ることが予想されている。ウクライナではさらに状況が悪化しており、これは同国全体の42%に相当する2800人の大富豪が退去している。...
全部読む
仏
『BFMTV』や米
『ビジネス・インサイダー』によると、ロシアの多くの大富豪が母国に見切りをつけて国を離れているという。世界の民間の富と投資の移動を調査するイギリスのヘンリー&パートナーズ社のレポートによると、2022年には1万5千人のロシアの大富豪(100万ドル以上の資産)が国外に出ることが予想されている。ウクライナではさらに状況が悪化しており、これは同国全体の42%に相当する2800人の大富豪が退去している。一方、大富豪が約10万1千人いたロシアは、そのうちの15%を失うと予想されている。現在の出国者数は、5500人が出国した2019年の3倍に達している。
ロシア経済開発省によると2022年のロシアのGDPは8%前後縮小すると予想されているが、ロシアの大富豪はスウィフトシステムからの追放、資産の凍結、多くの企業の撤退など欧米の制裁に悩まされている。ヘンリー&パートナーズのレポートの分析を担当したミーシャ・グレニー氏は、「制裁措置が発動されるかなり前から、津波のような資本の国外流出があった。プーチン大統領の気まぐれな政治スタイルと、中流階級や富裕層に対する忠誠心の要求が主な原因となっている」と述べている。ただし、ロシアのペスコフ報道官は記者会見で、大富豪が国外に流出する傾向には特に「気づいていない」と述べている。
ヘンリー&パートナーズのレポートは、「過去10年間、ロシアから海外に移住する富裕層は毎年着実に増加しており、これはロシアが現在直面している問題の早期警告である。歴史的に国の崩壊は、通常、富裕層の移住の加速が先行する。彼らは移住の手段を持っているので、最初に離れることができる。」と指摘している。
ロシア富裕層の主な移住先は、マルタやモナコなどの南欧、インド洋のモーリシャス、そして特に税率がほぼゼロのアラブ首長国連邦が人気を呼んでいる。アラブ首長国連邦(UAE)は、2022年には4千人増が見込まれ、世界の大富豪の移住先としてトップに躍り出た。
このレポートにデータを提供した分析会社「ニュース・ワールド・ウェルス」の調査責任者アンドリュー・アモイルス氏は、米『CNN』のインタビューで、UAEは「中東・アフリカ地域の安全なオアシスであるという評判や、高所得経済の国際ビジネスハブ」として人気が高まっていると説明した。
米『UPI通信』によると、ヘンリー&パートナーズ社のCEOであるステフェン氏は「2022年の予測は、世界的に極めて不安定な環境を反映している。年末までに8万8千人の大富豪が新たな国に移住すると予想されている」と述べている。
2022年に最も多くの億万長者を獲得する国は、米国を抜いて首位に立ったアラブ首長国連邦をはじめ、オーストラリア、シンガポール、イスラエル、スイスなどとなっている。また、マルタ、モーリシャス、モナコにも大量の大富豪が移住すると予想されている。大富豪の移住は、2023年にはさらに増加するとも見られている。ステフェン氏は、「来年、過去最大の12万5千人の大富豪の移住が予測されている。富裕層の投資家とその家族は、まだ明らかになっていない世界秩序の再編成や、気候変動の脅威を背景に、コロナ後の新しい世界に向けて真剣に準備を進めている」と述べている。
閉じる
その他の最新記事