ウラジーミル・プーチン大統領(68歳)はこれまで、新大統領となったジョー・バイデン氏(78歳)がどういう対ロシア政策を取るのか見守っていたためか、1月初めに発生した米議会への暴徒の乱入事件について特にコメントを出してこなかった。しかし、この程新大統領が対ロシア強硬政策を取ることが判明したことや、盟友とされたドナルド・トランプ氏(74歳)の支援者が関わったこともあってか、同事件そのものを軽視するコメントを出している。
3月11日付米
『AP通信』:「プーチン大統領、首都ワシントンの騒動を“散歩”のようなものとコメント」
ウラジーミル・プーチン大統領は3月11日、1月に首都ワシントンで発生した、ドナルド・トランプ前大統領支持者が起こした騒動について、“散歩”のようなものと描写する発言を行った。
同大統領は、ロシア向けの投資促進について討議する会議の場で発言したもので、ロシアは米国の安定を望んでいると表明した。...
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3月11日付米
『AP通信』:「プーチン大統領、首都ワシントンの騒動を“散歩”のようなものとコメント」
ウラジーミル・プーチン大統領は3月11日、1月に首都ワシントンで発生した、ドナルド・トランプ前大統領支持者が起こした騒動について、“散歩”のようなものと描写する発言を行った。
同大統領は、ロシア向けの投資促進について討議する会議の場で発言したもので、ロシアは米国の安定を望んでいると表明した。
同大統領は、“米議会に向かって散歩していた人々の何人かが逮捕されたが、150人にも及ぶそれらの人々は、これから裁判にかけられて15年から25年の有罪判決を受ける恐れがある”とした上で、“我々としては、主要国との関係を安定させたいので、騒動はこれを最後として欲しい”と言及した。
警官1人を含めて計5人が犠牲となる騒動であったが、トランプ支持者のうち300人余りが逮捕されている。
裁判の結果、最長20年の有罪判決を受ける可能性があるが、果たして彼らが素直に刑に服するか疑問がある。
何故なら、暴動に加わった彼らは、トランプ氏が2020年大統領選の真の当選者だと信じていて、米議会にジョー・バイデン氏の当選を承認させないようにしたに過ぎないからである。
3月12日付英国『ジ・エクスプレス』紙:「プーチン大統領、犠牲者の出た米首都の暴動を“散歩のようなもの”と呼んで軽視」
プーチン大統領は、米議会で発生した暴動について、5人の犠牲者が出ているにも拘らず、彼らは議事堂まで余暇の散歩を楽しんだようなものだとコメントした。
同大統領の発言の意図は、ロシアが今後とも米国を含めた超大国と安定した関係を築きたいとの希望の表れだとする。
同大統領が同コメントを出す前に、同大統領は、政権が反政府リーダーのアレクセイ・ナワルニー氏を逮捕したことを理由に、欧州連合(EU)や米国がロシアに対して、経済等の制裁で“身動きが取れない”ようにしようとしていると、西側諸国を厳しく非難している。
なお、専門家は、目下ロシアと西側諸国の関係は、冷戦以来どん底になっていると分析している。
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ロシアの強権大統領のウラジーミル・プーチン氏(67歳)には、過去に多くの政敵を葬り去ったとの噂が付きまとっている。そしてこの程、最も強力な政敵と目される野党代表が毒を盛られた模様で、搭乗中の機内で容体が急変し、目下病院の集中治療室で治療を受けているものの、昏睡状態が続いているという。
8月20日付米
『NBCニュース』(
『AP通信』配信):「ロシア野党代表のナワルニィ氏が毒を盛られて昏睡状態」
ロシアの野党代表とされるアレクセイ・ナワルニィ氏(44歳)が毒を盛られた模様で、現在病院の集中治療室で治療を受けているものの、人工呼吸器につながれ昏睡状態が続いている。
同氏の広報担当のキラ・ヤルミシュ氏が8月20日の朝にツイッターに投稿したもので、シベリア西部のトムスクからモスクワに戻る飛行機の中で容体が急変したことから、オムスクに緊急着陸させて病院に緊急搬送されたという。...
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8月20日付米
『NBCニュース』(
『AP通信』配信):「ロシア野党代表のナワルニィ氏が毒を盛られて昏睡状態」
ロシアの野党代表とされるアレクセイ・ナワルニィ氏(44歳)が毒を盛られた模様で、現在病院の集中治療室で治療を受けているものの、人工呼吸器につながれ昏睡状態が続いている。
同氏の広報担当のキラ・ヤルミシュ氏が8月20日の朝にツイッターに投稿したもので、シベリア西部のトムスクからモスクワに戻る飛行機の中で容体が急変したことから、オムスクに緊急着陸させて病院に緊急搬送されたという。
同氏は、『モスクワのこだま』ラジオニュースのインタビューに答えて、同日朝に飲んだ紅茶に毒が入っていた模様で、機内で気を失ってしまったと事情を説明した。
更に同氏は、“当病院の医者によれば、熱い液状のものと一緒に飲むと効き目が早い毒を盛られた可能性があるというので、即座に地元警察に捜査するよう求めた”と言及した。
ロシア国営メディアの『タス通信』は、当病院院長の言葉を引用して、同氏が重体となっている、とのみ報じた。
同氏は昨年も、政治犯として逮捕された際、拘置所で毒を盛られた模様で、病院に緊急搬送されている。
ただ、当時の入院先の医師が、激しいアレルギー反応が出ただけだと診断したため、翌日には拘置所に送り返されている。
同氏は、公務員の不正を追及する“腐敗と戦う財団(FFC)”を組織して、政府高官も含む多くの汚職疑惑を暴いている。
しかし、プーチン政権に近い実業家エフゲニー・プリゴーチン氏(59歳、レストラン・ケータリング事業経営者、プーチン氏の片腕の異名)から膨大な額の訴訟を起こされたため、FFCは先月、閉鎖に追い込まれている。
FFC顧問弁護士のヤーチェスラブ・ジマーディ氏は8月20日、“ナワルニィ氏の政治的スタンス及び活動より、同氏が毒を盛られたことは疑いのないこと”だとツイートし、ロシア調査委員会に本件捜査を徹底するよう求めたことを明らかにした。
同日付英国『ジ・エクスプレス』紙:「ロシア被毒事件;プーチン氏政敵が“毒入り紅茶”を飲んだ後に緊急搬送」
ナワルニィ氏の広報担当のヤルミシュ氏によれば、同氏は8月20日の朝、トムスク空港のカフェで紅茶を飲んだ以外何も口にしていないので、その紅茶に毒が入っていた可能性が高いという。
同氏は、モスクワ行きの機内で容体が急変したが、同乗した乗客によれば、同氏は“苦痛によって悲鳴を上げ”、そのまま気を失ったという。
緊急搬送されたオムスクの病院の医師は、“ナワルニィ氏が毒を盛られたのかどうか不確か”だとしながらも、“「自然毒」の可能性も含めて、いろいろな毒素の検査等の診断結果を待たなければならない”とコメントした。
また、同市保健局のタチアナ・シャキロバ報道官は、“毒を盛られた可能性は否定しないが、数ある急病の原因の一つでしかない”として、“今現在は、何ら確たることは言えない”と表明している。
なお、ロシアでは来月、地方選挙が予定されていて、ナワルニィ氏らは、与党・統一ロシアの独裁体制に対抗すべく、地方回りをして活動を活発化している最中であった。
一方、欧州人権裁判所(ECHR、注後記)は、ロシア当局によるナワルニィ氏の2012年及び2014年の逮捕・拘束が政略的なもので、同氏の人権を侵害したとの判決を下している。
(注)ECHR:1959年にフランスのストラスブールに設置され、1998年11月1日条約改定により常設組織となった人権救済機関。欧州評議会加盟国を対象とする。国家間の紛争を処理する国連の国際司法裁判所とは異なり、国家対国家だけでなく個人や団体の国家に対する提訴も受け付ける。
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