仏裁判所、カンヌ映画祭でドン・キホーテを描いたギリアム監督作品の上映を認める(2018/05/11)
フランス・パリの裁判所は9日、テリー・ギリアム監督の「ドン・キホーテを殺した男(“The Man Who Killed Don Quixote”)」の第71回カンヌ映画祭での上映を認め、上映中止を求めた元プロデューサーの訴えを退けた。
ギリアム監督のファンタジー・アドベンチャー・コメディー映画である同作品は、当初2000年にジョニー・デップ他の俳優の出演で撮影が進められたが、洪水によるセットや機材の破壊、主役の健康問題、保険加入問題や資金不足などの困難が次々に襲い、製作を諦めざるを得なくなったため、ファンはこれを「ドン・キホーテの呪い」と呼んでいた。
同作品は、そうした紆余曲折を経て最終的に、ジョナサン・プライスやアダム・ドライバーなどの出演により再び製作された。...
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ギリアム監督のファンタジー・アドベンチャー・コメディー映画である同作品は、当初2000年にジョニー・デップ他の俳優の出演で撮影が進められたが、洪水によるセットや機材の破壊、主役の健康問題、保険加入問題や資金不足などの困難が次々に襲い、製作を諦めざるを得なくなったため、ファンはこれを「ドン・キホーテの呪い」と呼んでいた。
同作品は、そうした紆余曲折を経て最終的に、ジョナサン・プライスやアダム・ドライバーなどの出演により再び製作された。映画は現代版のストーリーで作られており、プライスが主役を演じている。そして、5月19日にカンヌ映画祭のクロージングで公開されることとなった。
しかし直前になって、元プロデューサーであるパウロ・ブランコ氏が、自身が映画の権利を所有すると主張し、裁判所に上映の差し止め命令を出す申し立てを提起したことにより、映画祭での上演が危ぶまれていた。
さらに英国のガーディアン紙が9日早く、77歳のギリアム監督が週末に軽い脳卒中を患ったと報じたため、ファンはますます「ドン・キホーテの呪い」を案じたが、監督はもう大丈夫とツイートし、「数日休息し、神に祈ったおかげで、回復してまた元気になった。」と書き込んだ。
パリの裁判所は9日、ブランコ氏の上映中止の申し立てを退け、カンヌでの上映が可能となった。裁判官は、誰が映画の権利を保有するかの問題については判断せず、ブランコ氏が権利を主張したという事実をスクリーン上に示すよう命じた。また、上映の差し止め命令の申し立ては、明らかに行き過ぎであり、表現の自由を侵すものであるとした。
裁判所の判断が下されると、ギリアム監督は、「我々は法的に勝利を得た! 5月19日のカンヌ映画祭のクロージング上映のために会場に行く。皆さんのご支持に感謝。」とツイートした。映画ファンも呪いが遂に解けたとして、裁判所の判断を喜び、カンヌ映画祭の主催者も、映画の上映ができることを歓迎するコメントを出している。
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フィンランド、ベーシック・インカムの試験運用終了へ(2018/04/25)
フィンランドでは2017年1月より、同国の社会保障研究所(Kela)によって、ユニバーサル・ベーシック・インカムの制度が導入された。これは2年間にわたって、国民の25歳から58歳までの失業者を対象に、政府が一人当たり560ユーロ(約7万4300円)を支払うというもの。ただ対象者は2000人で、無作為に選ばれた人たちであり、実際に求職しているかどうかなどの証明は必要とされていない。また、対象者が就職した場合にも引き続き支払いは続けられていた。...
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フィンランドでは2017年1月より、同国の社会保障研究所(Kela)によって、ユニバーサル・ベーシック・インカムの制度が導入された。これは2年間にわたって、国民の25歳から58歳までの失業者を対象に、政府が一人当たり560ユーロ(約7万4300円)を支払うというもの。ただ対象者は2000人で、無作為に選ばれた人たちであり、実際に求職しているかどうかなどの証明は必要とされていない。また、対象者が就職した場合にも引き続き支払いは続けられていた。
Kelaは政府に対し、運用の延期を見込んでさらなる資金提供を求めたが、却下された。政府はこれに代わる新たな社会保障制度を検討しており、そちらを優先したい考えだ。これに伴い来年1月で同制度は打ち切られる。
ベーシック・インカムのアイデアは、テスラやスペースXのイーロン・マスクCEOやノーベル賞受賞経験のある経済学者アンガス・ディートン氏ら著名な実業家らからも支持されていた。彼らは、政府が国民に無条件でお金を提供することでセーフティーネットとして機能すると主張していた。安定した仕事へ転職するための活動中も収入がある程度確保できるため、今後3分の1が機械化されるとみられる単純労働を主体として働く人たちの不安定さを解消するなど労働市場への対応力を高められると主張していた。
これに対し経済協力開発機構(OECD)や経済開発検討委員会(EDRC)の調査では、ベーシック・インカムよりも福祉給付を一本化したユニバーサル・クレジットの方がよいと指摘している。ベーシック・インカムではその原資をカバーするため所得税が30%以上アップし、所得格差が広がると予測がされているのに対し、ユニバーサル・クレジットでは格差が縮まると予想されている。またガーディアン紙では、現制度の代わりに、フィンランド政府は失業者に対し、3ヶ月で18時間以上の労働やそのための訓練を受けた者へ新たな援助をする制度を導入すると伝えている。
Kelaのオリ・カンガス教授は資金提供が打ち切られることを残念だと述べ、「結論を出すには2年間では短すぎる。信頼ある結果を手に入れるためにはさらなる時間とお金が必要だ。」と話している。
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