”母”の日にもジェンダー議論(2021/05/10)
母の日を前に、ジェンダー平等に配慮し、女性を指す“母”を使わず、“出産者”と表現した言葉が議論を呼んでいたという。
5月9日付米国
『FOXニュース』は「改革派によるジェンダー議論の中、ペロシ、バイデンが母の日を祝う」との見出しで以下のように報道している。
ナンシー・ペロシ下院議長やホワイトハウスは9日、母の日に寄せたメッセージを発信。ツイッター上で「母たちはいつも我々の心にいる守り神。母の日おめでとう。」、「母たちが常にこの国を作り守ってきた。我々は全ての母に見合う安全で公平な仕事、保険、保育システム、賃金を実現しなければならない。...
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5月9日付米国
『FOXニュース』は「改革派によるジェンダー議論の中、ペロシ、バイデンが母の日を祝う」との見出しで以下のように報道している。
ナンシー・ペロシ下院議長やホワイトハウスは9日、母の日に寄せたメッセージを発信。ツイッター上で「母たちはいつも我々の心にいる守り神。母の日おめでとう。」、「母たちが常にこの国を作り守ってきた。我々は全ての母に見合う安全で公平な仕事、保険、保育システム、賃金を実現しなければならない。母の日おめでとう。」とした。
一方、母を意味し、ジェンダーに配慮した「出産者(birthing people)」という言葉を使う改革派は「母(Mother)」とは言わない。中絶の権利支持団体「NARAL」で、民主党のコリ・ブッシュ下院議員は「日々、黒人の出産者や赤ん坊が亡くなっている。医者が我々の痛みを無視するからだ。」とツイッター上で述べるなど、最近「出産者」と声高に叫んでいる。NAPALはツイッター上で、「出産者は包括的な意味で使っている。ジェンダーレスに妊娠について語る時使うのだ。妊娠出産ができる女性だけが持つ権利ではなく、全ての人々にその自由がある。」としている。
共和党のテッド・クルーズ上院議員もこの言葉をもじり、母の日のカード上の「母」の字を消し、「出産者おめでとう!」とツイッターに投稿。今年ジェンダーレスに配慮した法案が提出されたときにも、共和党からは下院民主党を嘲笑する動きがあった。
同日付米国『MSN』(Newsweek引用)は「母を“出産者”と言う女性議員に批判」との見出しで以下のように報道している。
母の日の週末に向け、民主党のコリ・ブッシュ下院議員(ミズーリ州選出)が女性を“出産者”と呼び、ネット上では賛否両論となっている。今月6日ブッシュ議員は議会演説で、「シングルマザー、看護師、活動家である議員として私は今日ここに立っているが、黒人の母や赤ん坊たちを守り、黒人の“出産者”たちと命を守ることを使命としている。」と述べた。その後もツイートでこの言葉を繰り返した。
ネット上では「出産者の日おめでとう」という投稿や、“女性”は反フェミニズムで不適切、ジェンダーレスな言葉には社会から権利を奪われたLGBTも含まれると擁護する声がある一方で、軽蔑的で、女性を子を産む役割としてしか考えていない言葉だとの批判もある。
共和党のナンシー・メース議員は、左派は差別意識が高く、女性だけがもつ権利まで奪おうとする、と批判、米国のユージン・グ医師は、「トランスジェンダーの生物学上の男性が妊娠し出産。包括的なだけでなく、科学的だ。性とジェンダーが2分化している」と皮肉った。また、極左は出産せず養子縁組をした人を母と呼ばないのか、との皮肉の声もあった。
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米メディア、トランプ去って視聴者も去る(2021/03/25)
CNNからフォックスニュース、ニューヨーク・タイムズまで、米国の主流メディアは、トランプ前大統領がホワイトハウスを去ってから、視聴率の低下や読者数の減少に見舞われている。
仏紙
『クーリエ・アンテルナショナル』や仏誌
『「ル・ヌーベル・オブセルバトゥール」』は、トランプ前大統領が2017年にアメリカの「新聞、テレビ、あらゆるメディアは、私がいないと視聴率が下がってしまう」と発言した内容が、予言のように当たったと伝えている。いくつかの調査によると、アメリカの全国メディアはバイデン大統領就任後、視聴者数と読者数が減少している。これは、常に話題を集めていたトランプ前大統領が去り、後任に「退屈」と見なされることもあるバイデン大統領が就任したことが反映されているという。...
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仏紙
『クーリエ・アンテルナショナル』や仏誌
『「ル・ヌーベル・オブセルバトゥール」』は、トランプ前大統領が2017年にアメリカの「新聞、テレビ、あらゆるメディアは、私がいないと視聴率が下がってしまう」と発言した内容が、予言のように当たったと伝えている。いくつかの調査によると、アメリカの全国メディアはバイデン大統領就任後、視聴者数と読者数が減少している。これは、常に話題を集めていたトランプ前大統領が去り、後任に「退屈」と見なされることもあるバイデン大統領が就任したことが反映されているという。
この急激な落ち込みを体現しているのがニュースチャンネルのCNNである。ニールセン・メディア・リサーチ社のデータによると、1月から3月の最初の2週間の間にプライムタイム枠(午後8時30分~10時)で45%の視聴者が消えてしまったという。
CNNほどではないが、MSNBCも26%減という顕著な減少が見られた。保守メディアのフォックスニュースも6%減と、健闘しているものの減少した。
新聞業界でも同じ現象が起きている。コムスコア社のデータによると、1月から2月の間に「ニューヨーク・タイムズ」のニュースサイトではアクセス数が約2,000万人、「ワシントン・ポスト」では約3,000万人分減った。
コネチカット州にあるハートフォード大学のコミュニケーション学教授であるアダム・キアラ氏は、「人々を画面の前に引き留めるはずの大災害、すなわちパンデミックがまだ続いている」ことを指摘し、視聴率の低下は、「人々は今日起こっていることよりも、トランプ大統領に関するニュースに興味を持っていた 。」ことを示しているとコメントしている。
ボストン大学で政治コミュニケーションを研究しているトーブ・ベルコビッツ教授にとって、メディアは、論争好きで予測不可能なドナルド・トランプ氏と、コミュニケーションにおいて意図的に前任者と逆の姿勢を見せてきた、時には「退屈な人物」と言われるジョー・バイデン氏のちがいが、メディアの視聴率に影響を与えていると述べている。
このように視聴者数が著しく減少しているが、主要メディアは、2015年にトランプが選挙戦に参戦する前よりもはるかに良好な状態にあるという。CNNは2014年時の視聴者数の2倍以上、MSNBCは3倍以上の視聴者数を獲得している。
ホフストラ大学コミュニケーション学部長マーク・ルカシェヴィッチは、一般チャンネルのニュース番組は視聴者数が数百万人減少しており、「ニュース専門チャンネルは数年前に比べて、アメリカ人のニュース消費で大きな割合を占めるようになっている」と指摘している。
なお、大手新聞社も、この数年間でデジタルへの移行を加速させ、オンライン購読を前提としたメディアに生まれ変わりつつある。ニューヨーク・タイムズは、トランプのホワイトハウス在任期間中の4年間で、購読者数を2.6倍に増やし、多くの紙媒体のメディアが直面している危機を回避している。
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