南京大虐殺、世界記憶遺産認定で波紋(2015/10/13)
南京大虐殺がユネスコの世界記憶遺産に認定されることになった。このことに対し、中国は歓迎の、日本は抗議の意向を明らかにしている。各メディアは以下のように伝えている。
10月10日付
『ブルームバーグ・ビジネス』は南京大虐殺がユネスコの世界記憶遺産に登録されるという決定に対する日本の反応を掲載している。日本の外務省は「今回提出された資料は中国側の一方的な証言に基づいており、日本は提出された資料の論理的一貫性と信用性については非常に懐疑的である」とコメントしたという。今回中国が提出した報告書は世界各国から提出された47ある報告書のうちの一つだという。
今回の発表に先立ち、10月9日に外務省官僚は「万が一ユネスコが今回の中国の報告書を採用し、南京大虐殺が世界記憶遺産に登録されるようなことにでもなれば、今後予定されている日中韓三か国協議を目前に控えた大事な時期に日本と中国の関係に打撃を与えることになるだろう。...
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10月10日付
『ブルームバーグ・ビジネス』は南京大虐殺がユネスコの世界記憶遺産に登録されるという決定に対する日本の反応を掲載している。日本の外務省は「今回提出された資料は中国側の一方的な証言に基づいており、日本は提出された資料の論理的一貫性と信用性については非常に懐疑的である」とコメントしたという。今回中国が提出した報告書は世界各国から提出された47ある報告書のうちの一つだという。
今回の発表に先立ち、10月9日に外務省官僚は「万が一ユネスコが今回の中国の報告書を採用し、南京大虐殺が世界記憶遺産に登録されるようなことにでもなれば、今後予定されている日中韓三か国協議を目前に控えた大事な時期に日本と中国の関係に打撃を与えることになるだろう。そのような事態は公平中立が求められるユネスコのような国際機関にとって、あってはならないことだ」と述べたという。
10月12日付
『NBCモンタナ』は
『CNN』の記事を引用し、南京大虐殺が世界記憶遺産に登録されることを中国のメディアが「歓迎している」と報じている。同記事は
『新華社通信』の記事を引用し、今回中国が提出した報告書は11の記録から構成されており、1937年から1948年にかけての映像、写真および文書から成ることを伝えている。
日本は1930年代から第二次世界大戦にかけてに中国に進出している。中国政府によれば、その中で起きた日本軍による数週間にも及ぶ大虐殺、強姦、略奪により、約30万人の命が奪われたという。日本政府はこの南京大虐殺の規模について争っているという。
中国政府の報道官である華春瑩氏は「新華社通信」に対し「我々は今回重要な意義を有する報告書が保護・認知され、歴史を記憶する上で大切な役割を果たすことができると確信している。我々は歴史を、平和を重んじ、未来を見据え、人間の尊厳を守るために活かさなければならない」と語ったという。
ユネスコ記憶遺産は1992年から歴史的な報告書を保護する目的で始められたもので、これまで実にさまざまな報告書が登録されてきた。例えばオランダの東インド会社の史料やアンネ・フランクの日記、作曲家であるブラームスの楽譜などが挙げられる。
今回の中国による報告書の提出は1年以上前になされてものであり、日本はこれに強く反発していたという。特に大虐殺の規模に関して強く争う姿勢であったという。菅官房長官は「日本・中国の両国間が関係改善のために協力しなければならない時期に、中国がユネスコを政治目的で利用し不必要に史実をでっちあげたのはまことに遺憾」とコメントしているという。「我々は日本軍が南京に進駐した際、虐殺や強奪があった点では争っていないが、その規模については数字を明示するのが難しいと言っているだけだ」。
10月13日付
『ヤフー.com』は
『AP通信』の記事を引用し、菅官房長官がユネスコが南京大虐殺を世界記憶遺産に登録すれば、日本はユネスコへの資金提供を削減するなど、様々な措置をとることを検討中であると述べたという。また同氏はユネスコの組織自体の改革も視野に入れるべきとコメントしたという。
今回の件が日中間のあらたな火種となりそうだ。
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カタルーニャ独立派の州首相マス氏に捜査の手(2015/10/02)
スペインから独立の動きを見せるカタルーニャだが、独立派の同州首相のマス氏率い
る党本部に対する汚職疑惑に続いて、同氏が独立運動を企てたことを理由とする犯罪
の嫌疑をかけられていることが明らかとなった。各メディアは以下のように伝えてい
る。
10月2日付
『ブルームバーグ・ビジネス』はスペインからの独立を目指すカタルー
ニャ州首相マス氏が同州の警察から、独立を企てたとして犯罪捜査を受ける可能性が
あることを報じた。マス氏の率いるクンバルジェンシア(集中)という名の党のマド
リード本部は党幹部らの汚職に関する罪の証拠収集のため捜索を受けたが、この汚職
に関してはマス氏自身は捜査の対象にはなっていないという。
マス氏はこの3年の間、困難な選挙や党内の分裂を乗り越えてスペインからの独立を
勝ち取るべく邁進してきたが、この事が彼の古くからの支持者の怒りを買っていると
いう点は否めない。...
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10月2日付
『ブルームバーグ・ビジネス』はスペインからの独立を目指すカタルー
ニャ州首相マス氏が同州の警察から、独立を企てたとして犯罪捜査を受ける可能性が
あることを報じた。マス氏の率いるクンバルジェンシア(集中)という名の党のマド
リード本部は党幹部らの汚職に関する罪の証拠収集のため捜索を受けたが、この汚職
に関してはマス氏自身は捜査の対象にはなっていないという。
マス氏はこの3年の間、困難な選挙や党内の分裂を乗り越えてスペインからの独立を
勝ち取るべく邁進してきたが、この事が彼の古くからの支持者の怒りを買っていると
いう点は否めない。党内の汚職の噂は、マス氏が3期目の任期に向けて分裂している
党派を統一しようという努力に水を差すものであり、ひいてはスペインからの独立運
動の勢いをそぐものであると報じている。
先週の日曜に行われた選挙では、投票率からするとマス氏が独立賛成の過半数を獲得
できなかったという見方もあり、スペインの10年ものの国債は下落しているという。
マス氏率いるクンバルジェンシア党の広報担当者のフランチェスク・サンチェス氏は
「汚職の嫌疑についてはまだ特定の人物は挙げられておらず、当局からの連絡を待っ
ている状態だ。今回の捜査は選挙活動の直前に開始されており、行き過ぎだ」と語っ
たという。
マス氏は今まで分裂していた派閥と連合を組んで先週末の選挙に臨んだが、投票率か
ら計算すると過半数は獲得できていないとする意見もある。そのため今度は反資本主
義を掲げるCPUを取り込んで独立運動を続けていく必要があるという。
もっとも、CPUはカタルーニャ独立に関しては意を同じくするものの、他の点に関し
ては全く意見を異にし、マス氏を支持しない方針を明らかにしており、クンバルジェ
ンシア党内の汚職を含めて事態の成り行きを静観する方針だという。
そして今週マス氏は独立運動のために学校や公共の施設を開放した嫌疑でバルセロナ
の裁判所に証言のために出廷するという。マス氏は9月30日にカタルーニャのラジオ
番組に出演し「スペイン政府が我々から投票の機会を奪おうとすることに対して断固
戦うことを誓う。私は法的には政府に従わなかった。政治的には民主的な反乱だった
といえる」と語ったという。
マス氏に同調する者もいる。中でもスペイン左派政党のポデモス党のパブロ・イグレ
シアス氏は欧州委員会に「民意を反映する投票を実現する行動が犯罪になるなんてお
かしい」と訴える書簡を送ったという。
10月1日付
『ザ・モニターデイリー』は混乱を極めるスペインの内情について、スペ
イン政府はスペイン・バレンシアのローマ・カトリック大司教に「分裂の無い自由な
国スペイン」への祈りのミサを行ってほしいと依頼するほどだと報じている。独立派
は、カタルーニャはすでに自治権を有しているものの、言語、慣習や経済面で差別、
搾取を受けていると主張している。
先週の選挙では独立派の勝利とする見方もあるものの、独立派の連合的性格から前途
は多難であり、政治家学者のジョセフ・ラモネーダ氏は「遅かれ早かれ早かれ連合内
の意見の対立が表面化するだろう。もって18か月だろう」とコメントしている。
ただ、カタルーニャ内でも独立については意見が分かれており、昨年のスコットラン
ドのイギリスからの独立問題のように独立派が過大な政治公約を掲げて独立を煽った
のと同様の事態になりはしないかと懸念する意見もあるという。
10月1日付
『WHIO』(アメリカ・オハイオ)はスペインのマリアーノ・ラホイ首相が
今年12月に総選挙を実施する意向であることを報じており、今後の行方が気になると
ころである。
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