【Globali】
ウェスチングハウスの破産法申請はロシア、中国の利益に(2017/03/31)
東芝傘下の米国原子力大手ウェスチングハウス(WH)は3月29日米国連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)を申請した。WHの米国原子力事業での多額の損失が東芝の財政危機を招いており、破産法申請は同社を東芝の連結決算から切り離すためのものと言われている。米国原子力大手の破産法申請は、福島原発事故以来大きく変化している世界の原子力産業に新たな衝撃を与えたが、この結果ロシアや中国の原子力産業の力が増すのではという見方が出ている。
3月30日付
『ブルームバーグビュー』は、「米原子力産業の躓きはロシア、中国の利益」という見出しで、WHの破産法申請は米国が永年重ねて来た、東欧諸国の原発燃料の購入先をロシアから米国へ変えようという努力に水を差し、ロシアや中国の国営企業を世界の巨大な原子力市場の圧倒的供給先とすることにより、米国にとって地政学的後退となると報じた。原子力は時流から外れたものとして環境保護団体からは嫌われ者になっているが、炭素を使用しない現在利用可能なエネルギーとしては最も効率が良いものである。...
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3月30日付
『ブルームバーグビュー』は、「米原子力産業の躓きはロシア、中国の利益」という見出しで、WHの破産法申請は米国が永年重ねて来た、東欧諸国の原発燃料の購入先をロシアから米国へ変えようという努力に水を差し、ロシアや中国の国営企業を世界の巨大な原子力市場の圧倒的供給先とすることにより、米国にとって地政学的後退となると報じた。原子力は時流から外れたものとして環境保護団体からは嫌われ者になっているが、炭素を使用しない現在利用可能なエネルギーとしては最も効率が良いものである。原子力は世界の31ヶ国でその11.5%の電力を供給しているが、そのうちの11ヶ国(そのうち10ヶ国は欧州)では30%以上を供給している。ブルガリア、チェコ、フィンランド、ハンガリー、スロバキアではロシア製原子炉が使われており、そのうち2ヶ国では更に増設が予定されている。これらの原子炉ではロシアの核燃料が使われており、世界最大の原発技術の輸出企業である国営のロスアトム社に多額の収益をもたらしている。
2000年以来WHはフィンランドやハンガリーでロシア製原子炉への燃料供給を目指して来たが、ロスアトムは値下げで対抗していた。このためWHは政治力を利用して米輸出入銀行の低利融資制度を供与したほか、2014年のクリミア半島併合後は安全保障の面からEU当局への働きかけを強めていた。しかしWHの窮状を知ったEU当局はロシアへの過度な依存を懸念しつつも、現実問題としてロシアからの燃料供給を認めざるを得ず、最近ハンガリーに対しロシアからの10年間の核燃料購入契約を承認した。ウクライナもWHと契約を進めていたが、この先続けられるか疑問視されている。西側のもう一つの有力企業である仏アレバも不安定な状況にあり政府が支援を決定した。一方ロスアトムの業況は順調で、2015年の今後10年の受注額は2014年の1,014億ドルから1,103億ドルへ増加している。
ロシアに代わる唯一の存在は中国しかない。中国はロシア、WH,アレバから原子力技術を導入し環境保護のため国内の原子力発電の比率を増やすだけではなく、世界への原発輸出国に変身しようとしている。最近メイ首相が決裁した英国のヒンクリーポイント原発計画は中国の欧州への最初の原発輸出となる。西側の市場で独裁政権の国の国営企業同士が競争するという皮肉な状況になっており、原発よりも風力や太陽光発電の比率を増加させるべきだという意見に対し良い口実を与える結果となっていると報じている。
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FRB議長追加利上げに慎重姿勢示す(2016/03/31)
米国連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は3月29日ニューヨークで講演し、今後の追加利上げについては慎重に行うと述べた。昨年12月に約10年ぶりに金利を引き上げて以降その後の中国経済の減速懸念や原油価格下落、またそれらを受けた世界的な株式の下落等が米国経済に与える影響を見極めるとして、1月、3月の金融政策決定の会議では利上げを見送った。しかし最近になり雇用関係の経済指標や物価指数が改善したため何名かのFRB関係者(地区連邦準備銀行総裁)からは次回4月の会議で追加利上げを示唆する発言も出ていた。
しかし今回の議長の講演では4月の利上げははっきりと否定する内容であり、これを好感して米国をはじめ世界の株価は上昇したが、日本だけは為替がドル安円高に振れたため30日の日経平均は下落した。議長は米国経済は引き続き順調な景気回復の途を歩んでいるが海外経済に不安がありこれが米国経済に与える影響を注視する必要があるとした。また、物価はインフレ目標の2%に近づくレベルにはあるが、これが継続するかどうかは予断を許さない状況であり更に見極める必要があるとした。
今回イエレン議長は今後のFRBの金融政策について明確に分かりやすく述べており、市場との良好な対話でスムーズな金融政策を進めたいという議長の考えが現れた内容になったと思われる。
3月29日付
『ニューヨークタイムズ』は、「ジャネット・イエレン氏、FRBは追加利上げを予定するも慎重にと発言」という見出しで29日の講演内容を伝えた。同氏は米国経済は海外経済の減速の影響を低い借り入れ金利が補って結果的に順調な軌道を進んでおり、思った以上に耐久力がある。従って更に経済が好転すれば追加利上げを注意深く且つ忍耐強く進めると述べた。
3月29日付
『USニューズアンドワールドレポート』は、「イエレン氏金利について:慎重に進める」という見出しで、イエレン議長の追加利上げを慎重に進めるという発言は率直で適切であったと報じた。...
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3月29日付
『ニューヨークタイムズ』は、「ジャネット・イエレン氏、FRBは追加利上げを予定するも慎重にと発言」という見出しで29日の講演内容を伝えた。同氏は米国経済は海外経済の減速の影響を低い借り入れ金利が補って結果的に順調な軌道を進んでおり、思った以上に耐久力がある。従って更に経済が好転すれば追加利上げを注意深く且つ忍耐強く進めると述べた。
3月29日付
『USニューズアンドワールドレポート』は、「イエレン氏金利について:慎重に進める」という見出しで、イエレン議長の追加利上げを慎重に進めるという発言は率直で適切であったと報じた。同氏は経済は予測不能なショックにより影響されるので政策金利の今後の行方は当然不確かなものにならざるを得ないと発言したとも報じている。
3月29日付
『ブルームバーグビュー』は、「イエレン氏、市場の望むとおりの発言」という見出しで、市場は議長の発言を金利引き上げに慎重なハト派的なサインと見て直ぐに反応して上昇したと報じている。金融市場の不安定さを抑える役目としてFRBに頼っている市場にとっては、イエレン議長の発言は心地よい調べに聞こえたと報じている。
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