カナダ首相のEU演説、反ポピュリズムを訴える内容に欧州議員から賛否両論の声
カナダのジャスティン・トルドー首相は欧州連合(EU)の総会に出席し、ロシアのプーチン大統領に対抗するために「民主主義の強化」に取り組むよう欧州の指導者に呼びかけた。しかし、トルドー首相の呼びかけはやや裏目に出てしまった。欧州議会議員からは、ワクチン義務化に反対する自国民を弾圧することは偽善的だという非難の声が上がった。
米メディア
『エポックタイムズ』によると、カナダのトルドー首相は3月23日、欧州議会で演説し、「極端な政治的見解」を代表するポピュリスト運動の拡大が民主主義を脅かしていると警告した。トルドー首相は演説の中で、「5年前にこの議会で演説したとき、私は多国間主義を中産階級とそれに加わるために懸命に働いている人々のために有益になるようにと、経済的不満がポピュリズム、民族主義、保護主義、そしてより極端な政治観への分極化の肥沃な土壌とならないようにしようと話しました。...
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『エポックタイムズ』によると、カナダのトルドー首相は3月23日、欧州議会で演説し、「極端な政治的見解」を代表するポピュリスト運動の拡大が民主主義を脅かしていると警告した。トルドー首相は演説の中で、「5年前にこの議会で演説したとき、私は多国間主義を中産階級とそれに加わるために懸命に働いている人々のために有益になるようにと、経済的不満がポピュリズム、民族主義、保護主義、そしてより極端な政治観への分極化の肥沃な土壌とならないようにしようと話しました。今日、私たちはこれらの勢力が世界の平和、正義、真実、民主主義、安定を脅かしていることに直面しています。」と語り、緊急事態法を発動して制圧したフリーダムコンボイ運動を非難した。
この演説に対して、カナダ紙『トロント・サン』は、トルドー首相は、欧州議会の一部の議員から歓迎されていないようである、と報じている。トルドー首相の演説を受けて、数人の欧州議会議員が先月オタワで行われたフリーダムコンボイの抗議行動への対応の仕方は人権侵害だと非難した。
中でも、クロアチアのMislav Kolakusic議員の演説がネット上で話題を集めている。同議員は、「私たちの多くは、欧州や世界の何百万人もの市民が命を捧げた基本的人権を持っている。私たちの中には、この基本的人権を踏みにじる者がいる」と述べ、「何世紀にもわたって獲得してきた我々の権利と我々の子供たちの権利を守るために、私を含む我々の多くは、自由と自らの命を危険にさらすことをいとわない。」と語った。そして、カナダはかつて近代世界の象徴だったが、ここ数ヶ月、トルドー首相の「リベラル(進歩派)」の名の下で、「市民権侵害の象徴」になってしまったと述べた。
「私たちは、あなたが女性を馬で踏みつけにし、母子家庭の銀行口座を凍結して、彼らが子供の教育費や医療費も払えず、光熱費や家のローンを払えないようにしているのを見ました。あなたにとっては、これらは進歩派的な方法かもしれないですが、世界の多くの市民にとっては、これは最悪の種類の独裁です。」と語った。そして、世界中の市民が団結すれば、「爆弾あるいは医薬品で、市民の自由を破壊しようとする政権を阻止することができます。」と述べた。
他の欧州議会議員からも同じような非難の演説が続いた。ドイツのクリスティン・アンダーソン議員は、「中国の独裁政治を公然と賞賛し、自国民が自身の倒錯した民主主義の概念に立ち向かう勇気があるというだけで、テロリストとして迫害し犯罪者にすることで基本的権利を踏みにじる首相は、この議会で話すことを全く許されるべきではない」と強く非難した。
こうした両者の演説の動画は、ツイッターでそれぞれ100万回以上再生されている。
もう一人の欧州議会議員、ルーマニアのCristian Terhes議員は、トルドー首相が演説することを理由に会議への出席を拒否した。Terhes議員はフェイスブックの投稿で、トルドー氏は「基本的権利の尊重を求める自国民を馬の蹄で踏みつけながら、欧州議会の場でプーチンに対して民主主義について教える」ことはできない、と述べた。「民主主義と専制政治の違いは、政治指導者の地理的な位置によって決まるのではなく、彼らが推進する価値観によって決まる」と指摘した。「プーチンが推進するロシア帝国主義の専制政治か、トルドーのような偽善的指導者が推進するネオ・マルクス主義の専制政治か、人々はどちらかの選択を迫られている。私たちはそのような専制的な選択肢の両方を拒否し、ヨーロッパに平和と繁栄をもたらした保守的な価値観、すなわち国家主権、個人の自由、人権の尊重のために戦わなければならない」と述べている。
ドイツの欧州議会議員Bernhard Zimniokも、トルドーを歓迎することは「民主的権利を踏みにじってきた人物への招待状」であると述べた。
一方で、ルーマニアの欧州議会議員ジークフリード・ムレサン氏は、世界大戦時のカナダの貢献に感謝した。「そして今日、あなたは欧州の国を守るために再び欧州に来られました。そしてこのことに対して、私たち欧州の、そして自由世界のすべての者が、ありがとうと言います。」と述べた。
欧州議会左派グループのデンマーク議員Nikolaj Villumsen氏も、「あなたが正しく言ったように暗い時代だ」と述べ、「カナダが難民を無制限に受け入れると聞いて嬉しく思っています」と述べた。
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カナダ、ウクライナ向け武器が枯渇
カナダ国防相は16日、カナダ公共放送局CBCの番組に出演し、ウクライナへの軍事支援に関して「カナダ軍の在庫は、武器を提供できる範囲内で使い切ったと考えている」と述べた。
米
『エポックタイムズ』によると、カナダのアナンド国防相は、ブリュッセルで開催されたNATOの国防相会合に出席していた際、カナダ軍は十分な資源を確保しておく必要があるため、軍事装備の面でウクライナに対しこれ以上支援するのは困難であることを明らかにした。
国防省によると、カナダはこれまでにウクライナに8280万ドル(約79億円)分の軍事装備を提供している。その内訳は、M72ロケットランチャー4500発、手榴弾7500発、カールグスタフ対戦車無反動ライフル100丁と弾薬2000発、機関銃、拳銃、カービン銃と弾薬150万発となっている。...
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米
『エポックタイムズ』によると、カナダのアナンド国防相は、ブリュッセルで開催されたNATOの国防相会合に出席していた際、カナダ軍は十分な資源を確保しておく必要があるため、軍事装備の面でウクライナに対しこれ以上支援するのは困難であることを明らかにした。
国防省によると、カナダはこれまでにウクライナに8280万ドル(約79億円)分の軍事装備を提供している。その内訳は、M72ロケットランチャー4500発、手榴弾7500発、カールグスタフ対戦車無反動ライフル100丁と弾薬2000発、機関銃、拳銃、カービン銃と弾薬150万発となっている。
他にも多くの国がウクライナに軍事物資を提供しており、中でも米国はその先頭を走っている。ワシントンは3月16日、対戦車兵器や防空システムを増やし、ドローン100機を含む8億ドル(約960億円)分の装備を追加で送ると発表した。
アナンド国防相は、政府は他の同盟国との協力など他の選択肢も検討していると述べた。トルドー首相は16日、「我々は、人道的支援、難民支援、そして軍事装備、殺傷能力のある装備でウクライナを支え続けるだろう」とカナダはウクライナへの軍事機器の提供を続けるつもりであると述べ、カナダ軍への供給と在庫については言及しなかった。
カナダ『トロント・サン』によると、アナンド国防相は、カナダの軍事費(現在GDPの1.39%)をNATOの基準である2%以上に引き上げるか、2%未満に抑えつつ再構成するための「積極的な選択肢」をトルドー内閣に提案していると述べた。
しかし、『トロント・サン』は、カナダが軍事費を増やしてNATOの基準であるGDPの2%を満たす、あるいは超える可能性は低いと伝えている。現在カナダはNATO加盟国の中でも対GDPの軍事費は最下位に近く、先週発表された国会予算担当官の報告書では、インフレによるコスト増で、軍事費を活用した多くのプロジェクトが遅れたり、始まらなかったりするかもしれないと指摘されている。
一方、カナダ『CBC』によると、カナダ軍の最高司令官は、ロシアの脅威とNATOに対する侵略に対応するため、カナダ軍の近代化と刷新を「できるだけ早く」進めるべきだと述べたという。ウェイン・エア元帥はCBCラジオの番組に出演し、「そのプロセスは加速される必要があると思う」と語った。元帥は、カナダ軍が不足しているいくつかの分野を指摘した。地上ベースの航空防衛や、対装甲兵器の在庫の老朽化などである。「私たちがそこにある脅威に備えることを確実にするために、軍隊は武器を手に入れる必要があると信じています。現在の軍隊は、将来の脅威に対して整えられた軍隊ではありません。」と語った。
また、もし国防費を増額された場合、「何よりもまず、カナダ社会のあらゆる層から優秀な人材を集め、維持できるようにすること、それが最優先事項だろう」と述べた。エア元帥は、近年、軍の即応性と兵士の高度な訓練に問題があると指摘した。
ロシアとNATOの対立が拡大する可能性については、「我々は常にその恐怖を抱えており、それを強く意識する必要がある。現在の世界の動きは、1914年に起こった第一次世界大戦の大混乱と、新しい軍事技術との戦いに類似しているという。」とコメントした。
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