地球温暖化が進む中、ビル等の建造物において消費されるエネルギーは世界消費合計の約40％を占めるとされていて、それに従って二酸化炭素排出量の3分の1以上に上るという。

ビル等における消費エネルギーの大部分はエアコン使用によるものであり、科学者の見立てでは、未対策のまま放置すると2050年までには倍増すると予想されている。...

地球温暖化が進む中、ビル等の建造物において消費されるエネルギーは世界消費合計の約40％を占めるとされていて、それに従って二酸化炭素排出量の3分の1以上に上るという。

ビル等における消費エネルギーの大部分はエアコン使用によるものであり、科学者の見立てでは、未対策のまま放置すると2050年までには倍増すると予想されている。

このような背景もあって、世界大都市におけるヒートアイランド現象が益々顕著となりつつあるのが現実である。

そこで、ヒートアイランド現象軽減のため、屋上・壁面緑化、道路の保水性舗装、ビルの熱反射塗装、人口排熱（主としてエアコン）軽減策等、様々な研究が行われ具体的対策が講じられてきている。

そしてこの程、米研究グループが、平らな壁面や屋上と比較して、建物の表面温度を最大3℃下げることができるとする理想的なビル形状を提案した。

コロンビア大（1754年創立の私立大学）のチーロン・チェン氏（博士号取得研究員）が率いるチームで、同氏によると、建物の壁にジグザグパターンを組み込む形状のビルだという。

同氏は、“太陽光を反射するために屋根を白く塗る等の方法は、水平面には効果的だが、地面からの熱を吸収する垂直面にはあまり有効でない”とし、“ジグザグ壁のデザインによって放射冷却が促進され、平らな壁と比較して表面温度を最大3℃下げうることが確認されている”と強調した。

ただ、同氏は、当該デザインのビルは暑い気候にあっては有効であるが、冬季においては寒冷地における暖房需要が増加する可能性があるとして、冬に熱吸収を増やし、夏に熱吸収を減らすことを可能にする、蝶番（ヒンジ）付きのフィン（羽根・ヒレ）を設置した設計案も追加で提案している。

（注）ヒートアイランド現象：高層ビルやアスファルト、人間活動による排熱が要因で、大きな都市部を中心に気温が上昇する現象。