スリランカ、次なるテロへの警戒(2019/04/26)
25日スリランカで起きた教会やホテルを標的とした爆弾テロでは、日曜礼拝中の多くの人々が犠牲になったが、スリランカ警察は、次なるテロへの警戒を強めており、在スリランカ米大使館は人込みや教会を避け警戒するようツイッターで呼びかけている。
4月25日付米国
『ヴォイス・オブ・アメリカ』は「スリランカでの更なるテロに警告、米」との見出しで以下のように報道している。
スリランカ、コロンボの米大使館は、スリランカ国民に対し、週末にスリランカ国内の教会等へ行くのを避けるよう忠告している。スリランカ当局は次のテロへの警戒を強めており、米大使館は、「今後も警戒し人混みを避けるように」と、ツイッターで呼びかけた。
数日前には、イースターの日曜礼拝が行われていた教会で自爆テロが起き、250人以上が死亡。...
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4月25日付米国
『ヴォイス・オブ・アメリカ』は「スリランカでの更なるテロに警告、米」との見出しで以下のように報道している。
スリランカ、コロンボの米大使館は、スリランカ国民に対し、週末にスリランカ国内の教会等へ行くのを避けるよう忠告している。スリランカ当局は次のテロへの警戒を強めており、米大使館は、「今後も警戒し人混みを避けるように」と、ツイッターで呼びかけた。
数日前には、イースターの日曜礼拝が行われていた教会で自爆テロが起き、250人以上が死亡。スリランカの防衛相は、テロ事件を機に辞任している。スリランカのシリセナ大統領は、テロの数日前インドから伝えられたテロ情報を大統領に伝えなかったことを重大な過失とし、厳しい措置を取ることをテレビ演説で誓い、警察署長と防衛相を罷免した。防衛相は自己の過失はないとしながらも、省トップとして責任を取り辞任するとしている。
シリセナ大統領とラニル・ウィクラマシンハ首相の間の政治的確執が、テロへの警告への対処の失敗に繋がったとして、政府には厳しい目が向けられている。ウィクラマシンハ首相は、コミュニケーション不足があったと述べている。
4月26日付ロシア『スプートニク』は「米大使館が今週末スリランカの更なるテロに警告」との見出しで以下のように報道している。
人混みや教会を避けるよう米大使館が忠告。イースタに起きたテロでは、外国の諜報サービスがスリランカ当局に爆弾テロの警告を出していたが、スリランカの情報サービスがその対策に失敗した。報道によると、インド諜報部員が、スリランカ当局に、4月4日以前、テロが起きると忠告、11日スリランカ警察は治安機関に対し、テロ脅威の詳細(容疑者の名前、住所、TEL)が書かれた文書メモを送った。しかしながら、当局者は、メモを見ることはなかったという。スリランカ警察は、イースターテロ犯の少なくとも2人のテロリストが逃亡中だとし、次なるテロが起きるとの情報があり、容疑者の写真をSNS上に掲載するなどして目撃情報を集めている。
スリランカの治安サービスは、テロはスーフィー教寺院(イスラム教寺院)を標的としている可能性があるとしている。スーフィズムは、イスラム神秘主義の一派で、過激グループからは異端とみなされている。
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EUが難民受け入れの規制をさらに強化へ(2016/07/14)
イギリスがEUを離脱する大きな原因となったとも言われている難民問題。EUはこれまで流入する難民に苦しんできた。バルカン諸国からの入国を厳格化したり、トルコに難民引き留めの協力を依頼するなど様々な措置を講じてきた。その甲斐あってかシリア経由の難民の数は今でも多いものの、ピーク時に比べて落ち着きを見せ始めているという。代わりに増えてきているのがアフリカのリビヤ経由で入ってくる難民だという。これらのうちほとんどはEUの定める難民の規定を充たしていない。また、ヨーロッパに入った難民が当初の到着地から、より景気の良い国へと移動する傾向も問題になっている。難民受け入れの負担が偏るためだ。EUはこれらの問題を改善すべく、難民受け入れの規制を強化する案を発表したが、反対意見も根強い。各メディアは以下のように報じている。
7月13日付
『テレグラフ』(英)は、EUが十分な理由もなく流入する難民に対する抑止効果を狙い、規制が強化されると報じる。これによると、まず難民認定の決定に対して不服を申し立てることにより滞留できる期間は1週間と大変短いものにすること、次に指紋採取に応じなかったり、不服申し立て中にEU内の他国に移動した者は自動的に申し立てが却下され本国へ強制送還されることなどが規定されているという。さらには、難民が長期滞在を許される要件である5年経過の期間のカウントは、難民がその期間内に他国に移動した場合は、また一からカウントし直すようになるという。...
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7月13日付
『テレグラフ』(英)は、EUが十分な理由もなく流入する難民に対する抑止効果を狙い、規制が強化されると報じる。これによると、まず難民認定の決定に対して不服を申し立てることにより滞留できる期間は1週間と大変短いものにすること、次に指紋採取に応じなかったり、不服申し立て中にEU内の他国に移動した者は自動的に申し立てが却下され本国へ強制送還されることなどが規定されているという。さらには、難民が長期滞在を許される要件である5年経過の期間のカウントは、難民がその期間内に他国に移動した場合は、また一からカウントし直すようになるという。このような規制の厳格化により、指定された国にとどまらず「逃亡の危険のある」者は、抑留センターに収容される。
これらは昨年ギリシャ経由でEUに入った難民がドイツやスウェーデンに殺到した事態を反省し、考えられたものだという。また、チェコやハンガリー、ポーランドなどの中央ヨーロッパや、エストニア、ラトビア、リトアニアなどの東ヨーロッパに入った難民も結局ドイツやスウェーデンに向かうことが多いため、この2国の負担を減らす目的もあるという。
今回の規制強化についてEU移民問題担当委員であるアブラモプロス氏は、「難民を平等に扱い手続きの公平性を高めるため。今回の規制強化により、どの国に到着しても均一で迅速かつ効果的な対処が可能になる」と語っている。また、同時に「難民制度を悪用して、EU内を自由に移動するのを防ぐ効果もある」とする。
しかしながら今回の案に対しては批判も上がっている。イギリスの政治家であるランバート氏は今回の案を「罰則を伴う厳しすぎる対応である。難民は本国での生命が脅かされたからEUに入ろうとするのだ」と批判している。ただし、イギリスはこの規制強化案の対象とはなっていない。
同日付
『ザ・ガーディアン』(英)は今回の案は難民の人権を侵害するものだと報じる。同記事はアムネスティ・インターナショナルのヨーロッパ支部長であるダルフセイン氏のコメントを載せている。同氏によれば、今回の案は、難民の保護を目的としているというよりも、不法入国者を食い止めようとするものだという。美辞麗句であり、結果は難民の権利を侵害するものだと語っている。
案はEU内務大臣や欧州議会のメンバーによる修正を経て立法化されるが、欧州議会のラポルタール(報告者)らはできる限りこれを阻止する意向を表明している。
昨年EUのリーダーたちはギリシャやイタリアの難民流入の負担を減らすために16万人の受け入れを約束したものの、10か月経った今でも正規には3000人程度しか受け入れられていない事実をEUも認めている。本国から直接EU内に入ることを希望している2万2500人の難民のうち、実際EUに入ることができた者はこの一年間で8200人程度にとどまっているという。
同日付
『ヴォイス・オブ・アメリカ』(米)は今回の案に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)も懸念を表明していると報じる。
また、ハンガリーやスロヴァキア、ポーランド、チェコなども今回の案には反対している。自国の負担が増すことが予想されるためであろう。前出のアブラモプロス氏は従わない国に対して罰則の適用はあるのかとの問いに対し、「まずは話し合いによる解決を図るが、それがうまくいかない場合は罰則の適用もありうる」としている。ただし罰則の詳細は未定である。
EU内の足並みを揃えるにも時間がかかるとみられる。
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