カタルーニャ独立派の州首相マス氏に捜査の手(2015/10/02)
スペインから独立の動きを見せるカタルーニャだが、独立派の同州首相のマス氏率い
る党本部に対する汚職疑惑に続いて、同氏が独立運動を企てたことを理由とする犯罪
の嫌疑をかけられていることが明らかとなった。各メディアは以下のように伝えてい
る。
10月2日付
『ブルームバーグ・ビジネス』はスペインからの独立を目指すカタルー
ニャ州首相マス氏が同州の警察から、独立を企てたとして犯罪捜査を受ける可能性が
あることを報じた。マス氏の率いるクンバルジェンシア(集中)という名の党のマド
リード本部は党幹部らの汚職に関する罪の証拠収集のため捜索を受けたが、この汚職
に関してはマス氏自身は捜査の対象にはなっていないという。
マス氏はこの3年の間、困難な選挙や党内の分裂を乗り越えてスペインからの独立を
勝ち取るべく邁進してきたが、この事が彼の古くからの支持者の怒りを買っていると
いう点は否めない。...
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10月2日付
『ブルームバーグ・ビジネス』はスペインからの独立を目指すカタルー
ニャ州首相マス氏が同州の警察から、独立を企てたとして犯罪捜査を受ける可能性が
あることを報じた。マス氏の率いるクンバルジェンシア(集中)という名の党のマド
リード本部は党幹部らの汚職に関する罪の証拠収集のため捜索を受けたが、この汚職
に関してはマス氏自身は捜査の対象にはなっていないという。
マス氏はこの3年の間、困難な選挙や党内の分裂を乗り越えてスペインからの独立を
勝ち取るべく邁進してきたが、この事が彼の古くからの支持者の怒りを買っていると
いう点は否めない。党内の汚職の噂は、マス氏が3期目の任期に向けて分裂している
党派を統一しようという努力に水を差すものであり、ひいてはスペインからの独立運
動の勢いをそぐものであると報じている。
先週の日曜に行われた選挙では、投票率からするとマス氏が独立賛成の過半数を獲得
できなかったという見方もあり、スペインの10年ものの国債は下落しているという。
マス氏率いるクンバルジェンシア党の広報担当者のフランチェスク・サンチェス氏は
「汚職の嫌疑についてはまだ特定の人物は挙げられておらず、当局からの連絡を待っ
ている状態だ。今回の捜査は選挙活動の直前に開始されており、行き過ぎだ」と語っ
たという。
マス氏は今まで分裂していた派閥と連合を組んで先週末の選挙に臨んだが、投票率か
ら計算すると過半数は獲得できていないとする意見もある。そのため今度は反資本主
義を掲げるCPUを取り込んで独立運動を続けていく必要があるという。
もっとも、CPUはカタルーニャ独立に関しては意を同じくするものの、他の点に関し
ては全く意見を異にし、マス氏を支持しない方針を明らかにしており、クンバルジェ
ンシア党内の汚職を含めて事態の成り行きを静観する方針だという。
そして今週マス氏は独立運動のために学校や公共の施設を開放した嫌疑でバルセロナ
の裁判所に証言のために出廷するという。マス氏は9月30日にカタルーニャのラジオ
番組に出演し「スペイン政府が我々から投票の機会を奪おうとすることに対して断固
戦うことを誓う。私は法的には政府に従わなかった。政治的には民主的な反乱だった
といえる」と語ったという。
マス氏に同調する者もいる。中でもスペイン左派政党のポデモス党のパブロ・イグレ
シアス氏は欧州委員会に「民意を反映する投票を実現する行動が犯罪になるなんてお
かしい」と訴える書簡を送ったという。
10月1日付
『ザ・モニターデイリー』は混乱を極めるスペインの内情について、スペ
イン政府はスペイン・バレンシアのローマ・カトリック大司教に「分裂の無い自由な
国スペイン」への祈りのミサを行ってほしいと依頼するほどだと報じている。独立派
は、カタルーニャはすでに自治権を有しているものの、言語、慣習や経済面で差別、
搾取を受けていると主張している。
先週の選挙では独立派の勝利とする見方もあるものの、独立派の連合的性格から前途
は多難であり、政治家学者のジョセフ・ラモネーダ氏は「遅かれ早かれ早かれ連合内
の意見の対立が表面化するだろう。もって18か月だろう」とコメントしている。
ただ、カタルーニャ内でも独立については意見が分かれており、昨年のスコットラン
ドのイギリスからの独立問題のように独立派が過大な政治公約を掲げて独立を煽った
のと同様の事態になりはしないかと懸念する意見もあるという。
10月1日付
『WHIO』(アメリカ・オハイオ)はスペインのマリアーノ・ラホイ首相が
今年12月に総選挙を実施する意向であることを報じており、今後の行方が気になると
ころである。
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東京オリンピックが後世に残すもの:水素燃料(2015/09/17)
2020年東京オリンピックに向けて、様々な方面での準備が始められている。会場の建設なども人々の関心を集めているが、舛添都知事は選手や観客の移送手段の動力源として水素エネルギーの導入に期待を寄せているという。水素エネルギーをどのような形で導入しようとしているのか、またその利点、欠点について各メディアは以下のように報じている。
9月16日付
『ウォールストリートジャーナル』(アメリカ)は舛添東京都知事が2020年の東京オリンピックでの選手や観客の移送手段の動力源として水素エネルギーの強い関心を抱いていると伝えている。舛添都知事はインタビューに対し「50年前の東京オリンピックでは新幹線が日本技術の象徴となった。今度の東京オリンピックでは水素エネルギーを技術の象徴として後世に残したい」と語ったという。東京都は水素エネルギーの開発関連に400億円の投資をする予定であるという。...
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9月16日付
『ウォールストリートジャーナル』(アメリカ)は舛添東京都知事が2020年の東京オリンピックでの選手や観客の移送手段の動力源として水素エネルギーの強い関心を抱いていると伝えている。舛添都知事はインタビューに対し「50年前の東京オリンピックでは新幹線が日本技術の象徴となった。今度の東京オリンピックでは水素エネルギーを技術の象徴として後世に残したい」と語ったという。東京都は水素エネルギーの開発関連に400億円の投資をする予定であるという。水素エネルギーとは燃料電池内で水素と酸素の反応を起こし、エネルギー産出の際に水以外を排出しないクリーンなエネルギーとして注目されている。
理想としては数千台の車、最低でも100台の水素燃料バスがオリンピック村や会場周辺で運行され、水素エネルギーを供給するスタンドがそこかしこに存在している状態だという。また、各国の報道関係者が集うメディアセンターやオリンピック村での消費エネルギーを賄うべく、大規模な燃料電池に水素エネルギーを輸送するためのパイプラインの建設も視野に入れているという。これは2011年の福島第一原発事故以降、原発はもとより、石油燃料への依存も減らしていこうとする動きの一環だという。
ただ、水素エネルギー導入にあたっては越えなければならまいハードルがいくつかある。まず水素エネルギーの製造だ。水素はあらゆる場所に存在するものの、地球上ではとりわけ化石燃料内に多く存在するという。そこから水素を取り除く際に大量の二酸化炭素が排出されるという。これでは本末転倒ともいえる。
仮に水素エネルギーがよりクリーンな手段で製造されたしても、問題となるのはその移送手段である。現在あるのは石油や天然ガスを輸送するためのものであり、圧縮または液化された水素エネルギー用のものはほとんどない。
造船会社の川崎重工業と設備建設会社の千代田は電源開発株式会社と共同でオーストリア産の低品質の石炭から作ることに着手しているという。また、サウジアラビアやマレーシアから製造された水素エネルギーを輸入することやカナダやロシアといった遠い所からの輸送方法についても検討しているという。
これらの問題がクリアされたとしても、次は日本国内での水素エネルギーのスタンド設置の問題だ。現在日本では数百のスタンドで水素エネルギーがガソリンとほぼ同価格で販売されている。だがそれらの経営状況は国からの補助金にもかかわらず赤字だという。
これについてはより多くの水素エネルギー車が走行すれば価格は下がるとみられているが、日本のエネルギー関連会社は福島第一原発事故以来資金難にあるため、短時間での実現は難しいとみられている。
9月16日付
『ザ・モニターデイリー』はウィスコンシン大学の研究員らによってより安価な水素エネルギーの製造が可能になったと報じている。水素エネルギーが化石燃料を用いずクリーンな方法で製造されるためには酸素との分離過程においてプラチナといった貴金属が必要だった。このため水素エネルギー製造のコストが高くなるのだが、硫黄とリンをコバルトと結合させることによりプラチナ等のを用いるのと同様の結果が得られたという。コバルトは貴金属に比して相当安価であり、水素エネルギーの低価格化に大いに役立つだろうと報じられている。
9月16日付
『エイペックス・トリビューン』(アメリカ)も、ウィスコンシン大学のソン・ジン氏により安価な触媒が発見されたことを伝えている。ジン氏がこれらの金属や物質を選んだのは、よりエネルギー変換しやすいためだという。はじめのうちはリンではなく黄鉄鉱を用いていたが、様々な物質を用いて実験した末に、より効果を発揮する硫黄に辿り着いたという。ジン氏は水素エネルギーを製造する過程で使う電力を太陽光発電から得られれば、より安価な水素エネルギーの生産が可能だとしている。
この技術は特許が取得されているが実用化の初期費用がネックになるとみられている。ここでもやはり多くの水素エネルギー車の走行が必須だとしている。
2020年オリンピック以降どれだけの水素エネルギーが普及するかたのしみである。
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