米欧間機内PC持込み禁止措置は先送り(2017/05/18)
米国と欧州連合(EU)は、米国政府の安全保障上の対策として、ノートパソコンなどの電子機器の航空機内持ち込みを禁止することを検討しているが、航空会社側の反対もあり禁止に向けた協議を継続する事で一致したという。反対を表明している「国際航空運送協会(IATA)」は、精密な荷物検査で飛行機の遅延が生じたり、機内で仕事が出来ないビジネス客が減少したり、チケット全体の売り上げに打撃があるとし、10億ドルの損出が出ると試算している。また、発火の恐れのあるリチウム電池を使用した電子機器の大量保管にも懸念があるという。3月米政府が中東を中心とする10カ所からの米国便で電子機器持ち込みを禁止しており、欧州発のフライトへの適用拡大を検討しているのだが、ヨーロッパとアメリカ間のフライト数は規模が大きく米国への観光業も含め経済的にも打撃が大きいと懸念されている。だが航空機会社側は禁止は時間の問題だと見ているという。
5月17日付米国
『USニューズ・アンド・ワールドレポート』は「パソコン機内持ち込み禁止は延期で議論継続へ」との見出しで以下のように報道している。
「欧州連合(EU)は欧州発の航空機機内持ち込み禁止を検討してきたが、禁止は見送りとなり、更なる議論を継続する方針で一致した。EUと米国国土安全保障省の幹部は非公開の会談を行い、航空機安全基準や安全装置の情報交換を行った。声明によると、会談は来週再度ワシントンで開かれ「飛行機リスクと乗客の安全確保」の情報と「世界の飛行機運行をスムーズに行う」ための情報共有を行う予定だという。...
全部読む
5月17日付米国
『USニューズ・アンド・ワールドレポート』は「パソコン機内持ち込み禁止は延期で議論継続へ」との見出しで以下のように報道している。
「欧州連合(EU)は欧州発の航空機機内持ち込み禁止を検討してきたが、禁止は見送りとなり、更なる議論を継続する方針で一致した。EUと米国国土安全保障省の幹部は非公開の会談を行い、航空機安全基準や安全装置の情報交換を行った。声明によると、会談は来週再度ワシントンで開かれ「飛行機リスクと乗客の安全確保」の情報と「世界の飛行機運行をスムーズに行う」ための情報共有を行う予定だという。
パソコンの機内持ち込みが禁止されると、預かり荷物の運搬面での混乱が生じる恐れがある。米国と欧州間は年間6500万人が往来し1日に400便も運行。多くのビジネス客は機内で仕事をするためディバイスを使用するのだという。こうなると3月に中東を中心に10の都市でかせれらた同様の禁止令の比ではないスケールとなる。
265の航空機会社から成る「国際航空運送協会(IATA)」はEUや米国国務省に対して、この措置案に反対し「乗客対応で生じるタイムロス等への賠償は11億ドルの経済損害に値する」と訴える書簡を提出したという。
加えて、(電子機器の全面禁止にするなまらまだしも)発火する恐れのあるリチウム電池を使用した電子機器を預け荷物として大量に保管することへの危険性も浮上しているという。IATAは乗客から単に機器をとり上げるよりも、出発前にしっかりした検査にかけることも提案しているという。
こうした経緯で、禁止は延期になったのだが、航空機会社側は禁止となるは時間の問題だという。専門家は、機内で爆発物を作り爆発させることは、荷物保管室で爆発を起こすより簡単だと指摘する。通常でも預け荷物は機内持ち込みの荷物よりも厳しく検査されているという。」
同日付米国
『CNNマネー』は「ヨーロッパ便のパソコン機内持ち込み禁止で乗客に10億ドル加算」との見出しで以下のように報道している。
「機内持ち込みの電子機器が禁止されると、多くの荷物の混乱を招き、チケット事態の売り上げも落ちると予測され航空機会社の大損害となる。飛行機は遅延が増え、値段も上昇。これらのコストにより「チケット代に上乗せ加算される代金は10億ドルと試算される。「大西洋ルートは売り上げの主要部分で、米国と欧州航空会社の両方にとって大きな収入源。影響は甚大だ。」と国際航空運送協会(IATA)のアレクサンドル・ド・ジュニアック会長は言う。
IATAが試算した11億ドル損出には、ビジネス客に最も好まれる時間帯のチケット代金、長時間飛行の損出が含まれる。米国欧州間は世界一往来が盛んなルートで、IATAによると、欧州から米国へは一日に350便が運航している。もしビジネス客が会議をスカイプ電話に替え、客が減少すれば、航空便運行本数自体も縮小せざるをけない。
エミレーツ航空(ドバイ)は、米国の電子機器持ち込み禁止令により、米国行のフライトを減らした。米国の航空機会社にも影響が出ており、デルタ航空、ユナイテッド航空、アメリカン航空は概ね損益、ブリティッシュ・エアウェイズ(英国)も損益が出ている。これら4つの航空会社を併せると欧州から米国へのフライトの6割を占める。
一方で、米国の観光業も打撃を受けているという。1年間の欧州からの観光客は1450万人以上で、全観光客の4割にあたる。欧州客は3,4千ドルを米国に落としてくれる。
大口客である英国、ドイツ、フランスからの観光客は米国旅行へのフライト料金として、年間310億ドルを支出するといい、これは世界からの米国への観光客の15%にあたるという。」
閉じる
オバマ、民間企業が温暖化の鍵(2017/05/10)
米国は中国に次ぎ第2位の温室効果ガスの排出国であるが、トランプ政権の石炭産業復興政策により温暖化対策は滞りをみせるどころか昨年11月に発効した「パリ協定」からの離脱も視野にあり(しかし発行から3年は離脱通告出来ない)、EU各国や国内企業・国会議員も協定に留まるよう説得にあたっているという。
そんな中8日イタリアで開かれた「世界食糧サミット」の基調講演で、オバマ元大統領は、現米国政権はオバマ政権が進めた気候変動対策を廃止する方向にあり、そのペースはゆっくりしたものになるだろうが、温暖化対策で米国は正しい方向に向かっている、民間企業では既にクリーンエネルギーに投資し活用することで成果を出し始めていると明るい展望を語った。しかし温暖化による食糧不足問題は難民を増やすことにもなり、各国の排出量を各国で管理する機構を作ることの重要性を述べた。」
5月9日付米国
『USニューズ&ワールド・レポート』(AP通信引用)は「オバマ:民間セクターが気候変動対策への鍵を握る」との見出しで以下のように報道している。
「イタリア、ミラノで開催された食の安全や環境に関する「世界食糧サミット」での基調講演で、 オバマ元大統領は、「現米国大統領がこれまでの同氏の気候変動対策を廃止する方向だが、米国が正しい方向に向かっていると確信している」と述べた。サミットには政府や企業幹部など3千人が参加。...
全部読む
5月9日付米国
『USニューズ&ワールド・レポート』(AP通信引用)は「オバマ:民間セクターが気候変動対策への鍵を握る」との見出しで以下のように報道している。
「イタリア、ミラノで開催された食の安全や環境に関する「世界食糧サミット」での基調講演で、 オバマ元大統領は、「現米国大統領がこれまでの同氏の気候変動対策を廃止する方向だが、米国が正しい方向に向かっていると確信している」と述べた。サミットには政府や企業幹部など3千人が参加。オバマ氏は温暖化と食糧の安定、同氏のエネルギー効率向上への取り組みを中心に語った。
米国の企業はクリーンエネルギーに向け既に始動しており、コスト削減等のトランプ政権に対抗できるような成果を出している。オバマ氏は「過去8年の政策により民間部門が未来のエネルギーはクリーンエネルギーだとの決断に至っており、既にクリーンエネルギーへの投資を始めている。対策の進みが計画より遅れる部分も出てくるかもしれないが、米国は正しい道に進んでいると確信している。」と述べた。講演でトランプ氏の名前は一度出したきりに留まり、「トランプ政権は変化をもたらしたが、連邦法が変わっても加州で従来の燃費の悪い車を生産し十分な売上を伸ばせる企業はない。米国一の自動車市場のある加州で苦戦するだろう。」という。また、食料生産はエネルギー生産の次に温暖化の推進力となる。農地が縮小し、食料価格が高騰し、政治不安を起こすところもあり、欧州の移民は紛争のみならず食料不足にも原因がある。温暖化によりこの問題は拡大するだろう。そのため必要な対策を講じなければ、欧州に大問題を引き起こす移民は増え続けるだろう。
講演後、オバマ氏にホワイトハウスで栄養政策担当上級政策アドバイザーとして務めたサム・カス氏と1時間ほど話をし、大統領職を離れて良い事は何かと聞かれ、セキュリティ網を解かれ自由に動ける事だと答えたという。大統領職を離れた最初の海外訪問のミラノでは、レンツィ元首相と会ったり、観光地や美術館等に立ち寄った。」
同日付
『ロイター通信』は「オバマ、米国は温暖化で正しい方向に向かっていると確信」との見出しで以下のように報道している。
「「世界食糧サミット」の基調講演でオバマ氏は「温暖化対策は今世紀最大の課題で、米国や中国などの先進工業国が舵取りをしなければならない。米国の政権政策により遅れるかもしれないが、米国は正しい方向に進んでいると確信している」と述べた。
トランプ大統領は選挙中、化石燃料の使用を制限し地球の温暖化を食い止める2015年のパリ協定破棄を公約。石炭産業の復活政策を進めるトランプ氏は今後パリ協定を破棄するかの選択を迫られる。2025年までに2005年比で温室効果ガス26~28%削減が求めれているが、トランプ政権は対策を講じる動きはない。
EU諸国はトランプにパリ協定に留まるよう説得を試みるつもりで、米国の工業利益を守る事になると考える米国企業や共和党議員も説得にかかっているという。オバマ氏は、パリ協定は問題のすべてを解決するような目標設定でないが、各国の排出量を各国が管理する構造と機構を作るには有効であると述べている。」
閉じる
その他の最新記事