英国を代表するファッションブランドのひとつであるバーバリー(1856年創業)の凋落が著しい。三陽商会(1943年創業)が2015年に同社とのライセンス契約を終焉させて以降、日本での売り上げもかつての勢いが陰ってきていたが、欧米や特に中国での営業展開も難儀していた模様で、ついに英国株式市場の主要株価指数対象銘柄(FTSE100、注後記)から脱落することになっている。
9月5日付米
『CNNニュース』、
『ブルームバーグ』オンラインニュース、英国
『ジ・インディペンデント』紙は、英国を代表するファッションブランドのひとつであったバーバリーが、英国主要株価指数から脱落することになったと報じている。
ロンドン証券取引所(LSE、1801年設立)は9月4日、15年間の長期にわたりFTSE100の対象銘柄となっていたバーバリーが、直近四半期の時価総額の大幅下落を受けて9月23日以降FTSE100からはずれることになると発表した。
同社の現在の時価総額は22億3千万ポンド(29億3千万ドル、約4,215億円)で、昨年末時点より▼56%も下落している。
ある経済アナリストが、バーバリーを指して、売上高及び収益において“長い連敗続き”と評したこともあって株価が大きく下がっていた。
同社の2024年3月期の収益は34%も凋落していて、直近4~6月期の売上高も20%以上下落しており、2025年3月期も厳しい業績見通しとなるとして、配当を取り止める決定を行っている。
かかる事情もあって、同社は今年7月、伊ブランドのベルサーチ(1978年設立)から引き抜いて2年前に就任させたばかりのジョナサン・アクロイド最高経営責任者(CEO)を更迭し、後任にジョシュア・シュルマン氏(米ブランドのマイケル・コース(1981年設立)やコーチ(1941年設立)のCEO歴任)を据えている。
その際、ゲリー・マーフィー同社会長(68歳、2018年就任)は、“新機軸を打ち出しながら、我が社のコア顧客にとってより身近な商品開発に最善を尽くす”とした上で、“コスト削減を含め、様々な対策を講じていることから、下半期に状況が好転することを期待している”コメントした。
バーバリーに限らず、他の世界有数の高級ブランドメーカーが、世界第2位の経済大国である中国顧客の高級品買い漁りに頼っていたが、中国がコロナ禍明け後でも景気後退に遭って中国消費者が節約志向に転じてきていることから、今後も苦戦を強いられる恐れがある。
(注)FTSE100:LSEに上場する時価総額上位100銘柄で構成され、ドイツのDAXやフランスのCAC40とともに、投資家の注目度が高い欧州の株価指数のひとつ。英国フィナンシャル・タイムズ社とLSEグループの合弁会社であるFTSEが公表。
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