プーチン政権は、9月下旬の総選挙で反政府勢力の台頭を阻止するべく、野党勢力代表のアレクセイ・ナワルニー氏(45歳)を投獄したり、その他野党系候補者の立候補を制限したりと、形振り構わぬ対応に出ている。そうした中、政権が独立系メディアの取り締まりも始めたことから、透明性を持った報道が阻害されかねないとして、野党系候補が抗議集会を開催した。
9月5日付米
『AP通信』:「独立系メディアに圧力をかける政権に対する抗議集会」
数十人のグループが9月4日、ロシア当局による独立系メディアへの締め付けに抗議してモスクワ中心街で集会を開いた。
9月19日投票日の国家院議員(注1後記)総選挙に立候補している野党系候補者が企画したもので、当局による拘束や無許可デモと非難されないよう、候補者と有権者による討論会の形で実施された。
抗議グループのスピーチの中で、野党系候補者は、ロシア最大の独立系メディアのTVチャンネル『ドズド(雨の意)』(2010年開局)や読者の多いオンラインニュース『メデューサ』(2014年設立)等のメディアに対して、政権側が直近で取り締まりを強化していると非難した。...
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9月5日付米
『AP通信』:「独立系メディアに圧力をかける政権に対する抗議集会」
数十人のグループが9月4日、ロシア当局による独立系メディアへの締め付けに抗議してモスクワ中心街で集会を開いた。
9月19日投票日の国家院議員(注1後記)総選挙に立候補している野党系候補者が企画したもので、当局による拘束や無許可デモと非難されないよう、候補者と有権者による討論会の形で実施された。
抗議グループのスピーチの中で、野党系候補者は、ロシア最大の独立系メディアのTVチャンネル『ドズド(雨の意)』(2010年開局)や読者の多いオンラインニュース『メデューサ』(2014年設立)等のメディアに対して、政権側が直近で取り締まりを強化していると非難した。
人権活動家のニコライ・カフカツキィ氏(34歳、弁護士)は、“現政権はロシアからメディアを完全に追放したいようだ”とし、“何故なら、『ドズド』、『メデューサ』等のメディアを「外国代理機関」と決めつけて、それこそ英国人作家ジョージ・オーウェル(1903~1950年)が描いた反ユートピアのように、何でもかんでも取り締まろうとしているからだ”と強調した。
9月の総選挙は、ウラジーミル・プーチン大統領(68歳)にとって、2024年に予定されている大統領選挙での再々選を盤石なものにするための重要な足固めと捉えており、そのために独立系メディア、ジャーナリスト、野党支持者や人権活動家らに対して圧力をかけてきている。
同大統領は、昨年に改正された憲法に則って、(再々選されれば)2036年まで留まれることになり、2012年に2度目の大統領選当選以来、実に20年以上の超長期政権を築くことになる。
(編注;2000~2008年の大統領時代及び2008~2012年の連邦政府議長(首相に相当)時代を含めれば、三十有余年トップに君臨することになる。)
かかる政治的圧力の結果、既に二つの独立系メディアが閉鎖に追い込まれている。
しかし、現政権は、報道の自由を抑圧しているとの指摘を全否定した上で、独立系メディアを「外国代理機関」と指定しても、活動を禁止する等の措置は講じていないと主張している。
9月4日付チェコ『ラジオ・フリー・ヨーロッパ』(RFE、1949年開局の米議会出資の放送局):「数十人がモスクワ中心街で政権側の独立系メディアへの圧力に抗議」
抗議集会に参加したのは、ヤブロコ(ロシア統一民主党、1993年設立)党員、ジャーナリスト、総選挙野党系立候補者らである。
抗議集会の参加者は、「ロシア外国代理機関法(注2後記)」に基づいて、ロシア市民が必要とする独立系メディアを「外国代理機関」と指定して、あらゆる圧力をかけようとしていると非難している。
野党系候補者のマリーナ・リトビノビッチ氏(46歳)は、“プーチン氏は、自身を悩ませるメディアの一切を葬り去ろうとしている”と糾弾した。
なお、現政権は2017年、当『RFE』他6メディアを「外国代理機関」に指定して、様々な圧力をかけてきている。
(注1)国家院議員:国家会議あるいは国家ドゥーマと呼ばれる、議会下院に所属する議員。任期は5年。議席総数は450で、目下与党・統一ロシアが343議席(76%)を占める。なお、上院に当たる連邦院の議員定数は170。ロシア連邦を構成する85の連邦構成主体 (22共和国、9地方、46州、2連邦市、1自治州、4自治管区)から各々2名の上院議員が選出される。
(注2)ロシア外国代理機関法:2012年に制定された法律で、外国からの支援を受けて政治活動を行っているNPO法人に対して、「外国代理機関」であるとの申告を義務付けるもの。これに基づき、当局が当該法人に対して監査等を実施し、好ましくない法人に対して活動停止や解散等の措置が可能となる。野党勢力代表ナワルニー氏が率いる「反汚職基金」等の取り締まり対象とされて数々の政治的圧力を受けている。
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