英国の小規模企業連盟(FSB)は、インフレによるコスト上昇が英国の小さな企業にとって「時限爆弾」となっており、政府の新たな支援がなければ、50万近い企業が数週間以内に倒産する恐れがあると警告している。
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『ガーディアン』によると、FSBのマーティン・マクテーグ会長は英「BBC」の番組に出演し、先週発表されたリシ・スナック財務相による新たな生活支援パッケージを称賛する一方で、政府が雇用主を対象とした対策を展開しなければ、生活支援パッケージ受給者の一部は職を失う可能性があると述べた。
同会長は、「中小企業にはまだ大きな問題があります。中小企業は、インフレ率の2倍の生産価格に直面しており、時限爆弾を抱えているような状態です。...
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『ガーディアン』によると、FSBのマーティン・マクテーグ会長は英「BBC」の番組に出演し、先週発表されたリシ・スナック財務相による新たな生活支援パッケージを称賛する一方で、政府が雇用主を対象とした対策を展開しなければ、生活支援パッケージ受給者の一部は職を失う可能性があると述べた。
同会長は、「中小企業にはまだ大きな問題があります。中小企業は、インフレ率の2倍の生産価格に直面しており、時限爆弾を抱えているような状態です。資金が底をつくまで文字通り数週間しかなく、そうなれば何十万もの企業が、そして多くの人々が職を失うことになります。」と訴えた。
国家統計局の発表によると、英国の中小企業の40%、つまり200万社が、経営を支えるための資金が3ヶ月分以下しか残っていないという。FSBの会長は、この200万社のうち約10%(20万社)が「深刻な問題」に直面しており、さらに30万社が「数週間分しか残っていない」と指摘した。
英国では消費者物価上昇率は4月に9%に達し、1982年以来の高水準となった。エネルギー料金の高騰、ガソリン価格の記録的な上昇、毎週の買い物費用の上昇によって、コストが上昇した。イングランド銀行は、インフレ率は今年後半に約10%でピークを迎えると予想している。
企業もコストの高騰に直面しており、工場の投入資材価格は過去最高となる18.6%の上昇を記録した。多くの企業がこれに対応して値上げを行い、国全体のインフレ圧力に拍車をかけている。
中小企業の1年後の見通しを示すバークレイズのSMEバロメーターが30日に発表された。それによると、英国の中小企業の4分の3が、生活費危機、エネルギー料金の高騰、インフレの上昇がビジネスに与える長期的な影響を懸念しているという。
英『エクスプレス』によると、FSBのリテール&ハイストリート政策担当のマイケル・ウィードン氏は、一部の企業では245パーセントもエネルギーコストが上昇し、閉鎖に直面する可能性が出てきていると指摘。また、ドル高であることが企業にとって更なる痛手になっているという。しかし中小企業に対する英国政府からの援助がないため、企業は自らのコストをカバーするために、消費者向けに価格を引き上げざるをえない状況にあると述べている。
こうした中、英誌『ビジネスマターズ』によると、エリザベス女王の70周年記念を記念するために設けられた4連休の祝日によって、英国の中小企業経営者の5人のうち3人が必要な収入増をもたらすことを期待しているという。
特に、イギリス人がお酒を飲みながらお祝いすることで、独立系のパブ、バー、レストランは今週末に7600万ポンド(約124億円)の売り上げ増を見込んでいる。英国ビール・パブ協会は、この4日間の祝祭期間中に9000万パイント(1パイント=約 500cc)が注がれると予想しており、飲酒許可時間も緩和される。
ホスピタリティビジネスは、過去2年間、パンデミックに関連したロックダウンの制限によって大きな打撃を受けており、業界団体は、企業が数ヶ月の収入減から立ち直れるように、新型コロナウイルス対策時の臨時減税をより恒久的に導入することを求めているという。
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