東京オリンピック;開催固執のIOCへの反発が強まる中、米国女子体操選手は技磨きに専念して参加準備万端【米メディア】(2021/05/26)
大会開催に固執する国際オリンピック委員会(IOC)幹部の不穏当な発言に、日本では反発の声が増している。そうした中、米国女子体操競技ホープは、大会が昨夏より1年延びたことを前向きに捉えて、高難度の技を習得し、大会が開催された場合の準備に余念がない。
5月24日付
『ザ・グリオ』(2009年設立のアフリカ系米国人向けオンラインニュース):「シモーネ・バイルズ選手、“自分はできる”と信じて高難度の技に挑戦して成功」
米国女子体操競技ホープのシモーネ・バイルズ選手(24歳、注1後記)は5月22日、インディアナポリス(米中央部インディアナ州)で開催された米体操競技大会の跳馬競技において、高難度のユルチェンコ跳び2回ひねり(注2後記)を女子で初めて成功させた。...
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5月24日付
『ザ・グリオ』(2009年設立のアフリカ系米国人向けオンラインニュース):「シモーネ・バイルズ選手、“自分はできる”と信じて高難度の技に挑戦して成功」
米国女子体操競技ホープのシモーネ・バイルズ選手(24歳、注1後記)は5月22日、インディアナポリス(米中央部インディアナ州)で開催された米体操競技大会の跳馬競技において、高難度のユルチェンコ跳び2回ひねり(注2後記)を女子で初めて成功させた。
同選手は、2019年にシュツットガルト(ドイツ)で開催された世界体操競技選手権で5度目の個人総合優勝を飾っている。
米スポーツ専門チャンネル『ESPN』(1979年設立のウォルト・ディズニー傘下のメディア)によると、同選手は、東京オリンピックが1年延期になったことを受けて、新しい高難度の技の習得に努めてきたという。
ただ、『ニューヨーク・タイムズ』紙は、今回の審判団は6.6ポイントと、同選手が過去に叩き出したと同程度の得点しか出さなかったと批判的に報じた。
同選手は、減点される恐れもあることから今回も特に不満な表情を見せなかったが、高難度の技を見事やり切ったことで、同選手の精神力が益々強くなったとみられる。
同選手はインタビューで、東京大会に個人総合のディフェンディング・チャンピオンとして臨むことになるが、大会延期や新型コロナウィルス(COVID-19)感染未収束の困難かつ特異な環境下でも、“自分はできる”と信じて今後も努力していくとコメントした。
同選手は昨年3月、週刊誌『ピープル』(1974年創刊の有名人に関するニュース専門誌)の取材に答えて、“体操競技では新技を習得しようとするとケガのリスクが常に伴うが、成功した際の称賛も大きいので、それとの綱引きでチャレンジしていかなければならない”とも語っている。
『NBCスポーツ』(1939年設立)の解説によると、ユルチェンコ跳び2回ひねりは、踏み切り台に横転して入り、バク転して跳馬を飛び越えた後に更に宙返りして着地するという大技で、これまで男子選手しか成功していなかったという。
同選手は5月21日の練習ラウンドで同大技を成功させていたが、翌日の本番でも見事に着地した。
なお、同選手は競技後のインタビューで、“東京オリンピックでこの大技に挑むかどうか、リスクを伴うことでもあり難しい問題だ”としながらも、“挑戦したい気持ちが強く、個人総合決勝でチャレンジする価値は大いにあると思っている”と強調した。
一方、東京オリンピック開催の可能性であるが、日本におけるCOVID-19感染問題深刻化の中、混沌としている。
日本メディア報道によると、東京都医師会(1946年設立の公益社団法人、会員6千人超)が5月14日、菅義偉首相(72歳)に宛てて、“現下の情勢では大会開催が困難であるので、大会を中止するようIOCを説得して欲しい”との嘆願書を提出したという。
同会は、“現在でも医療体制がひっ迫しており、大会開催によって更に感染者が増大し、救える命が救えなくなる恐れがある”と訴えている。
(注1)シモーネ・バイルズ選手:2016年リオオリンピック女子体操競技個人総合・跳馬・ゆか・団体総合の金メダリスト。2013~2019年開催の世界体操競技選手権で個人世界最多の合計25個のメダルを獲得(うち金メダル19個も世界最多)。
(注2)ユルチェンコ跳び2回ひねり:ロシアの女子体操選手ナタリア・ユルチェンコ(1980年モスクワオリンピックの跳馬競技金メダリスト)が1982年に成功させた跳馬の技として命名されたユルチェンコ跳びを、更に1回ひねった技。男子選手では数人が成功させている。
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日本の最大のライバルの米国女子ソフトボールチーム、”ブラック・ライブズ・マター運動“で大揺れ【米メディア】(2020/07/01)
2008年北京オリンピックで悲願の金メダルを獲得した日本女子ソフトボールチームにとって、最大のライバルは、何といってもオリンピックの他、世界選手権等における常勝軍団の米国チームである。その米国チームが、折からの“ブラック・ライブズ・マター運動(注後記)”で大きく揺れている。すなわち、ナショナルチームに選抜されている数少ない黒人選手が所属するテキサス州チーム(米国内プロリーグを構成する5チームのひとつ)において、監督が上記運動参加者を犯罪者扱いしているドナルド・トランプ大統領を全面支援するようなツイートを発信したことに端を発し、同チーム所属の18人全員が退団してしまうという事件が発生している。
6月29日付
『ESPN』(1979年設立のディズニー傘下のスポーツ専門チャンネル):「ドナルド・トランプ大統領支持をツイートした監督に反発して所属チームを飛び出したソフトボール選手が新たに“これこそが我々のチーム”を組織」
1週間前に、所属するテキサス州のプロソフトボールチーム、スクラップ・ヤード・ドーグス(SYD、ドーグは仲間を意味するスラング)を飛び出した18人の選手が6月26日、新たに“これこそが我々のチーム(TIU)”を立ち上げた。...
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6月29日付
『ESPN』(1979年設立のディズニー傘下のスポーツ専門チャンネル):「ドナルド・トランプ大統領支持をツイートした監督に反発して所属チームを飛び出したソフトボール選手が新たに“これこそが我々のチーム”を組織」
1週間前に、所属するテキサス州のプロソフトボールチーム、スクラップ・ヤード・ドーグス(SYD、ドーグは仲間を意味するスラング)を飛び出した18人の選手が6月26日、新たに“これこそが我々のチーム(TIU)”を立ち上げた。
中心メンバーは、数少ない黒人選手のケルシー・スチュワート内野手、及び白人選手のオーブリー・マンロー捕手で、チームの趣旨はソフトボール界における黒人選手の支援であるとする。
実は先週、SYDのコニー・メイ監督が、チームのツイッターアカウントに、ドナルド・トランプ大統領の名前を冠して、“チーム全員起立して国旗に敬意”と掲載した。
同大統領は、“ブラック・ライブズ・マター運動”の参加者をならず者呼ばわりしており、米フットボールリーグや大リーグのみならず、女子プロソフトボールリーグ(NPF、2004年に5チームで組成)内においても非難されていた。
そこでSYDチーム選手が反発したが、同監督から選手宛の陳謝の電話において、“オール・ライブズ・マター”と火に油を注ぐ言い訳をしたことから、スチュワート選手及びもう一人の黒人選手キキ・ストロークスがチーム退団を決意したところ、他の16人の白人選手も一斉に退団することになった。
スチュワート選手は『ESPN』のインタビューに答えて、“圧倒的に白人選手ばかりのソフトボール界において、結局監督は黒人(選手)がどれ程苦労しているか理解しようとしなかった”と糾弾した。
ただ、ソフトボールを辞める気はさらさらなく、また、支援してくれる企業、ファンそして仲間のために、何とか活動は続けたいとして、マンロー選手や支援者と相談して、TIUを立ち上げたものである。
立ち上げに当たってマンロー選手は、“チームを飛び出したこと等で、関係者やファンに迷惑をかけたことを陳謝したい”とした上で、“しかし、黒人選手の頬を打つような行為は看過できず、また、ソフトボールを続けることで彼女らを支援したい”と決意表明している。
なお、SYDの長年のライバルのフロリダ州USSSAプライドも彼らの行動を支持していて、早速6月29日、TIUとの初試合開催に協力した。ただ、結果は1対3で、TIUに初勝利をプレゼントしてしまっている。
一方、SYDは、東京オリンピックに出場予定の米国ナショナルチーム選抜の11人を含めた全員が退団してしまったことから、チームの存続は風前の灯火である。
(注)ブラック・ライブズ・マター運動:アフリカ系米国人のコミュニティに端を発した、黒人に対する暴力や構造的な人種差別の撤廃を訴える、国際的な積極行動主義の運動。特に、白人警官による無抵抗な黒人への暴力や殺害、人種による犯罪者に対する不平等な取り扱いへの不満を訴えている。
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