【Globali】
世界が見るAIIBをめぐる攻防(4)(2015/03/31)
AIIBの創設メンバーに加わるための締め切り日である31日、麻生財務相は会見で、不透明なガバナンスを理由にAIIBへの参加を先送りする方針を発表した。アジア開発銀行が日米主導で運営されている上、安倍首相の訪米、米国上院下院議会演説も控えており政治的にも日本の参加は難しい状況だった。しかし日本の経済界には、AIIB参加を強く望む声があるようだ。各国は、AIIBをめぐる攻防について以下のように報じた。
3月30日付
『ウォールストリートジャーナル』(米国)は「参加した西側の国々は、より透明性を確保するために、内側から変えていくと主張している」と報じた上で、「西側の指導者が、第二次大戦後の新たな金融システムとして設立した世界銀行とははっきりと異なり、AIIBはアジアの経済秩序を自ら主導していきたいという中国の欲望の賜物である」と指摘した。
3月30日付
『フィナンシャルタイムズ』(英国)は、「AIIBの加入を保留した日本が、米国にTPPを迅速に推進させるよう議会を説得してほしいと要請した」と報じた上で、「日本が経済的な問題で、米国に圧力をかけることはまれでこうした日本政府の動きは、アジアにおいて、AIIBで中国に経済覇権を奪われる不安が反映されたものと解釈される」と指摘した。...
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3月30日付
『ウォールストリートジャーナル』(米国)は「参加した西側の国々は、より透明性を確保するために、内側から変えていくと主張している」と報じた上で、「西側の指導者が、第二次大戦後の新たな金融システムとして設立した世界銀行とははっきりと異なり、AIIBはアジアの経済秩序を自ら主導していきたいという中国の欲望の賜物である」と指摘した。
3月30日付
『フィナンシャルタイムズ』(英国)は、「AIIBの加入を保留した日本が、米国にTPPを迅速に推進させるよう議会を説得してほしいと要請した」と報じた上で、「日本が経済的な問題で、米国に圧力をかけることはまれでこうした日本政府の動きは、アジアにおいて、AIIBで中国に経済覇権を奪われる不安が反映されたものと解釈される」と指摘した。また「TPPが実現すれば、全世界の国内総生産の40%に相当する巨大経済圏となるはずだが、米国と日本は、自国内の政治利害調整に苦しみ事実上、TPP交渉は膠着状態にある」と指摘した。
3月31日付
『財経日報』(韓国)は、「6月までにAIIBの参加を期待するという日本の経済界の立場に、日本政府が同意した(フィナンシャルタイムズ)」との中国駐在の木寺日本大使の発言を根拠にしながら、「AIIBに日本が参加する可能性がある」と報じた。また「日本政府がこれまでAIIB加入の意思を積極的に示してこなかった背景には、米国政府の存在があり、米国が世界銀行とアジア開発銀行の影響力が損なわれることを懸念し、同盟国のAIIB参加に反対の意を表明してきたからである」と伝えた。その上で「米国の友好国が次々とAIIBへ加入を表明する中で、米国もAIIBに協力する方向に路線変更を余儀なくされている。日本の中にも日本だけが孤立することにならないかという懸念が出てきており、特に日本の経済界にとっては、AIIBで推進されるアジアのインフラ建設事業に参加する機会を見逃すことはできない上、AIIB参加が日本と中国の関係回復にも役立つものと見て、政府の態度の変化を期待している」と報じた。
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