広がる中国の鉄道網がチベット、台湾へ(2016/03/07)
中国が第13次5か年計画を発表し、その中で中国は今後も成長を続ける旨宣言している。その一環として四川省成都とチベット自治区の首府ラサ市をつなぐ鉄道を建設予定であることが発表された。さらに中国は台湾の都市、台北と福建省福州を結ぶ鉄道も計画中であるという。各メディアは以下のように報じている。
3月4日付
『ロイター通信』(米)は中国が先に発表した5か年計画の中で、チベットのラサ市と四川省成都を結ぶ鉄道の建設を計画中であると伝えている。チベットは、中国からの独立運動がある点のみならず、ネパールやミャンマーと国境を接しているため、この地域での鉄道の開通は外交的にも非常にデリケートな問題をはらんでいるとされる。
この鉄道はラサと成都を現在は2日以上かかるところを15時間で結ぶものであり、物流の面では便利になる点も指摘されている。...
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3月4日付
『ロイター通信』(米)は中国が先に発表した5か年計画の中で、チベットのラサ市と四川省成都を結ぶ鉄道の建設を計画中であると伝えている。チベットは、中国からの独立運動がある点のみならず、ネパールやミャンマーと国境を接しているため、この地域での鉄道の開通は外交的にも非常にデリケートな問題をはらんでいるとされる。
この鉄道はラサと成都を現在は2日以上かかるところを15時間で結ぶものであり、物流の面では便利になる点も指摘されている。鉄道ルートに位置するチベット自治区内ニンティ市の市長は「鉄道は経済発展、とりわけ観光業に貢献するものであり、早期完成を望む」とコメントしている。
中国は2006年にもラサ市と中国青海省西寧を結ぶ鉄道(青蔵鉄道)を、建設費4500億円を投じて開通させている。
今回の中国政府の発表について、チベットを国外追放された運動家や人権団体のメンバーらは、鉄道の開設により中国の文化が流入し、チベットの民族的独立性が脅かされると批判している。
3月5日付
『タイムズ・オブ・インディア』(インド)は今回発表された計画を「インドへの脅威」と捉えている。というのもインドはネパールと国境を接しており、鉄道の開通により成都からラサ市への武器の輸送がしやすくなると考えられるためである。
同記事は2006年に開通した青蔵鉄道についても言及している。この鉄道は世界一高い標高に設置され、ヒマラヤの遠隔地と中国を結ぶもので、全長1956キロに及ぶものであるが、建設の目的は中国の同地域への支配を誇示するためともいわれている。中国のヒマラヤ地域への進出はこれだけにはとどまらない。ここ数年でヒマラヤ地域だけで5つの新空港が建設され、多くの道路も作られている。これらのインフラ整備は、特にインド最東部の地方であるアルナチャル・パラディシュにとって、脅威であるとされる。アルナチャル・パラディシュは北に中国と国境を接しており、中国はこの地域をチベットの一部だと主張しているためである。
計画の詳細は明らかにされていないものの、ラサ市と四川省間の鉄道は1629キロで、今年にも着工予定だという。
3月6日付
『ブルームバーグ・ビジネス』(米)は5か年計画の中で中国が台湾の都市台北と福建省福州を結ぶ180キロの鉄道建設も計画中であると報じている。
ただ、これに関しては技術的には可能だが、政治的には難しいとの見方が大半である。台湾行政大陸委員会は「このような鉄道の建設は国の安全保障にかかわる問題であり、中国が一方的に決められるものではない」とのコメントを発表している。台湾では比較的中国寄りだった中国国民党が政権を失い、民主進歩党の蔡英文氏が今年1月総統に当選している。ただ、蔡氏の任期は今年5月からであり、蔡氏のこの問題に対する立場は明らかにされていない。
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中国の著名実業家のウェブアカウント、習主席批判で閉鎖(2016/02/29)
中国の著名実業家で37百万人ものネットファンがいる任氏のウェブアカウントが、党と政府の批判を続けているとして、インターネットを監視する当局から閉鎖命令を受けた。習近平国家主席が19日に国営メディア3社を視察した際、「メディアは党を代弁しなければならない」と発言したことに対し、任氏は「メディアは党ではなく人民を代弁すべき」などと批判の投稿をおこなっていた。
習近平指導部はインターネットを含め、ニュースメディアに対する言論統制を一段と強めており、権力の集中化と体制の引き締めを図ろうとしている。
28日付
『ロイター通信』は、中国のインターネット監視当局が元不動産王の任氏のマイクロブログを“違法な情報を流布した”として閉鎖したと報じた。
・中国で人気のウェイボーなどのポータルは、国営不動産開発企業の元社長で3千万人のネットファンを持つ任氏のアカウントを閉鎖するよう当局から命令を受けた。任氏のマイクロブログアカウントは日曜日以降閲覧不能となっている。
・北京政府が運営するウェブサイトは、任氏は共産党員でありながら国営メディアや党組織を批判する発言をしたとして非難している。...
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28日付
『ロイター通信』は、中国のインターネット監視当局が元不動産王の任氏のマイクロブログを“違法な情報を流布した”として閉鎖したと報じた。
・中国で人気のウェイボーなどのポータルは、国営不動産開発企業の元社長で3千万人のネットファンを持つ任氏のアカウントを閉鎖するよう当局から命令を受けた。任氏のマイクロブログアカウントは日曜日以降閲覧不能となっている。
・北京政府が運営するウェブサイトは、任氏は共産党員でありながら国営メディアや党組織を批判する発言をしたとして非難している。
28日の
『ブルームバーグ・ビジネス』は、中国のインターネット規制当局が、習近平国家主席の国営メディアに対する管理強化キャンペーンを批判したとして任氏のソーシャルメディアアカウントを閉鎖したと報じている。
・任氏は国営不動産開発企業「 華遠地産」の元会長で、率直な物言いで37百万人のネットファンを持っている。規制当局の報道官は「ネットユーザーから任氏のアカウントは継続的に違法な情報を発信しているとの通報があった。全てのネットプロバイダーはこうした違法な発言を許してはならない」と語っている。
・この問題は、習主席が北京の主要メディアを視察し、共産党の意向を反映し党の権威を擁護する報道をおこなうよう指示をしたことが発端である。これに対し、任氏は「人民の政府はいつから党の政府に変わったのか?」などと批判の書き込みをおこなった。
・中国政府が一個人のソーシャルメディアアカウントの閉鎖を命じるのは異例であるが、2013年にはネットを通じて政府批判をおこなっていた活動家達が一斉逮捕されている。
28日の
『ニューヨークタイムズ』紙は、 習近平国家主席を批判した任氏のマイクロブログアカウントが中国政府のネット規制当局によって閉鎖されたと報じている。
・政府の公式発表では、任氏はウェイボーなどのウエッブサイト上で違法な情報を流布し中国国民に誤った影響を与えた。任氏は、党員であるが習主席が2月19日に発表したニュースメディア規制を疑問視する投稿をしていた。
・習主席は国営メディア3社を視察し、中国の全ニュースメディアは党を代弁しなければならないと述べた。これまで政府見解を伝えるのがメディアの最優先事項であるべきなどと言った中国指導者はいない。
・任氏は投稿で、ニュースメディアは共産党ではなく人民に仕えるべきであると述べた。この投稿は即座に削除され、北京市が運営するウエッブサイト上で任氏は反党活動をおこなっているとの非難が始まった。
・任氏はこれまでネット上に物議を醸す投稿をおこなうことで知られ、「大砲」という渾名が付いている。2011年には北京にある国営不動産企業「 華遠地産」の社長を退任したが2014年まで子会社の上場企業の社長を務めていた。2009年時点での個人資産は22百万ドルと推定されている。
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