仏メディア:パナマ文書とタックスヘイブン(2016/04/06)
通称「パナマ文書」によって明らかになる租税逃れは底なしである。アイスランド首相から習近平国家主席の親族まで世界の大物政治家や著名人の名前が次々挙がる。これは序章にすぎない。国際報道ジャーナリスト連合(以下ICJI)が中心となった調査の集大成。衝撃的な内容だけでなく、先例となる新たな調査手法も見られる。フランスでは特に「ルモンド紙」と「レゼコー紙」がパナマ文書に大きく関わる。
ことの発端:謎の内部告発者「ジョン・ドウ」
『レゼコー紙』によると、1年程前に「ジョン・ドウ」と名乗る内部告発者が南ドイツ新聞に1150万件のファイルを提供した。身の安全の保証以外の金銭的な見返りは一切要求しなかった。ICIJ登録の107のメディアのどこもジョン・ドウの身元を知らず、直接会う事もなかった。提供されたのはパナマの法律事務所モサック・フォンセカが所有する機密文書ファイルで、各国首脳や裕福層の個人がパナマに隠し持つ資産情報を示す。...
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ことの発端:謎の内部告発者「ジョン・ドウ」
『レゼコー紙』によると、1年程前に「ジョン・ドウ」と名乗る内部告発者が南ドイツ新聞に1150万件のファイルを提供した。身の安全の保証以外の金銭的な見返りは一切要求しなかった。ICIJ登録の107のメディアのどこもジョン・ドウの身元を知らず、直接会う事もなかった。提供されたのはパナマの法律事務所モサック・フォンセカが所有する機密文書ファイルで、各国首脳や裕福層の個人がパナマに隠し持つ資産情報を示す。
前例なき調査・取材方法
『レゼコー紙』によると、パナマ文書のデータが膨大だったため、南ドイツ新聞の調査ユニットはICIJに協力を求めた。適材適所のジャーナリストに仕事を割り振る事がICIJの役割だからだ。この判断が「調査成功の第一歩」と「レゼコー紙」は評価する。実際の解析作業は暗号化メールとウェブ上で行う。オンラインフォーラムでジャーナリストは自由に意見情報交換が出来た。フランスでは
『ルモンド紙』と
『フランス2』の系列会社が関与した。「13名の組織が世界的インパクトを持つ事を可能にした方法」と形容する。
ICIJの作業革命:デジタルと分散化
パナマ文書では、メール、PDFや証明書内のデータが要素ごとに分割されていた。2.6テラバイト相当(テレビドラマなら34000回分以上)の文書を全てデータベース化して検索効率を上げた。名前を入力すれば、その名前に関する書類全てを簡単に検索可能。調査結果をジャーナリスト会合で直接交換することで、従来のICIJより大幅に作業が早くなった。これ以降「ICIJはデジタルと分散化した作業が前提となった」と「レゼコー紙」は注目する。
フランスへの影響と対応
『トリビューン紙』は「仏政府は租税条約を適用して全加盟国にパナマ文書ファイル転送を要請する」と報じる。フランスも昨年のHSBC所得隠しで顧客リスト転送に応じた。EU内でも問題視されてきた海外ダミー会社の租税逃れを一斉摘発する構え。
『レゼコー紙』は「仏財務大臣がパナマを税務問題の非協力国リストに再度含める」と発言した事に反発して、パナマ政府が報復措置をとる」と報じる。「パナマのGDPの80%を金融分野とパナマ運河による収益が占める。脱税捜査の協力を求めて仏政府はパナマ当局と協定を結んだ。引き換えに2012年からパナマを非協力国リストから削除していた」。暴露が進めばこの種の外交問題が多発するだろう。
今後の展開
『レゼコー紙』は「パナマ文書の情報の公表順序が極めて慎重に選ばれた」と報じる。その第一段階がアイスランド首相だったのだろう。まだ序章で「4月17日まで毎日順次公表され」、「6日に南ドイツ新聞の記者二人が大波乱の調査の全容を執筆した本が出版される」。
『ルモンド紙』によると第二段階はサッカー界がやり玉にあがる。選手の他FIFAの汚職撲滅を掲げるファンティーノ新会長の名前が浮上する。
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タックスヘイブンを巡る「パナマ文書」の衝撃(2016/04/05)
パナマの法律事務所から流出した大量の内部文書により、オフショアのペーパーカンパニーを利用した租税回避に世界の政治家や著名人多数が関与している事実が明らかになってきた。流出した大量の文書は、南ドイツ新聞社(Sueddeutsche Zeitung)が匿名の提供者から入手し、報道調査国際連合(ICIJ)と連携して調査を行ってきたものであり、今回その一部が公開された。調査が進むに従い、今後さらに大きな脱税スキャンダルが明るみに出てくる可能性があり、世界中に衝撃が広がっている。
4月5日付の米ソーシャルメディア
『フュージョン』は、米メディアとしてパナマ文書の調査プロジェクトに参加し、プロジェクトがどのようにして大量の文書の解明を行ったかを報じている。
パナマのモッサック・フォンセカ法律事務所から流失した2.6テラバイトの「パナマ文書」と呼ばれるデータには、世界中の政治家、著名人、資産家が秘密のオフショア口座で租税回避をしていることを示す膨大な情報が収められていた。...
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4月5日付の米ソーシャルメディア
『フュージョン』は、米メディアとしてパナマ文書の調査プロジェクトに参加し、プロジェクトがどのようにして大量の文書の解明を行ったかを報じている。
パナマのモッサック・フォンセカ法律事務所から流失した2.6テラバイトの「パナマ文書」と呼ばれるデータには、世界中の政治家、著名人、資産家が秘密のオフショア口座で租税回避をしていることを示す膨大な情報が収められていた。
今月4日、世界中の報道機関が連携した報道調査国際連合(ICIJ)によって、驚くべき流出情報の第一弾が公表された。米国報道機関としては、フュージョン社とマックラチー新聞社の2社だけがこのプロジェクトに参加した。
そもそもの発端は、昨年初め内部告発により大量の資料が南ドイツ新聞社に流出し、その内容を見た編集者らがICIJに協力を求め、流出データを共有することになったものである。この調査は「プロメテウス・プロジェクト」と命名され、世界250の報道メディアが参加した。
最初の課題は、タイムゾーン毎に報道機関が発見した内容を共有し、透明性が高く協力し易い報道のプロセスを構築することであった。最初は、ミュンヘンやワシントンンなどの都市で大会合を開いて協議したが、実際の調査・連携はICIJのデータベースをイントラネットで共有し、プロジェクト参加者はフェースブックを通じて情報交換した。参加者はそれぞれの調査内容を相互に交換し、テーマごとのグループを作り真相解明に向けて協力した。
ペーパーカンパニーは更にいくつものペーパーカンパニーに保有されるなど何重にも複雑に隠されているため、それを所有する人物を特定することは簡単なことではない。ある記者が面白そうな手掛かりを見つけた場合、イントラネットに投稿し、本来は特ダネ競争をする記者らがコメントや自分の情報を提供して協力した。
第一弾の発表後も、調査活動は続いており、今後数カ月で更に多くの新たな事実が明るみに出てくるはずである。フュージョン社は4月17日にこれに関するドキュメンタリー番組を公開する。パナマ文書の与えるインパクトは、単独の記者や新聞社・テレビ局では絶対にできないほど凄いものである。
4日付
『フォーチュン』誌は、「パナマ文書」のニュースが世界に衝撃を与えていると報じた。
昨年初め、過去40年分に亘る著名な政治家などに関係する持株会社や口座の詳細なデータが、南ドイツ新聞社に流出した。同新聞社はICIJと連携し調査に乗り出した。
75ヵ国から約400人のジャーナリストが参加した大掛かりな国際調査プロジェクトが、オフショア持株会社の設立を専門とするパナマの法律事務所から流出した約1150万件の文書を調査した。
パナマ文書の一部が公表され、アイスランド首相がオフショア・ペーパーカンパニーを所有していることが明るみに出て強い非難を浴びるなど、数ヵ国で重大ニュースとなっている。また、合計20億ドルの資産を持つ複数の持株会社がロシアのプーチン大統領と関係があるとしている。
さらに、中国の習近平国家主席やキャメロン英首相の父親が租税回避目的で持株会社を所有している疑惑が持ち上がっているほか、ウクライナやパキスタンの指導者についても調査が進んでいる模様である。
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