ドラゴンボール、スペインでキャンセルカルチャーの対象に?(2021/04/03)
バレンシア地方の公共テレビ局が、海外でも人気の高い日本のアニメ「ドラゴンボール」を再放送しないことを決定した。テレビ局は、このアニメが、現地の法律に反する性差別的な内容を含んでいると説明している。
仏メディア
『マリアンヌ』 や
『クーリエ・アンテルナショナル』 によると、複数のスペインメディアが3月23日、スペインのバレンシア州にある公共テレビ局「À Punt Mèdia」の経営陣が日本アニメの名作「ドラゴンボール」の放送を拒否したと伝えた。
この決定は、3月初めに、地元のドラゴンボールファンが、アニメを再放送してほしいとテレビ局に呼びかけていたキャンペーンに対する回答だという。
再放送を呼び掛けるキャンペーンには、バレンシア州議会のモニカ・オルバロ議員も賛同し、À Punt Mèdiaに直接打診していたが、同テレビ局の幹部アルフレッド・コスタ氏は、ドラゴンボールシリーズは「ステレオタイプや性差別的なキャラクターを通じて、性的差別を助長する内容」を含んでいると説明している。...
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仏メディア
『マリアンヌ』 や
『クーリエ・アンテルナショナル』 によると、複数のスペインメディアが3月23日、スペインのバレンシア州にある公共テレビ局「À Punt Mèdia」の経営陣が日本アニメの名作「ドラゴンボール」の放送を拒否したと伝えた。
この決定は、3月初めに、地元のドラゴンボールファンが、アニメを再放送してほしいとテレビ局に呼びかけていたキャンペーンに対する回答だという。
再放送を呼び掛けるキャンペーンには、バレンシア州議会のモニカ・オルバロ議員も賛同し、À Punt Mèdiaに直接打診していたが、同テレビ局の幹部アルフレッド・コスタ氏は、ドラゴンボールシリーズは「ステレオタイプや性差別的なキャラクターを通じて、性的差別を助長する内容」を含んでいると説明している。アニメに出てくる表現は、テレビが「自主規制により、特に子供や若者向けの番組で性差別的な内容を排除し、平等の原則を伝えることを目的とした行動規範を採用しなければならない」というバレンシア州の地域法に反するものであるとも述べている。
2016年のこの法律には、公共チャンネルが「男女間の平等な扱いと機会、非性差別的な言葉の使用」を提示しなければならないと明記されている。
しかし、『マリアンヌ』 は、同テレビ局は今回の決定を裏付ける、法律に違反するような具体的な内容を上げることはできていないと伝えている。
日本のアニメにはジェンダーに対する固定観念は確かに存在する。日本のマンガには変質者的なキャラクターが繰り返し登場する。しかし、ドラゴンボールの場合、女性キャラクターに淫らなアプローチをすると、凶暴な答えが返ってくる。変質者のキャラクターが目的を達成することはなく、被害を受けている女性キャラクターは相手を昏睡状態に陥らせるほどの反撃を見せる。こうしたシーンに、社会的に誘発されたセクハラの再現と見なす人もいれば、むしろ女性に対するエンパワーメント(社会的地位向上)の印だと見なす人達もいるのだ。
日本のアニメは、暴力と性的な暗示に満ちているが、欧米に輸出される際、欧米文化にあわせた修正が加えられている。例えば人種差別の非難を避けるために、日本では黒人だったドラゴンボールのキャラクター、ミスター・ポポが青色のキャラクターに修正されている。また第1話では、主人公の孫悟空が、弟子の一人に釣竿で下着を外され、全裸になってしまうシーンは、欧米向けのバージョンでは、キャラクターは服を着たままで、釣り竿の先には下着の代わりに束がついている。
『マリアンヌ』 は、性的差別の非難を避けるためには、こうした修正はもはや十分ではなくなっているようだ。キャンセルカルチャーは、日本のアニメも攻撃対象にしているのか?と伝えている。バレンシア州の法律は、20世紀の数多くの作品を一掃してしまう危険性のある差し止め命令でもあると指摘している。
『クーリエ・アンテルナショナル』 によると、ドラゴンボールはスペインでは人気が高く、1990年代に放送されたシリーズは、すぐにバレンシア地方の方言に吹き替えられ、スペイン紙「エル・パイス」は、「地元の言葉を標準化するための非常に有効な手段となった」とも伝えている。これが功を奏し、15年後には1万人以上の愛好家が集まるクラブが地元にできた。ファンは再放送しないという今回の決定に対し、ツイッターで、キャンセル文化の一例だと非難し、お気に入りのシリーズの再生を要求している。一方で、今回の決定に他のチャンネルも見習うべきだと呼びかける人もいる。
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イスラエル、国民の積極的なワクチン接種で日常生活に活気戻る(2021/03/24)
新型コロナウイルスのワクチン接種を積極的に推し進めてきたイスラエルでは、ワクチンの効果が表れ始めており、感染状況が改善してきている。コロナの新しい波がやってくる可能性も低下しているとしてコロナ規制の解除が進み、人々の日常生活に活気が戻り始めている。
仏金融紙
『レゼコー』 によると、ワクチン接種が遅れている欧州で新型コロナウイルスの感染が再び増加している一方で、国民の半数近くがワクチンを接種したイスラエルでは、外出規制などを緩和したにもかかわらず、着実に状況が改善してきているという。
現在、国民の57.9%が最低でも1回目のワクチンを接種しており、世界で最もワクチン接種率が高い国となっている。
イスラエルは2月21日にロックダウン解除の第2段に入り様々な店が営業を再開している。...
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仏金融紙
『レゼコー』 によると、ワクチン接種が遅れている欧州で新型コロナウイルスの感染が再び増加している一方で、国民の半数近くがワクチンを接種したイスラエルでは、外出規制などを緩和したにもかかわらず、着実に状況が改善してきているという。
現在、国民の57.9%が最低でも1回目のワクチンを接種しており、世界で最もワクチン接種率が高い国となっている。
イスラエルは2月21日にロックダウン解除の第2段に入り様々な店が営業を再開している。さらに3月6日には、文化的生活、レジャー施設の再開が認められる第3段の制限解除に踏み切った。現在、ワクチンを接種した人であれば、感染の可能性が高いとされているレストランやジムに行くことが認められている。
そして制限解除後も、コロナ感染に関する指標が著しく改善してきている。感染者の発生率は、3月6日には人口100万人あたり435人であったのに対し、22日には130人未満と、ほぼ14分の1に減少した。ウイルスが抑えられてきていることは、PCR検査の陽性率の低下や死亡者数の減少からも確認されている。7日間平均で見ると、3月6日は死亡者数が18人であったのに対し、22日は11人に下がった。
それでも、イスラエルは慎重な姿勢を崩したわけではない。一部の制限解除は、予防接種を受けた人、またはコロナから完治した人で「グリーンパスポート」を保持している人に限定されており、その他の制限解除も、感染が抑えられている「緑」または「オレンジ」指標の都市に限られている。マスク着用義務も継続されている。
仏誌『マリアンヌ』 は、ロックダウン措置だけではウイルスを抑え込むことに限界があり、イスラエルのように、全人口層への大規模かつ迅速なワクチン接種がウイルスを抑え込む唯一の鍵となると報じている。しかし、フランス国際関係戦略研究所(IRIS)のグローバルヘルス観測所共同ディレクターであるアンヌ・セネキエ博士は、「イスラエルの成功は、その地理的な特殊性によるもの」だと指摘している。「軍事化された国が、狭い領土に集中している930万人の住民に対して積極的なワクチン接種を展開した。医学的な観点からは効果的だが、フランスでは道徳的に認められないだろう。」と指摘している。
仏メディア『BFMTV』 も、イスラエルが軍隊を動員したことで高い接種率を短期間で達成することができたと伝えている。また、イスラエルは、国民の医療ファイルがデジタル化されているため、ワクチンの効果に関する生物医学的データと引き換えに、数百万回分のワクチンを迅速に入手できるというファイザー社との契約により、12月19日から大規模な予防接種キャンペーンを開始することができたと伝えている。
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