フィリピンは、フェルディナンド・マルコスJr.大統領(66歳、2022年就任)が前政権の親中政策を翻して以降、中国との間で南シナ海領有権争いのある諸島でしばしば小競り合いを起こしている。そうした中、同大統領が中国資本の在比オフショア・オンラインカジノ会社に対して営業停止命令を下したところ、中国政府は想定外の支持を表明している。
7月26日付豪州
『ABCニュース』、フィリピン
『マニラ・ブルティン』、
『マニラ新聞』は、フィリピン政府による在比オフショア・オンラインカジノ会社に対する営業停止処分に対して、中国政府が想定外の支持を表明したと報じている。
フェルディナンド・マルコスJr.大統領は7月22日、中国資本のオンラインカジノ会社「フィリピン・オフショア・ゲイミング・オペレイターズ(POGOs、2003年設立。2016年に親中政策を掲げるドゥテルテ大統領就任後業容拡大)に対して、同社のオンライン詐欺、人身売買等の違法行為を理由に今年末までに会社を解体するよう発令した。...
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7月26日付豪州
『ABCニュース』、フィリピン
『マニラ・ブルティン』、
『マニラ新聞』は、フィリピン政府による在比オフショア・オンラインカジノ会社に対する営業停止処分に対して、中国政府が想定外の支持を表明したと報じている。
フェルディナンド・マルコスJr.大統領は7月22日、中国資本のオンラインカジノ会社「フィリピン・オフショア・ゲイミング・オペレイターズ(POGOs、2003年設立。2016年に親中政策を掲げるドゥテルテ大統領就任後業容拡大)に対して、同社のオンライン詐欺、人身売買等の違法行為を理由に今年末までに会社を解体するよう発令した。
同大統領は、“合法的な組織を装い、彼らの活動は、金融詐欺、マネーロンダリング、売春、人身売買、誘拐、残忍な拷問、更には殺人など、ゲームから最も遠い違法な領域に進出していた”と糾弾している。
同大統領発令に伴い、フィリピン移民局のノーマン・タンシンコ長官(2022年就任)は同社従業員約2万人(ほとんどが中国国籍)に対して、59日以内に出国するよう命令し、もし応じない場合即刻国外退去させると表明した。
なお、マルコスJr.大統領就任後、前ドゥテルテ政権の親中政策を翻し、特に南シナ海における中国の一方的領有権主張に反発する対応を取ってきているため、中比関係は緊張状態となってきている。
しかし、今回の同大統領発令に対して、中国政府が想定外の動きに出ている。
すなわち、在比中国大使館が7月25日、“大統領発令はフィリピン市民の要望に沿うもので、両国双方に共通の利益をもたらすものだ”とフィリピン政府対応を支持する声明を出したことである。
同大使館は更に、“中国は如何なる形態のギャンブルも禁止していて、POGOs等海外でのギャンブル事業に関わる中国人を取り締まっていることから、今回のフィリピン政府の決定は、中比両国民にとって有益なことである”とも付言している。
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