ロシア:バルト海上空でGPS信号を狂わせているとして北欧諸国が抗議する(2024/05/02)
『フランス24チャンネル』4月30日付けによると、ロシアが北欧上空でGPS信号へひんぱんに妨害電波を発しているとして航空会社の非難の的になっている。
被害に遭った航空会社は、航空便の運航が今後もGPS信号の妨害によってフライト運航が阻害されることを危惧している。
フィンランドのフィンエアーは、4月29日月曜日、これまでの1か月間、エストニアの第2の都市タルトの空港に着陸できない状況が続いている、と発表した。事実上、バルト海上空でGPS信号に関係したトラブルがひんぱんに発生している。
タルト空港は、航空機を安全に着陸させるために誘導するシステムとしてGPSシステムに替わるシステムを持っていない‘稀’な空港の1つだという。...
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被害に遭った航空会社は、航空便の運航が今後もGPS信号の妨害によってフライト運航が阻害されることを危惧している。
フィンランドのフィンエアーは、4月29日月曜日、これまでの1か月間、エストニアの第2の都市タルトの空港に着陸できない状況が続いている、と発表した。事実上、バルト海上空でGPS信号に関係したトラブルがひんぱんに発生している。
タルト空港は、航空機を安全に着陸させるために誘導するシステムとしてGPSシステムに替わるシステムを持っていない‘稀’な空港の1つだという。そのため、一度GPS信号が途絶えると、航空機を安全に着陸させ、空港エプロンに誘導することは不可能になる。
その前の週には、フィンエアーの2つのフライトがタルト―空港にアプローチしていた途中に着陸を諦めて、ヘルシンキに引き返す出来事があった。2件とも、GPS信号が妨害されてGPSでの着陸が困難となったことが原因である。
エストニアは直ぐにロシアに対し名指しで非難した。エストニアのマルガス・ツァークナ外務大臣は、さらに「ロシアとしてもGPS信号妨害は航空機の運航に危険であることを承知しているはずだ。」と言明しロシア側の自制を求めた。
ロシアは数日前から、過去1年間に発生したGPS信号の妨害によるフライト運航トラブルの原因になっているとして非難されている。スウェーデンもロシアによるGPS信号妨害に対してNATOも何らかの対策を行うように迫っている。
英国の『ガーデイアン紙』によると、昨年の8月から現在までの英国発便の約46000フライトで、バルト海上空におけるGPS信号のトラブルが報告されているという。
なお、今のところ幸いにもロシアによるGPS信号への妨害行為からは重大な事故には至っていない。しかし、専門家たちは、GPS信号の妨害がさらに進化して航空機の位置感知機能以外にもっと重要な機能を阻害することになれば、ロシアと欧米諸国間の緊張状態はさらに高まることになると懸念している。
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日本と中国、初の有人月面着陸で競争【欧米・香港メディア】(2024/04/30)
4月の日米首脳会談で、米国主導の「アルテミス計画(注後記)」の下で日本人宇宙飛行士を2028年目標の有人月面着陸に参加させることが合意された。一方、独自の宇宙開発を進める中国も、2030年までに有人月面着陸を成功させる目標を立てており、1969年の「アポロ計画」における米国人宇宙飛行士の初の月面着陸に続くのはどちらの国の宇宙飛行士となるか、注目される。
4月29日付英国
『ジ・インディペンデント』紙、欧米
『ロイター通信』、香港
『サウスチャイナ・モーニングポスト』紙は、米国主導の「アルテミス計画」に参加している日本と、独自に宇宙開発を進める中国との間で、どちらの国の宇宙飛行士が早く月面着陸するのか競争が激化していると報じている。
4月10日に開催された日米首脳会談で、2028年及び2032年に有人月面着陸を目標としている「アルテミス計画」において、日本人宇宙飛行士を参加させることが合意された。...
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4月29日付英国
『ジ・インディペンデント』紙、欧米
『ロイター通信』、香港
『サウスチャイナ・モーニングポスト』紙は、米国主導の「アルテミス計画」に参加している日本と、独自に宇宙開発を進める中国との間で、どちらの国の宇宙飛行士が早く月面着陸するのか競争が激化していると報じている。
4月10日に開催された日米首脳会談で、2028年及び2032年に有人月面着陸を目標としている「アルテミス計画」において、日本人宇宙飛行士を参加させることが合意された。
同計画における共同ミッションとして、日本には月面探査車(ルナクルーザー、注2後記)の運用が求められ、米国側は宇宙飛行士の訓練及び月面着陸用宇宙船の提供が求められている。
一方、中国は、習近平国家主席(シー・チンピン、70歳、2012年就任)が「宇宙強国」を宣言しているとおり、独自の宇宙開発を急ピッチで進めている。
具体的には、2030年までに有人月面着陸を達成するとした上で、2035年までに月面に研究ステーションを設営し、科学実験や資源開発を行うとしている。
更に、2026年と2028年に計画している無人探査ミッションで、月の南極において水の探査を開始すると発表している。
米航空宇宙局(NASA、1958年設立)のビル・ネルソン長官(81歳、2021年就任、フロリダ州選出上院議員)は、“中国は、宇宙開発において直近10年で目覚ましい発展を遂げている”としながらも、“秘密主義に徹しており、もし将来中国が月の水資源の所有権を主張しだすと厄介な話となる”と警鐘を鳴らしている。
香港『サウスチャイナ・モーニングポスト』紙も、“日本が中国に先んじて有人月面着陸を
達成しようとしているとの野心によって、中国政府をして独自の宇宙開発計画を更に強化・促進させる道義付けになろう“との宇宙開発専門家のコメントを掲載している。
(注1)アルテミス計画:米国が主導する国際月探査プロジェクト。1960年代から70年代、人類を月面に送り込んだ「アポロ計画」以来、およそ半世紀ぶりに月に宇宙飛行士を送り込むことを目指す。計画の名前の由来となっている「アルテミス」はギリシャ神話の月の女神で、「アポロ計画」の由来となった「アポロ」とは双子の姉妹。現在の計画では、2026年9月に宇宙飛行士が月面に降り立つミッションを実施することを目標とする。
(注2)ルナクルーザー:トヨタが開発しているもので、月面を走行して探査しながら、宇宙飛行士2人が30日程内部で生活が可能。米アポロ15~17号(1971~1972年)で使われた探査車が運転席剥き出しの非与圧型だったのに対して、与圧型月面探査車である。
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