米オハイオ州で中絶の権利が争点となる住民投票(2023/11/08)
保守派のスイングステート(激戦区)とされる米オハイオ州で7日、住民投票により妊娠中絶の権利を守る州憲法修正案が可決された。中絶問題は民主党が選挙の重要な争点としてきた。昨年、連邦最高裁が中絶の権利を認める判決を覆してからは、州レベルでの憲法改正が進んでおり、共和党知事の州での勝利は、2024年の大統領選で民主党に有利となるとみられている。
11月8日付
『AP通信』 :「オハイオ州住民投票により中絶の権利合法化へ」
オハイオ州で7日行われた中絶の権利や医療ケアに関する州憲法改正投票の結果は、昨年連邦最高裁で中絶権が否定されて以来、中絶擁護派にとっての勝利となった。
オハイオ州は、カリフォルニア州、カンザス州、ケンタッキー州、ミシガン州、モンタナ州、バーモント州に続き、住民投票により中絶を巡る権利拡大が認められた7番目の州となる。...
全部読む
11月8日付
『AP通信』 :「オハイオ州住民投票により中絶の権利合法化へ」
オハイオ州で7日行われた中絶の権利や医療ケアに関する州憲法改正投票の結果は、昨年連邦最高裁で中絶権が否定されて以来、中絶擁護派にとっての勝利となった。
オハイオ州は、カリフォルニア州、カンザス州、ケンタッキー州、ミシガン州、モンタナ州、バーモント州に続き、住民投票により中絶を巡る権利拡大が認められた7番目の州となる。
この結果は2024年大統領選挙への先例となるもの。「中絶の権利」は、バイデン大統領の再選にむけた民主党が有権者へアピールする重要争点としている。アリゾナ州やミズーリ州他でも、同様の権利をめぐり来年住民投票が行われる予定である。
一方の反対派は、若者の性転換手術や、連邦法で禁止されている中期中絶が復活する懸念があると主張していた。
世論調査によると、米国民の約3分の2が、妊娠初期における中絶の合法化を望んでいる。しかし、昨年6月連邦最高裁で(女性の中絶権を認めた判例となる)「ロー対ウェイド」判決が覆されたことにより、民主党や共和党州では、権利拡大の機運は弱まっていた。
マイク・デワイン知事をはじめとする中絶反対派は、権利拡大は過激であるとのメッセージに焦点をあて支持集めを行い、一方の擁護派は、家族の個人事情に政府は介入すべきでないとのメッセージを打ち出した。
同日付米『The Hill』 :「オハイオ州の中絶施策通過にバイデン氏、”民主主義の勝利”」:
バイデン大統領は、オハイオ州の住民投票で、州憲法上中絶の権利が認められたことを受け声明を発表。
「今夜、投票で再び基本的な自由が守られた。民主主義の勝利だ」と称賛。「オハイオ州そして全米の有権者は、女性の健康と生命を脅かす中絶反対派の共和党選出議員らにノーを突きつけた」等と述べた。
憲法改正案では、母体の生命に関わる例外を除き、胎児期以前で、初期の妊娠中絶の権利が守られることとなる。この改正案は、選挙本部によると通過するとみられており、また2024年の民主党選挙を有利にするものと予測されている。近年、共和党多数派の州で中絶の権利を保障する法案が可決するのは初めての事となる。
カマラ・ハリス副大統領も声明を発表。「オハイオ州の結果は、政治家が女性と担当医との間に介入すべきでないという国民の大多数の意見を明確にするものである」と述べている。
昨年同州では、10歳の少女が暴行被害にあい、中絶手術を受けるため他州へ移動せざるをえなかった事件を機に注目が集まっていた。
閉じる
米政府、銃規制局本格設置へ(2023/09/21)
バイデン米政権は、政府内に銃による犯罪防止への取り組みに特化した事務局の開設を発表する予定だという。
9月21日付
『AP通信』 :「初の銃犯罪予防事務局、ホワイトハウスが発表へ」:
バイデン大統領は、政府内で初となる銃による暴力防止事務局を設置する。事務局は、政府内の調整を図り、銃犯罪が増加している各州への指導を支援する。また、昨年法律化した銃登録制の実施に向けた指示を行う。
正式な発表は22日となる見込み。銃規制への動きは、「アサルトウェポン(殺傷力の高い自動小銃など)」の禁止を訴える大統領選での中心的な支援基盤となる。...
全部読む
9月21日付
『AP通信』 :「初の銃犯罪予防事務局、ホワイトハウスが発表へ」:
バイデン大統領は、政府内で初となる銃による暴力防止事務局を設置する。事務局は、政府内の調整を図り、銃犯罪が増加している各州への指導を支援する。また、昨年法律化した銃登録制の実施に向けた指示を行う。
正式な発表は22日となる見込み。銃規制への動きは、「アサルトウェポン(殺傷力の高い自動小銃など)」の禁止を訴える大統領選での中心的な支援基盤となる。
銃撃は米国で子どもの殺害原因の1位となっており、今年現時点で11歳未満の220人が、12~17歳の1049人が銃弾に倒れている。2020年での銃による死亡率は、19歳未満で10万人中5.6人となっている。これに次ぐのがカナダで、0.08人となる。
AP通信-NORC公共問題研究センターの世論調査によると、昨年の超党派での銃規制法可決を受け、共和党員にも変化がみられる。92%と殆どの民主党員は、昨年の世論調査から一貫して、銃規制法強化すべきとする意見が根強い。共和党員でも、銃関連の包括的な法律を求めるとする回答が昨年の49%から32%に減っている。無党派層でも72%から61%に減っている。どちらの党員も、深刻な銃撃事件を減らすことが重要との認識は同じである。
18日現在米国では、2023年に35件の大量殺人事件が発生し、少なくとも171人が死亡している。24時間以内に犯人を含まず4人以上が死亡するケースを大量殺人と定義されるが、米国では2006年以降、大量殺人が急速に増えている。
9月20日付米『The Hill』 :「バイデン政権、政府内に銃による暴力防止事務局設置へ」
今週ホワイトハウスは、銃による犯罪防止への取り組みに特化した事務局の開設を発表する予定。
バイデン再選陣営は既に、「Everytown for Gun Safety(銃の安全のため全ての町)」など4つの銃規制推進団体から支持を得ている。「ブレイディ」団体のクリス・ブラウン会長は声明で、「銃犯罪は昨今、米国の子どもが巻き込まれる殺人事件で最も多い犯罪であり、国民の5人に1人が影響を受けている。急増する事態に政府一体となり取り組むこのような事務局の創設を断固として支持する」としている。
バイデン氏はこれまで一貫して殺傷力の高い半自動攻撃用銃器や大容量弾倉の規制、銃製造業を法的責任から守る免責廃止、身元調査の必要性を訴えてきたが、共和党与党の下院と上院での少数議席により銃問題での進展は見られていなかった。
閉じる
その他の最新記事