米保守派幹部が銃撃される(2017/06/15)
米議員による伝統的な野球のチャリティ親善大会に向け練習中に、スティーブ・スカリス下院共和党幹部が銃で撃たれて重傷を負った。銃撃犯は昨年の大統領選挙でサンダース民主党議員のボランティア活動をしていた支持者だという。そのことで保守派糾弾の盛り上がりを批判するなど政党対立へ発展するきざしがあり危惧されている。
米議員では、6年前にガブリエル・ギフォーズ元(民主党)下院議員が頭を銃撃され一時重体となったがリハビリを続け、以後「銃規制」支持を訴え続けている。一方スカリス氏は、全米ライフル協会(NRA)から最高グレードに格付けされるほど絶大的な銃の擁護派である。
6月14日付米国
『CNNニュース』は「スティーブ・スカリス襲撃は既に政治対立に発展」との見出しで以下のように報道している。
「バージニアで起きた襲撃事件はすぐに政治に結びつくものとなった。
トランプ大統領の支持者クリス・コリン共和党議員は襲撃は反トランプ左派によるもので「民主党は反抗論調を押さえるべきだ」と主張。「今日から銃をポケットに入れて歩く」等とラジオインタビューで述べた。...
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6月14日付米国
『CNNニュース』は「スティーブ・スカリス襲撃は既に政治対立に発展」との見出しで以下のように報道している。
「バージニアで起きた襲撃事件はすぐに政治に結びつくものとなった。
トランプ大統領の支持者クリス・コリン共和党議員は襲撃は反トランプ左派によるもので「民主党は反抗論調を押さえるべきだ」と主張。「今日から銃をポケットに入れて歩く」等とラジオインタビューで述べた。
この事件が政治問題へ発展することとなったのは、事件後「CNN」が襲撃犯はイリノイ州のジェームス・T・ホッジキンソンといい、彼のソーシャルメディアへの書き込みから反トランプ主義者で昨年の大統領選挙でバーモント州のサンダース民主党候補の選挙ボランティアもしていたと報道してからである。
サンダース議員は声明で、「ひどい事件に嫌悪感を覚える。はっきりさせておくが、いかなる場合でも暴力はゆるされない。最も強い言葉でこの行為を非難する」としている。
ホッジキンソンのフェースブックには、プロフィールでサンダースを「アンクルサム」と呼び、事件2日前には「トランプ氏は最低だ」と汚い言葉でののしる書き込みがあった。また、地元の情報誌には郵便局前のデモで「富裕層に課税を」というカード持った写真が掲載されている他、新聞には彼が多くの反共和党団体に属しており、その中には団体名を「共和党をつぶす」というものもあるとあった。
トランプ大統領はこの事件に対し政治的な声明はしていない。ライアン議長は「党員への襲撃は我々皆への襲撃である」とし、ペロシ院内総務も下院の団結を呼びかけた。
FOXに出演したニュート・ギングリッチ元下院議長は襲撃事件は氷山の一角だとし、左派への反対派の盛り上がりを批判、「保守派の大学生はキャンパスでの襲撃を危惧している」と述べている。更に、はっきり主張せずとも政党対立への関連性を示唆する意見は散見された。」
同日付米国
『NBCワシントン』は「前回国会議員が襲撃されたのは6年前、銃がこれまでになく波紋を呼ぶ」との見出しで次の様に報道している。
「バージニアで野球の練習中に襲撃を受けたスカリス院内幹事だが、6年前にはガブリエル・ギフォード元議員が頭部を撃たれている。ギフォード夫妻は事件以来銃規制擁護活動をしてきたが、一方のスカリスはその経歴からして同じ道をたどる可能性は低い。スカリスは憲法修正第2条(個人の銃保持・保有を保障する)の絶大な支持者で全米ライフル協会(NRA)から最高グレードであるA+に格付けされている。
米国は銃規制賛成派と反対派に分裂しており、これが銃撃事件後表面化し、議員の間で賛否が繰り広げられている。」
同日付
『ロイター通信』は「超保守派スティーブ・スカリス米議員が襲撃され負傷」との見出しで以下のように報道している。
「下院多数派院内幹事として投票をまとめ、共和党内の多数派を取り仕切る立場にあるスカリス議員が野球練習中に腰を打たれ重傷。下院議員の保守強硬派グループであるフリーダム・コーカス(自由議員連盟)をまとめる立場であるが、共和党主導の議案への阻止にしばしば苦労していた。スカリスは熱心なトランプ支持者であり、ライフル協会からも最高位を受け、ルイジアナの超保守派からの支持も厚く、75%の支持を受け再選されている。
出場予定だった野球大会は、1世紀以上前から続く民主・共和党議員によるチャリティ活動である。ライアン議長は声明で、ショートを守っていたスカリスは皆も知っているように野球大会に出場できなくて残念に思っていることだろうと述べている。」
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トランプタワー盗聴疑惑(2017/03/17)
トランプ米大統領は、オバマ前政権が昨年の大統領選中に監視対象としてトランプタワーが盗聴されていたと以前ツイッターで発言し調査を指示しているが、政府の超党派の情報委員会や議員らは確たる「根拠・証拠はない」との見解を示している。大統領のスパイザー報道官の会見では、FOXニュースのアナリストによる情報として、米情報機関でなく英国の電子情報機関(GCHQ)が盗聴の指示をしたと指摘され、英国情報機関はこの発言は“馬鹿げている、ナンセンスだ”との異例の声明を出している。盗聴の真偽が疑問視される中、トランプ大統領は「今後2週間にかけ(盗聴に関する)興味深い情報」が出されるだろうと発言。連邦捜査局(FBI)のコミー長官は次週月曜の公開公聴会で質問攻めに合うと見られ、証拠提出を求める圧力が一層高まると見られている。
3月16日付英国
『メールオンライン』は「オバマ氏がトランプタワーを盗聴した証拠がない、上院情報委員会幹部」との見出しで以下のように報道している。
上院情報委員会の議員2人、リチャード・バー情報委員長(ノースカロライナ州)とマーク・ワーナー副委員長(バージニア州)は共同声明で、「収集された情報を基にするとトランプタワーが盗聴されたとの情報は見られなかった」とし、トランプ大統領が主張した「オバマ盗聴」疑惑を確たる証拠がないと述べた。...
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3月16日付英国
『メールオンライン』は「オバマ氏がトランプタワーを盗聴した証拠がない、上院情報委員会幹部」との見出しで以下のように報道している。
上院情報委員会の議員2人、リチャード・バー情報委員長(ノースカロライナ州)とマーク・ワーナー副委員長(バージニア州)は共同声明で、「収集された情報を基にするとトランプタワーが盗聴されたとの情報は見られなかった」とし、トランプ大統領が主張した「オバマ盗聴」疑惑を確たる証拠がないと述べた。この声明は上院の情報委員会が3月4日のトランプ氏のツイッター発言を同様に否定する内容発表した次の日に出された。民主党のアダム・シフ(加州)と共和党のデヴィン・ヌネス(加州)も「大統領の主張を裏付ける証拠はこれまで出ていない」と同様の見解を示唆した。ヌネス氏は「国家情報局は上院情報委員会が先端技術文書へアクセスするのをあまり歓迎しないようだった」、また「ラングレーのCIA(本部)に存在する証拠を検証するための適切なコンピュータ技術を教えたかは不明。それを検証中だ」とも述べているという。
同日付
『AP通信』は「トランプの側近が盗聴問題で尻つぼみ」との見出しで以下のように報道している。
トランプ大統領のオバマ氏盗聴疑惑で補佐官や政権からその証拠の提供が出来ず、大統領はますます孤立している。水曜セッションズ司法長官は、証拠がないとし、共和党のヌネス情報委員会議長も証拠がないと発言。トランプ氏の発言を額面通りに受け取れないとした。水曜のFOXでのインタビューでトランプ大統領は今後2週間で面白いものが出てくるだろうと言っている。スパイザー報道官は、トランプ大統領はオバマ政権で承認されていた通常の偵察の事に言及したのだろうとし、火曜、大統領は司法省が証拠を示すとの「自信を持っている」と述べた。
だが、証拠が出ないとトランプの信頼感を著しく傷つける。ロシアと取引があるのではとの疑惑が生まれる。
下院司法委員会のリンジー・グラハム議長はじきにFBIは極秘の聞き取りを行うだろう。召喚権限を使いFBIから盗聴命令が出ていたのかに関する情報を得る可能性にも示唆していた。
長くトランプの補佐をしているロジャーストーンはロシア関連のハッカーとオンラインで交信したがその権限は外国の機関から情報取集するため政府に与えられたようだと述べている。当時彼は米国政府がハッカーがロシアと関連があると気づいていないと思っていたが、必要なら公聴会などの場で証言するつもりだといっている。
同日付米国
『フィナンシャルタイムズ』は「英情報機関がトランプによるスパイ批判をはねつけ」との見出しで以下のように報道している。」との見出しで次のように報道している。
通常は口の堅い電子情報機関(GCHQ)は、米トランプ大統領のスパイザー報道官が繰り返しオバマ元大統領がGCHQを使って汚い事をやったと述べた事に対し、異例のコメントを出した。スパイザー氏は「偵察技術が使われたという証拠はない」、「NSAもCIAもFBIも司法省も使っておらず、GCHQを使った」とFOXニュースの政治アナリスト、アンドリュー・ナポリターノの名をだし発言。
GCHQのスポークスマンは、「GCHQが大統領(当時候補)の盗聴の指示をしたというアンドリュー・ナポリターノの発言はナンセンスである」、「馬鹿げており、無視すべき」としている。この批判で英国の情報機関でのトランプ政権への不信感は増すだろう。
両国の情報機関どおしでは、よく裏で極秘の情報が共有されていた。ここ数か月、ロシア関連の情報収取において英国は大きな役割を果たしていたが、米国の新大統領による新政府がまだ不安定なことに懸念の声もあった。
米政府委員会は「証拠がない」としたが大統領の報道官はその結論は入手可能なすべての情報に基づいたものではないと述べている。
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