米国の民主党大統領候補者の指名争いで26日、バーニー・サンダース候補がワシントン、アラスカ両州でヒラリー・クリントン候補に大差で勝利した。これまでの選挙戦で劣勢に立たされてきたサンダース氏が驚異的な巻き返しで一矢を報いた形であるが、依然としてクリントン氏の優位は変わらないと見られている。一方で、若者やリベラル層のクリントン離れの動きが勢いを増しており、今後の民主党予備選ばかりでなく、11月の本選挙の行方にも少なからぬ影響を与える可能性がある。
26日の
『CBSニュース』は、サンダース候補が民主党大統領候補指名選挙でアラスカ州とワシントン州で勝利したが、指名を得るためには他の州でも圧勝する必要があると報じている。
クリントン候補は獲得代議員数でサンダース候補を約300人上回っており、この両州は“勝者総取り”ではないのでクリントン陣営に大きな打撃となったわけではない。サンダース候補は、今後も各州で圧倒的な勝利を続けなければならない。
サンダース氏が土曜日に2州で圧勝したのは、大物からの支持が得られたことや、キャンペーンに多額の資金を投入したからで驚くには当たらない。各州の代議員数は、アラスカ州16人、ハワイ州24人、ワシントン州101人であるが、どの州もサンダース氏が得意とする代議員を選出する党員総会を開催する方式をとっている。また、ワシントン・アラスカ両州は白人が多い地方州でありもともとサンダース候補が強い地域である。
クリントン氏は先週末までに1229人の代議員を獲得しサンダース氏の952人を上回っているうえ、428人のスーパー代議員が支持を表明している。指名獲得に必要な代議員数は2383人である。
今後の日程を考えると、サンダース氏にとって最後の大勝利になる可能性が大きい。次はニューヨーク、ペンシルバニア、メリーランドの3州で531人の代議員を争うスケジュールであるが、クリントン氏が優勢と予想されている。
26日付
『ザ・ニューヨークタイムズ』紙は、ワシントン、アラスカ両州でサンダース候補が勝利し、同氏劣勢の中で民主党大統領指名獲得選挙は未だ決着していないと報じている。
サンダース氏はアイダホ州の勝利に続き、リベラルな白人が多く住むワシントン州やアラスカ州でもクリントン候補を破り、最良の結果を手にすることができた。これまで、サンダース氏は南部州で大敗し、オハイオ、フロリダ、ノースカロライナ各州でも敗北し窮地に立たされていたため、代議員101人のワシントン州での勝利は極めて重要である。
サンダース氏は両州の勝利でクリントン候補との差を僅かながら縮めたが、獲得代議員数は土曜日夕刻時点でクリントン氏が約280人上回っている上、440人以上のスーパー代議員が同氏支持を表明している。
しかしその一方で、両州の結果は、クリントン氏がサンダース氏になびいた若いリベラル層や、選挙資金集めやそら演説に懸念を示す有権者を取り込むことに苦戦していることを物語っている。クリントン氏は11月の本選挙を意識した発言に焦点を移していたが、サンダース氏のリベラル層への影響力を目の当たりにして、国内・外交政策への発言に気を遣うようになっている。サンダース氏が所得格差問題やクリントン氏の金融界との癒着に的を絞っているのに対し、クリントン氏は労働者層の取り込みに力を入れている。
クリントン氏は、選挙戦が同氏の地盤であるニューヨーク州(4月19日予定)に移れば勢いを取り戻すチャンスがある。
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アメリカ大統領選挙で12州の予備選・党員集会「スーパーチューズデー」が1日行われた。 開票中であるが、民主党のヒラリー・クリントン前国務長官がアフリカ系の多い南部アラバマ、アーカンソー、ジョージア、テネシー、テキサス、バージニア等を制しサンダース氏に快勝。共和党のドナルド・トランプ氏も7州を制す勢いで勝利している。ここで獲得する代議員の総数は、総数の2割以上となるため大きな山場となる。共和党テッド・クルーズ氏が2州で勝利、マルコ・ルビオ氏は1州に食い込みトランプ氏に挑み続ける。サンダース氏も資金を投入し続行を宣言している。
3月2日付
『ロイター通信』は「トランプ、クリントンが米スーパーチューズデイで大勝利を収める」との見出しで次のように報道している。
・共和党ドナルド・トランプと民主党ヒラリー・クリントンが最有力候補の二人として火曜の予備選挙滑り出しで大きくリードした。
・共和党のテキサス州上院議員テッド・クルーズはトランプの勢いを抑えると宣言し持論を展開、地元テキサスとオクラホマ州で勝利した。
・フロリダ州上院議員で主流派のマルコ・ルビオ氏はミネソタで勝利した。...
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3月2日付
『ロイター通信』は「トランプ、クリントンが米スーパーチューズデイで大勝利を収める」との見出しで次のように報道している。
・共和党ドナルド・トランプと民主党ヒラリー・クリントンが最有力候補の二人として火曜の予備選挙滑り出しで大きくリードした。
・共和党のテキサス州上院議員テッド・クルーズはトランプの勢いを抑えると宣言し持論を展開、地元テキサスとオクラホマ州で勝利した。
・フロリダ州上院議員で主流派のマルコ・ルビオ氏はミネソタで勝利した。
・意見調査によると、トランプは12の州でリード、共和党の他の候補に不安を与えていた。
・サンダース氏は勝利を見込んだ地元2州で勝利。バーモント州バーリントンで支持者に「トランプ氏に世界を二分させない。」等と感謝の辞を述べた。
・トランプ氏はメキシコ国境への壁建設や1100万人の不法難民退去、イスラム教徒排斥等の政策で共和党主流派を懸念させてきたが、世論調査での好評価は共和党の分裂でなく逆に勢いを与え、3月15日のオハイオ州に向かって一致団結を呼びかけた。
・トランプ氏が指名されると11月の本選挙で簡単にクリントン氏に敗北するのを共和党員は懸念している。
・クルーズ氏はテキサスでの勝利スピーチで支持者にトランプは野蛮で私欲のために政治力を利用しようとしていると批判。トランプ氏が共和党指名となれば、共和党内の保守派の分裂が起きるとルビオ氏はCBSニュースで述べている。
・神経外科医ベン・カーソン氏は撤退となった。
・民主党のクリントン氏は南部の州で黒人の支持を受け選挙戦を有利に運んだ。民主党員の中にはサンダース氏が今後もクリントンへ対抗し続ける必要性を疑問視する声もあるがサンダース氏はまだ撤退の意思はないとし、「今夜15州で票が決まり、35州が残る。我々の経済的、社会的正義と環境を勝ち取る闘いに挑み続けよう」と呼びかけた。
3月1日付米
『WCYB』は次のように報道している。
・クルーズ氏は2州で勝利し、この勝利により撤退を免れた。アイオワ州党員集会での勝利と合わせて、クルーズ氏のみがトランプ氏への対抗馬となることが証明されたとし、「この私の勝利でのみトランプ氏を負かす事が出来たし今後も負かすことが可能だ。」と述べた。
・しかし、ルビオ氏がミネソタ州での勝利を確定したことでこの理論は成り立たなくなった。ルビオ氏は「CNN」のインタビューでこのまま突き進むと宣言、トランプ氏の指名はあり得ないとし、「これは共和党精神の戦いだ。撤退を決めるまでは(トランプ氏の勢いを止めるべく)50州を突き進む」と述べた。
3月2日付米
『11alive』は「トランプ氏は7州、クルーズ氏はオクラホマとテキサス、ルビオ氏はミネソタ州獲得」との見出しで以下のように報道している。
・トランプ氏はフロリダの勝利スピーチで、共和党指名候補が視野に入り非常に気分がいい。すべて終わった後はクリントン一人を追いかけるのみだ。」と述べた。
・ジョン・ケーシック氏はバーモント州でトランプ氏に僅差で2位となった。
同付米
『マッシャブル』は「ヒルがやった。スーパーチューズデイでクリントン氏大勝利」との見出しで以下のように報道している。
・勝利に次ぐ勝利でクリントン氏はサンダース氏を下し、11州865人の選挙人獲得の見込み。対するサンダース氏は87人獲得見込み。(指名獲得には2383人の選挙人獲得が必要。)
・ヒラリー氏は「素晴らしいスーパーチューズデイだ。皆が立ち上がる為壁を取り払おう」と呼びかけ、ライバルトランプ氏を意識し、「アメリカは偉大であり続ける。アメリカは一つだ。」と述べた。
・サンダース氏は「地元はいいものだ。バーモントの価値観をホワイトハウスに伝えられるのを誇りに思う。」と述べた。7月の民主党大会まで指名争いを続けたいと述べた。2月に今後の選挙活動に十分な4千2百万ドルの選挙資金を集めた。
同日付英
『BBC』は次のように報道している。
今日のトランプ氏の口調はこれまでより穏やかで静かだった。共和党を一つにする仲介者となると宣言。指名を獲得するなどの発言はなく予備選は事実上終わったと考えているようである。
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