中国を警戒:日本とヴェトナム関係を強化(2015/09/16)
現在ヴェトナムの共産党中央委員会書記長であり、同国の最高指導者の地位に就くグエン・フー・チョン氏が訪日中である。同氏は安倍首相と会談し、軍事・経済両面での協力を強化することに合意したという。このことにつき各メディアは以下のように伝えている。
9月16日付
『ザ・ディプロマット』はチョン氏がヴェトナム共産党の党首として初めての訪日をしたことを伝え、二か国が様々な方面で関係を強化する方向で合意したことを伝えている。両国はすでに2009年に戦略的な提携関係にあったが、それを昨年、さらに強固なものにしていた。ごの提携関係を今回の訪日でより「高度なレベルでの」ものにすることを目指しているという。今回の包括的な関係強化の中には南シナ海での領土問題に対する対策の強化が含まれている。...
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9月16日付
『ザ・ディプロマット』はチョン氏がヴェトナム共産党の党首として初めての訪日をしたことを伝え、二か国が様々な方面で関係を強化する方向で合意したことを伝えている。両国はすでに2009年に戦略的な提携関係にあったが、それを昨年、さらに強固なものにしていた。ごの提携関係を今回の訪日でより「高度なレベルでの」ものにすることを目指しているという。今回の包括的な関係強化の中には南シナ海での領土問題に対する対策の強化が含まれている。
日本は昨年8月に岸田外相がヴェトナムを訪れた際に6隻の中古船舶を贈与しているが、2億円の支援枠組みの一環として、さらにもう2隻の中古船舶を進呈すると同時に、国連の平和維持活動での協力関係の強化や湾岸警備での人的協力関係の覚書に署名もなされたという。
経済面では日本はすでにヴェトナムに対して韓国に次ぐ経済支援を行っているが、この度ヴェトナムの港湾設備や高速道路などといったインフラ整備目的の設備投資1000億円を追加で貸し付けるという。また、日本はヴェトナムのホーチミン市に新しく総合病院を建てるための費用として2億8600万円の援助(ODA)を申し出たとう。そして貿易に関してはヴェトナムが日本のリンゴの輸入を、日本がヴェトナムのマンゴーの輸入を開始することになったという。
9月15日付
『ロイター通信』によると、この二国間の合意はアメリカが前日に、中国が南シナ海の係争地で3本目の滑走路を建設する準備段階にあるとみられることが伝えたことを受けてなされたものだという。中国は現在南シナ海において、ヴェトナム、フィリピン、マレーシア、台湾、ブルネイと争っており、日本とも尖閣諸島をめぐって論争が絶えない。今年の初め、日本はマレーシアおよびフィリピンと防衛関係を強化することで合意している。安倍首相はチョン氏との合同記者会見で中国を名指しこそしないものの「二国間で、某国が南シナ海での埋め立て行為などにより一方的に現状を変え、国家間の緊張を高めていることについての深刻な懸念を共有できたことは大変重要な意義を有する」と述べたという。チョン氏も「我々二か国はこの問題が海洋法に関する国連条約などの国際法によって平和的に解決されるべきだという共通認識を有している」と述べた。
9月15日付
『ヴォイス・オブ・アメリカ』は今週中に成立を目指している安保関連法案についても言及し、この法案の成立により日本の今まで以上の軍事的活動が可能となり、将来的には南シナ海で日本の船舶が南シナ海をパトロールすることになるかもしれないとしている。
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インド・アメリカ・日本の合同軍事演習にオーストラリアが参加の意欲(2015/09/08)
現在、様々な国同士で合同軍事演習が行われている。毎年行われているインド・アメリカの軍事演習に日本の自衛隊がが初参加することになっているが、そこにオーストラリアも参加に強い意欲を抱いているという。その背景と狙いは何か。
9月3日付
『ヴォイス・オブ・アメリカ』はロイター通信の記事を引用し、オーストラリアはインド洋で行われるインド・アメリカ・日本の合同軍事演習への参加に強い意欲を示していると伝えた。オーストラリア国防省のケビン・アンドュース氏は、軍事演習への参加は領有権が争われている地域での「軍事的なアクシデント」を回避するのに役立つだろうと述べたという。インドとオーストラリアは貿易上、海運の確保という点で利害を共にしている。...
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9月3日付
『ヴォイス・オブ・アメリカ』はロイター通信の記事を引用し、オーストラリアはインド洋で行われるインド・アメリカ・日本の合同軍事演習への参加に強い意欲を示していると伝えた。オーストラリア国防省のケビン・アンドュース氏は、軍事演習への参加は領有権が争われている地域での「軍事的なアクシデント」を回避するのに役立つだろうと述べたという。インドとオーストラリアは貿易上、海運の確保という点で利害を共にしている。
このインド・アメリカ間の軍事演習はマラバール演習と呼ばれ、インド洋で毎年開催されている。以前は「招待」という形だった日本も初の参加となる。この軍事演習はインド洋での中国の動きを念頭に置いたものである。同紙は中国の南シナ海での動きは独断的で、近隣諸国そしてアメリカや日本の怒りを招いているとする。昨年インドの隣国であるスリランカの近辺で、中国の潜水艦が現れた出来事はインドに衝撃を与えた。このような南シナ海やインド洋での高まる軍事的緊張関係に、オーストラリアは強い懸念を抱いているという。
9月3日付
『デイプロマット』によると、インドは2007年に多国間の合同軍事演習を開催しており、当時アメリカに加えて日本、オーストラリア、シンガポールを招待していた。しかしながら、これが中国の怒りを買い、中国への挑発行為になりかねないとしてオーストラリアは合同軍事演習への参加を見送ったのだ。このことについて記者から質問を受けたアンドリュース氏は、この判断は当時のケビン・ラッド元首相の「間違った」判断だったと述べたという。同首相は軍事演習の翌年に控えていた外務大臣レベルでの中国との会談に備えて、中国の機嫌をとったのではないかとも言われている。アンドリュース氏は次に招待があれば、オーストラリアは喜んで合同軍事演習に参加する意向であるいうことだ。
『ヴォイス・オブ・アメリカ』は、現在アンドリュース氏は来月に行われるインドとの初の海軍合同軍事演習のために訪印中であると伝えている。合同軍事演習では、対潜水艦対策の演習も披露される予定だという。同氏は「両国間での合同軍事演習の範囲を拡大する方針で、ここ1,2年のうちに海軍、陸軍にも広げていきたい」と語ったという。またインドは、オーストラリアの機甲歩兵装甲車購入に大変興味を示しているという。
アジア・オセアニアの勢力分布図も日々少しずつ動いているといえよう。
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