アルジェリア軍高官、フランスに核実験の責任を負うよう訴える(2021/02/09)
アルジェリア国防省の月刊誌「エルジェイシュ」の2月号に、フランスが1960年代にサハラ砂漠で行った核実験の現場を「その歴史的責任を引き受け」「除染する」必要があるとするアルジェリア軍高官の発言が掲載された。ブジド・ブーフリワ将軍によると、サハラでの核爆発は「多数の死傷者」と「環境被害」をもたらし、それは現在も続いているという。
フランスメディア
『ル・モンド』によると、1960年2月13日、フランスは当時フランス領であったサハラ砂漠南部のレッガーヌで初の核実験を行った。実験から3日後、フランス当局は、現場の放射能は安全基準をはるかに下回っていると断言した。しかし、2013年に機密指定を解除された文書で、当時認められていたものよりもはるかに莫大な放射性物質が、西アフリカと南ヨーロッパ全域に広がっていたことが明らかになった。
1830年から1962年までアルジェリアを植民地化したフランスは、1960年から1966年にかけて、アルジェリアのサハラ砂漠で計17回の核実験を行っている。...
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フランスメディア
『ル・モンド』によると、1960年2月13日、フランスは当時フランス領であったサハラ砂漠南部のレッガーヌで初の核実験を行った。実験から3日後、フランス当局は、現場の放射能は安全基準をはるかに下回っていると断言した。しかし、2013年に機密指定を解除された文書で、当時認められていたものよりもはるかに莫大な放射性物質が、西アフリカと南ヨーロッパ全域に広がっていたことが明らかになった。
1830年から1962年までアルジェリアを植民地化したフランスは、1960年から1966年にかけて、アルジェリアのサハラ砂漠で計17回の核実験を行っている。1962年にアルジェリアの独立を認めたエビアン協定で、フランスに対し1967年までサハラ砂漠の各実験施設の使用を認める条項が含まれていたため、アルジェリア独立後も地下実験が11回行われた。こうした過去の核実験の問題は、アルジェリアとフランスの間の主要な論争の一つとなっている。
アルジェリアメディア『アルジェリ54』によると、ブーフリワ将軍はレッガーヌで行われた地表実験は、「アルジェリア南部の大部分を汚染し、その影響は近隣のアフリカ諸国にまで及んだ。多くの地下実験は汚染調査対象外だったため、爆発による核分裂生成物は広範囲に拡散し、汚染した。」と主張している。同将軍は、これらの実験の結果、「膨大で高濃度の放射性物質を含む核廃棄物が地下に埋められている、または野ざらしになっており、さらに広大な地域に拡散した放射能により、地元住民に多くの犠牲者を出し、環境に被害を与え、残念ながら今日まで続いている」と述べている。
現在は、核実験が行われた現場を保護し、除染するという任務が国民人民軍(ANP)に委ねられているという。ANPは、これまで核汚染された地域の境界線を策定した上で進入禁止とし、偵察や監視、地元住民の医療支援や水源の定期的な調査などを行ってきた。しかし、将軍によると、「核爆発の性質や埋設された汚染物質に関する技術的な情報の欠如」が問題であるとし、「アルジェリアでの最初の核実験から60年以上が経過しているが、フランスは核の遺構の位置を明らかにした地図の引き渡しを拒否し続けている」ことを嘆いた。
『ル・モンド』によると、将軍は地図の引き渡しは、「アルジェリア国家が強く主張している権利であり、核実験におけるアルジェリア人被爆者への補償の問題も忘れてはならない」と述べ、フランスによる除染の必要性も訴えている。
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日本の漫画、コロナ禍のフランスで漫画販売9%増に貢献(2021/01/29)
新型コロナウイルスのために3回目のロックダウンが検討されているフランスで、漫画の売り上げが絶好調だ。2020年、新型コロナウイルスのパンデミックの中でも売り上げを9%伸ばしており、昨年フランスで購入された本の5冊に1冊を占めた。
日刊紙
『ル・モンド』や金融紙
『レゼコー』によると、1月29日から30日にかけて開催されるアングレーム国際漫画祭にあわせて、ドイツの GFKインスティテュートが漫画業界に関する調査結果を公表した。調査によると、出版業界全体はパンデミックによる外出規制や書店の閉店などの影響を受けて、2020年に売り上げが5%縮小した。一方漫画業界は、売り上げを伸ばしている。
2020年に売上高は6%増加し、5億9100万ユーロ(約748億円)に達した。...
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日刊紙
『ル・モンド』や金融紙
『レゼコー』によると、1月29日から30日にかけて開催されるアングレーム国際漫画祭にあわせて、ドイツの GFKインスティテュートが漫画業界に関する調査結果を公表した。調査によると、出版業界全体はパンデミックによる外出規制や書店の閉店などの影響を受けて、2020年に売り上げが5%縮小した。一方漫画業界は、売り上げを伸ばしている。
2020年に売上高は6%増加し、5億9100万ユーロ(約748億円)に達した。販売部数で言えば9%増加しており、5,310万部という新記録を打ち出した。漫画本は、出版業界で2016年から最も急成長している分野で、出版業界の売り上げの約18%を占めるようになっている。漫画本は現在、フランスで購入されている本の5分の1近くを占めている。
その中でも日本の漫画は昨年18%の成長を記録しており、最もダイナミックな成長を遂げているジャンルとなっている。「ONE PIECE」と「ナルト」は漫画本売り上げ上位1位と2位の座を占めており、「鬼滅の刃」「ドラゴンボール超」「僕のヒーローアカデミア」などもベストセラーとなっている。フランスで購入されている漫画本の2冊に1冊は日本の漫画になっている。
オンラインニュースサイト『20ミニュットfr』によると、日本の漫画以外の漫画本ベストセラーは、西部劇漫画「ラッキー・ルーク」、リビアやシリアでの幼少期を描いた「未来のアラブ人」、SF探偵漫画「ブレイク&モーティマー」、古代ローマ時代の冒険コメディ漫画「アステリックス」などがランクインしている。
特筆すべきは「購入された漫画の65%が30代以下をターゲットにした漫画であり、その割合は2019年と比べて6ポイント上昇している」こと。漫画の好調な売り上げを支えているのは若い読者層であることが分かる。
『レゼコー』によると、一般的な漫画本の読者層は15歳~29歳と30歳~49歳がそれぞれ39%となっている。一方で、テーマ別の漫画は、15歳~29歳、30歳~49歳、50歳以上の購入がほぼ同率であり、幅広い読者層をカバーしているのが分かる。GFKのシニアコンサルタントであるカミーユ・オリオ氏は、「それぞれの漫画カテゴリーには独自の読者層が存在しており、漫画本は生涯を通して楽しむことが出来る本であることを示している」と述べている。
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