エジプト大統領の赤絨毯パレードが非難の的に(2016/02/15)
低迷する経済と治安の悪化に苦しむエジプトで、エルシーシ大統領を乗せた車列が公営住宅の竣工式に向かう道路上に赤絨毯が敷かれたことが報道され、国民に怒りの声が上がっている。
10日付
『CNNニュース』は、エジプトのエルシーシ大統領が貧民層向けのアパート竣工式に出席するため、赤絨毯を敷き詰めた道路を走行したことが非難を浴びていると伝えた。
・エルシーシ大統領がカイロ郊外の演説会場へ向かう道路に、2.5マイルに亘って赤絨毯が敷かれた。大統領は、公共アパートの就任式に出席し、そこで国民に財政緊縮を訴えた。
・エル・クァワギ軍報道官は、赤絨毯の使用について以前もテレビ放映されており、“材質は軽布で3年間使っているもの”だと釈明した。...
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10日付
『CNNニュース』は、エジプトのエルシーシ大統領が貧民層向けのアパート竣工式に出席するため、赤絨毯を敷き詰めた道路を走行したことが非難を浴びていると伝えた。
・エルシーシ大統領がカイロ郊外の演説会場へ向かう道路に、2.5マイルに亘って赤絨毯が敷かれた。大統領は、公共アパートの就任式に出席し、そこで国民に財政緊縮を訴えた。
・エル・クァワギ軍報道官は、赤絨毯の使用について以前もテレビ放映されており、“材質は軽布で3年間使っているもの”だと釈明した。
・エルシーシ氏は2013年にエジプトで初めて民主選挙で選出されたムハンマド・ムルシー政権をクーデターで倒し、軍部から大統領に就任した。2014年の国連開発計画の報告書によると、エジプト国民の25%以上が貧困層である。
10日付
『ボイス・オブ・アメリカ』は、エルシーシ大統領が出席するカイロ郊外の公営住宅竣工式の会場手前4キロの道に赤絨毯が敷かれたことが、ソーシャルメディアで話題を呼んでいると報じた。
・あるエジプト人はネット上で絨毯のコストについて、約3万2千平方メートルを敷いたとして19万ドルと試算している。
・エジプト軍の幹部がテレビ出演し、政府は絨毯を新しく買ったのではなく備品の絨毯を使っただけと釈明した。それでも、国民は公道に絨毯が敷き詰められた異様な光景に対する批判を止めない。
・多くのエジプト国民は、エルシーシ大統領が一見高価に見える赤絨毯を踏みながら、全国民に対し節約を呼びかけたことを問題にしている。
10日付
『CBSニュース』は、エジプトのエルシーシ大統領が赤絨毯問題で批判に晒されていると報じている。
・巨大な赤絨毯が公道に敷かれた映像が報道されると、ソーシャルメディアで嘲笑の嵐が巻き起こり、新聞もこれを一面で取り上げて報道した。アル・マカル紙は「大統領は何故4kmの赤絨毯を棚上げして、財政引き締めを叫ぶのか?」との見出しを掲げて、エルシーシ大統領を批判した。
・エルシーシ大統領は、2013年にイスラム原理主義者の政権を転覆させて政権の座に就いた。同政権は、政府による巨額な補助金を削減するなどによって財政再建をおこない、その正統性を示そうとしている。
・また、エルシーシ大統領は反対派に対する厳しい弾圧をおこない、政情不安を回復させようとしている。何千人ものイスラム原理主義者や反政府活動家が投獄され死刑判決を受けている。
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メキシコで脱獄逃走中の麻薬王を再逮捕(2016/01/12)
8日、メキシコ市郊外の刑務所から昨年7月に脱獄し逃走中であった「シナロア麻薬カルテル」のエル・チャポことホアキン・グスマン受刑者が、メキシコ海兵隊によって拘束・逮捕された。メキシコ政府は、米国がかねてから要求していた同受刑者の引き渡しに応じる意向を示しており、米国でアル・カポネ以来の組織犯罪の大物の裁判が開始されることになりそうである。一方、米国人俳優のショーン・ペン氏がエル・チャポの逃走中に極秘インタビューをおこない、ローリング・ストーン誌がその記事を逮捕直後に掲載したことが論議を呼んでいる。
1月10日付
『CBSニュース』は、シナロア麻薬カルテルのボスで脱獄逃走中であったエル・チャポが逮捕された直後、ローリング・ストーン誌が、それまで伏せていた独占インタビューを掲載したことを報じている。
ペン氏は昨年秋メキシコの山中で逃走中のエル・チャポにインタビューした。その中で、エル・チャポは家族を養うために麻薬取引に加わったこと、最近20年間は麻薬を使っていないこと、争い事を望まず自分を守っているだけだなどと語っている。...
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1月10日付
『CBSニュース』は、シナロア麻薬カルテルのボスで脱獄逃走中であったエル・チャポが逮捕された直後、ローリング・ストーン誌が、それまで伏せていた独占インタビューを掲載したことを報じている。
ペン氏は昨年秋メキシコの山中で逃走中のエル・チャポにインタビューした。その中で、エル・チャポは家族を養うために麻薬取引に加わったこと、最近20年間は麻薬を使っていないこと、争い事を望まず自分を守っているだけだなどと語っている。エル・チャポはメキシコから米国への麻薬密輸のほぼ半分を仕切るとともに、3万4千人以上の殺人に関与していると伝えられている。先週金曜日、メキシコ軍海兵隊がロス・モキスという町に降下し、銃撃戦で5人のカルテル戦闘員を殺害後エル・チャポを拘束した。メキシコ当局は米国人俳優ショーン・ペン氏との極秘インタビューは先週金曜日の逮捕の一つの手掛かりになったと明かしている。
ショーン・ペン氏は、ハリウッドからはエル・チャポの半生を描く映画の依頼が殺到していたが、エル・チャポは最終的にメキシコ人女優のケート・デル・カスティージョ氏にそれを委ねたと話している。エル・チャポはハリウッドに行かないとしても、米国の6つの州から逮捕状が出ているため米国に引き渡される可能性が高いが、それはエル・チャポが最も恐れていることだと同ニュースは報じている。
1月10日付
『ニューヨークタイムズ』紙は、1995年にサンディエゴの連邦大陪審からコカイン密輸で起訴され、その後7州で追起訴されているエル・チャポが米国に引き渡されることになりそうだと報じている。米検察当局は、エル・チャポの麻薬カルテルは数十万ポンド(数十億ドル)のコカインを米国に密輸したとして、メキシコに対し過去何回も引き渡しを要求してきたが、これまで引き渡しはされなかった。しかし、昨年夏の脱獄後ようやく逮捕されたことを受け、メキシコ政府は米国への引き渡しに前向きの姿勢を示している。
メキシコがエル・チャポの引き渡しに応じるには、米国は死刑が宣告される可能性がある重罪で告発しないことを保証する必要があることはほぼ間違いない。メキシコには死刑制度がなく、死刑になる可能性のある被告を外国に引き渡さない方針を採っている。
シナロア麻薬カルテルのボスであるエル・チャポとイスマイル・ガルシアは、1980年代以降米国に500トン以上のコカイン、ヘロイン、メタ・アンフェタミン、マリファナなどを密輸した容疑で起訴されている。また、起訴状ではメキシコ警察官や兵士、議員、ライバル密輸組織のメンバーの殺人への関与についても指摘している。
1月10日付
『US&ワールドリポート』紙は「AP」電として、俳優のショーン・ペン氏がローリング・ストーン誌に掲載した悪名高い麻薬王とのインタビューは倫理的に問題があり、大スクープではあっても賞賛には値しないと報じている。ローリング・ストーン誌は先週末、ショーン・ペン氏が脱獄して逃走中のエル・チャポに昨年秋にインタビューした記事を掲載した。エル・チャポは先週金曜日、5人のボディーガードが銃撃戦で死亡した後逮捕された。
この記事ついては、倫理上または判断に関する疑問がある。つまり、ペン氏は当局が必死で追っている脱獄者と秘密裡に会うべきだったのか、また、記事の内容についてエル・チャポの事前承認を得るという間違いを犯していないか、麻薬王のエル・チャポに「将来の夢は?世の中を変えることができればやりますか?」などと質問してその残忍な過去を矮小化することにならないのか、などの疑問である。ローリング・ストーン誌の広報は、こうした質問にコメントしない。一方、ペン氏はエル・チャポが記事内容を変更しないことを条件に承認したことを認めたが、それはジャーナリズムの基本ルールを無視するものであると批判している。
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