米国財務省は北朝鮮の核開発支援をしていると疑われるロシア企業や中国企業、個人を新たに制裁リストに追加したと発表した。今年5回目となる制裁追加は韓国で米韓合同軍事演習が行われている中の発表となった。既に制裁対象である企業を支援していると疑われる企業も含まれているという。これらの企業や個人はアメリカ国内の資産が凍結され金融取引が禁じられる。一方、米司法省は北朝鮮の銀行へのマネーロンダリング疑惑により2企業の資産差し押さえを求めて連邦地方裁判所に訴えを起こしている。
8月22日付ロシア
『スプートニク』は「米財務省がロシア1企業と中国5企業を北朝鮮制裁リストに追加」との見出しで以下のように報道している。
「米財務省の外国資産管理局(OFAC)は、中国とロシアの企業を北朝鮮への制裁リストに追加したと発表。中国の「丹東リッチアース貿易」、「丹東天宝貿易」、「丹東至誠金属材料」、「金華インターナショナルホールディングス」、香港の「明正国際貿易」及び北朝鮮のコリアン・タングン・トレーディング・コーポレーションとの関係が疑われるロシア企業「Gefest - m」社が指定された。制裁内容は個人や企業資産の凍結や米国人とのビジネス禁止。朝鮮半島での米韓軍事演習が行われている最中の追加制裁となった。」
同日付英国『BBC』は「米国が北朝鮮制裁で中国とロシア企業をターゲットに」との見出しで次の様に報道している。
「米国は北朝鮮の核開発計画を支援をしていると疑われる中国やロシアの企業や個人への制裁を発表。今月初頭、中国とロシアを含む国連安保理常任理事国は北朝鮮への制裁決議を承認していた。中国は早急な撤回を要求しているという。米財務省外国資産管理局(OFAC)が指定した10企業と6人が制裁対象。ムニューシン財務相は「財務省は北朝鮮の核や弾頭ミサイル開発を支援する者をターゲットとし米国の金融システムから締め出すことで北朝鮮への圧力を強める意向」だと述べている。ティラーソン国務長官は北朝鮮が近日ミサイル計画に「一定の自制」を見せていることを賞賛し、この動きは双方の「近いうちの」話し合いに繋がると述べていた。」
8月23日付韓国『KBSワールドラジオ』は「米国が北朝鮮との関わりが疑われる中国とロシア企業と個人に制裁」との見出しで次の様に報道している。
「米財務省は中国、ロシア、シンガポール、ナミビアを拠点とした企業と、ロシア、中国、北朝鮮の個人6名を制裁対象とし、司法省は北朝鮮の銀行へマネーロンダリングをした企業を起訴した。制裁対象の企業や個人は既に北朝鮮の核ミサイル開発を支援で制裁対象となっている企業との関連が疑われるエネルギー商社、職員の北朝鮮への斡旋業や米国他の金融機関への仲介業を行っているとされている。一方、シンガポールと中国拠点の企業3社が、北朝鮮の銀行へのマネーロンダリングの疑いで1100万米ドルの資産の差し押さえを求めて起訴されているという。
在米中国大使館は、国連決議の枠外の一方的制裁だとして追加制裁に抗議し、米国に対し両国の協調を損なう行為を即座に辞めるよう要求しているという。
米国が北朝鮮関連で制裁を課すのは今年5回目。1,2回目の制裁では北朝鮮の個人や企業を対象とし、3、4回目の制裁は北の核開発支援をする外国企業と個人を対象とした。」
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韓国統一省は、北朝鮮大使館のナンバー2にあたる駐英副大使テ・ヨンホ氏が韓国に亡命し、家族とともに同国にいると公表。北朝鮮外交官の亡命(後に「BBC」がテ氏と報道)の注目報道の翌日、この声明が出された。統一省によると関係国との外交上の理由で亡命ルートや詳細は控えられている。亡命の理由についてテ氏は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)体制に対する反感、韓国の自由で民主的体制への憧れ、そして自分の家族の将来などを挙げたとされている。同氏の亡命は数々の北亡命者の中でも最高位。テ氏は英国民への北朝鮮のイメージ向上、EUとの連携、北朝鮮の偵察局の任務もあったとされる。韓国政府は同氏などの北の支配層の亡命が相次ぐのはキム体制がほころんでいる事を示唆するとしている。
8月17日付
『ロイター通信』は「北朝鮮の駐英副大使が韓国に亡命」との見出しで次のように報道している。
・韓国統一省によると、北朝鮮のテ駐英副大使が家族を連れて韓国へ亡命、北朝鮮から亡命する高官としては最高位。亡命ルートや家族の人数は不明。統一省チョンジョンヒ報道官によると、テ副大使はキムジョンウン体制に不満、韓国の自由な民主体制にあこがれ、子どもの将来を理由として亡命したと語っており、家族は韓国政府の保護下にあるという。
・「韓国中央日報」は、ある情報筋によるとテ氏は「綿密な計画」に従い亡命し「第三国へ亡命」する手筈だったという。
・在ロンドン公使館は「大変急な」出来事で亡命の事実確認が取れていない、「対応可能となった時コメントする」としており、テ氏の携帯は留守電につながるという。
・テ氏は(北訪問の)英国報道記者によく知られ、10年以上英国関連の公務に従事。緑豊かな西ロンドン郊外の大使館近くに在住、極左の集会でたびたび北を擁護する情熱的スピーチをしたが、北の大げささはなく、控えめなスタイルで対照的だった。
・一家は地元の高校に通う息子が先月学期を終えた頃に亡命していた様子。19歳の息子は大学で数学とコンピュータサイエンスを専攻との情報あり。
同日付
『ヤフーニュース』は「駐英北朝鮮公使が亡命と韓国」との見出しで次のように報道している。
・韓国統一省によると、北の体制に反発する駐英の北の外交官テ氏は亡命者として最高の官職。チョン報道官はテ氏の亡命の詳細は関係国との外交上の問題を懸念し触れず、この亡命は北の体制が揺らいでいる事を示唆。
・テ氏は55歳、欧州外交経験が豊富。大使館10年超任務し、デンマーク駐在、スウェーデン大使経験。
・韓国はすべての亡命は公表しておらず、テ氏の亡命公表は北との関係が核開発により冷え切っている事を示す。テ氏の亡命も韓国が拉致、又は誘導したと北からの反応を招くかもしれない。
・韓国政府資料によると朝鮮戦争で2万9千人以上が韓国へ亡命。その多くは北の圧政と貧困から亡命。 1997年北の高官でキムジョンウン氏の家庭教師を務めた労働党黄チャンヨップ氏が韓国亡命。韓国が北朝鮮に勝るのだと韓国から賞賛。同年、駐エジプト北朝鮮大使が米国に亡命。今年4月には中国のレストラン勤務の13人が韓国へ亡命、その後韓国は、昨年北朝鮮の情報機関幹部が韓国に亡命していたと発表。
8月18日付韓国
『ヨンハップ』は「米が注目される北からの亡命者保護を要請」との見出しで以下のように報道している。
・水曜米国は外交官トップ2である亡命者保護を訴えた。韓国統一省はテ氏は家族と共に韓国に到着したとするも詳細は発表していない。
・米国務省カトリーナ・アダムス報道官は、北からの亡命者を保護するべくすべての国の協力を要請、「米国は北朝鮮の人権状況と亡命者の処遇に深い懸念がある」としたが詳細へのコメントは控えた。更に「他国や国連人権理事会や国連難民機構などの機関と連携し、北朝鮮亡命の保護と恒久的解決方法を模索する」と述べた。
・テ氏は亡命の理由につき、キムジョンウン体制への幻滅と自由への憧れを語っており、韓国は北の支配幹部が体制の国際的孤立に希望を失っていると見ている。
同日付韓国
『KBSワールドラジオ』は「在英北朝鮮外交官No2が韓国亡命と統一省」との見出しで以下のように報道している。
・北の体制に幻滅し数週間前に自宅から姿を消した外交トップ2のテ副大使は英国市民に対する北朝鮮のイメージ向上を任務としていた。昨年5月キムジョンウンの兄ジョンチョルを率いロンドンでエリッククラプトンのコンサートに行った事が報道。
・北幹部による亡命はミサイル実験で国連の安全理事会による制裁が強められた後多発。
17日付英
『BBC』は「駐英北外交官が韓国亡命」との見出しで次の様に報道している。
・「BBC」の記者は、テ氏はもはや北朝鮮を擁護する義務はないのだろうという。以前テ氏は英国市民は支配層により北朝鮮に関する「ショッキングで恐ろしい」嘘を信じこませるよう洗脳されていると意見を述べていた。あるスピーチでは「(英国)市民、またはアメリカ人は教育や住居費、医療費が無料の国が世界にあると分かっていれば、考え直すのではないだろうか」と述べていた。
同日付英
『テレグラフ』は「タフで洗練された駐英北朝鮮副大使が韓国へ亡命」との見出しで次の様に報道している。
・元英使節が「タフで洗練された」と評す副大使が韓国亡命。以前北朝鮮外務省の欧州部門長を務めたテ氏は妻と3人の子どもを連れて韓国に亡命した。理由にはキムジョンウン体制への嫌悪、韓国の自由への関心、民主体制と家族の将来を挙げた。
・10年以上英国滞在、副大使歴は3年で英語と中国を話す。外務省の欧州関連部を経てロンドン駐在。息子の1人は公衆衛生学を学んでいるとされる。かつて仕事を共にした人はテ氏を語学に長け勤勉で大変洗練された、またタフなニゴシエータでもある人物とする。在英大使館はEUとの連携も受け持つためよくブリュッセルにも出張。同氏は他に北の偵察総局(RGB)の任務もあったとみられる。
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