ロシアが極超音速核弾頭ミサイル実戦配備で米ロ軍拡競争を一歩リード【米・英国メディア】(2019/12/29)
12月28日付米
『ハフィントン・ポスト』オンラインニュース(
『AP通信』配信):「ロシア、音速27倍の最新型ミサイルを配備と公表」
ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は12月27日、ウラジーミル・プーチン大統領に対して、音速27倍の最新鋭核弾頭“アバンガルド”の実戦配備が完了した旨報告した。
これに関して同大統領は、同ミサイルが1957年の旧ソ連時代の世界初人工衛星(編注;スプートニク1号、スプートニクはロシア語で衛星の意)打ち上げに匹敵する技術革新だと自賛した。...
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12月28日付米
『ハフィントン・ポスト』オンラインニュース(
『AP通信』配信):「ロシア、音速27倍の最新型ミサイルを配備と公表」
ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は12月27日、ウラジーミル・プーチン大統領に対して、音速27倍の最新鋭核弾頭“アバンガルド”の実戦配備が完了した旨報告した。
これに関して同大統領は、同ミサイルが1957年の旧ソ連時代の世界初人工衛星(編注;スプートニク1号、スプートニクはロシア語で衛星の意)打ち上げに匹敵する技術革新だと自賛した。
同大統領は2018年3月に行った年次教書演説(注後記)において、米国のミサイル防衛計画に対抗するためとして、極超音速核弾頭“アバンガルド”含めた6種類の新型兵器の開発を公表していた。
同大統領は当時、“アバンガルド”は如何なるミサイル防衛も役が立たず、“隕石、あるいは流星の如く標的に向かう”とコメントしていた。
極超音速で滑空する物体は超高温になるが、“アバンガルド”は摂氏2,000度(華氏3,632度)まで耐えられるという。
ロシア戦略ロケット軍のセルゲイ・カラカエフ司令官は、“アバンガルド”を実戦配備したのはウラル山脈南端のオレンブルク市にあるドンバロフスキー・ミサイル基地であることを明らかにした。
2018年12月に同基地から発射された“アバンガルド”は、6,000キロメーター(3,700マイル)離れたカムチャッカ半島北東端のクラ・ミサイルテスト場の標的を見事に撃ち砕いている。
実戦配備された“アバンガルド”と同様の超音速ミサイルを中国も開発しているため、米国のミサイル防衛戦略に深刻な影響を与えることになる。
同日付英国『ザ・サン』紙:「ロシア、音速の27倍で滑空し米国都市を数秒のうちに崩壊させる最新鋭ミサイルを“実戦配備”したと発表」
ロシアが実戦配備した“アバンガルド”は、目下のミサイル防衛システムで迎撃することは至難の業で、これによってロシアは軍拡競争で一歩先んじたと言える。
プーチン大統領は、これまで米国に追い付くべく努めてきたが、これで初めて最新鋭兵器で米国をリードすることができたと表明した。
米国の情報分析専門家も、核弾頭“アバンガルド”搭載の大陸間弾道ミサイル(ICBM)は、世界のどの都市でも狙うことができ、また、当該核兵器を防衛できるシステムは西側諸国にないことを認識すべきだと警告している。
(注)2018年3月の年次教書演説:通例、毎年12月に実施される年次教書演説が2017年には行われなかったが、翌年3月に代わって行われた演説で、大型ICBM“サルマート”、極超音速核弾頭ミサイル“アバンガルド”、極超音速空対地ミサイル“キンジャール”、原子力巡航ミサイル“ブレベストニク”、原子力魚雷“ポセイドン”、レーザー兵器“ベレスウェート”の開発につき公表。
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トランプ大統領がイスラム過激派掃討作戦の忠実なパートナーのクルド人勢力を裏切ったと著名トークショー司会者も猛烈非難【米・イランメディア】(2019/10/25)
ドナルド・トランプ大統領は10月23日、シリア北部から米軍が撤収することで、トルコ軍による同地域のクルド人勢力への攻撃を恒久的に止められた、と自画自賛する演説を行った。米軍の撤収については、これまでイスラム過激派掃討作戦に忠実に貢献してきたクルド人勢力を見捨てる行為だとして、与党・共和党からも造反者が出て、10月16日の下院において同大統領の撤収決定に反対する決議案が圧倒的多数で可決されている。そしてこの程、米テレビ著名トークショー司会者も、同大統領のお粗末な決定は、同地域への影響力拡大を目論むウラジーミル・プーチン大統領を喜ばせただけだと猛批判した。
10月23日付米
『ハフィントン・ポスト』オンラインニュース:「著名司会者コルベア、冷徹な事実検証を以てトランプ大統領の自画自賛演説を酷評」
著名トークショー司会者のスティーブン・コルベア氏(注1後記)は10月23日放送の「レイト・ショー」の中で、当日ドナルド・ドナルドトランプ大統領が行った演説を酷評した。
すなわち、同大統領がシリア北東部から米軍を撤収したことによって、トルコ軍に恒久的停戦をなさしめ、同地域に平和をもたらしたとする自画自賛の評価について、同地域における影響力を拡大しようとしていた、同大統領の盟友であるウラジーミル・プーチン大統領を喜ばせただけだと一蹴した。...
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10月23日付米
『ハフィントン・ポスト』オンラインニュース:「著名司会者コルベア、冷徹な事実検証を以てトランプ大統領の自画自賛演説を酷評」
著名トークショー司会者のスティーブン・コルベア氏(注1後記)は10月23日放送の「レイト・ショー」の中で、当日ドナルド・ドナルドトランプ大統領が行った演説を酷評した。
すなわち、同大統領がシリア北東部から米軍を撤収したことによって、トルコ軍に恒久的停戦をなさしめ、同地域に平和をもたらしたとする自画自賛の評価について、同地域における影響力を拡大しようとしていた、同大統領の盟友であるウラジーミル・プーチン大統領を喜ばせただけだと一蹴した。
これに先立つ10月中旬、米下院議会は354対60の大差(編注;共和党造反議員129人)で、同大統領のシリア撤収決定を非難する決議案を採択している。
そして同氏は、同大統領の決定は、これまで米軍と共に忠実にイスラム過激派掃討作戦に従事してきたクルド人勢力を、“完全に裏切るもの”だと非難した。
なお、国連は、トランプ大統領の米軍撤収の決定以降、同地域に暮らす8万人の子供も含めた18万人が追放されたと発表している。
一方、10月24日付イラン『イラン・デイリィ』紙:「クルド人勢力主体のシリア民主軍、トルコ軍によるシリア北東部への侵入を止めてくれたロシアに謝意」
クルド人勢力主体のシリア民主軍(SDF、注2後記)のマズルーム・アブディ司令官は10月23日、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相とワレリー・ゲラシモフ参謀総長とのテレビ電話で、ロシアがトルコから取り付けた合意によって、クルド人勢力がトルコ軍による攻撃によって“惨劇”に遭わないで済むようになったとして、謝意を表明した。
ロシアのプーチン大統領とトルコのタイイップ・エルドアン大統領は10月22日にソチで会談し、クルド人勢力をトルコ国境から30キロメーター程シリア領内に退去させた後、同地域を“安全地帯”としてロシア軍とシリア軍が共同で警備する、という停戦案に合意している。
SDFは、これまで支援を得ていた米軍が、10月初めのトランプ大統領による方針大転換によって同地域から撤収することとなり、クルド人勢力がトルコ軍による攻撃にさらされることとなったことから、米国に代わってシリア(ロシアが後ろ盾)に支援を要請することとしていた。
(注1)スティーブン・コルベア:著名なコメディアン・俳優・作家。エミー賞(テレビ番組等に与えられる賞)を3度受賞。2015年よりCBSテレビの「レイト・ショー」というトーク番組の司会役。
(注2)SDF:シリアの反体制派グループ。シリア内戦下の2015年10月、シリアのクルド人民兵組織のクルド人民防衛隊(YPG)を主体として結成。所属組織には、「ユーフラテスの火山」などそれまでYPGと共闘してきたクルド系、アラブ系、シリア語系キリスト教徒の組織等、約40の組織が参加。
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