2月16日付米
『ユーラシア・レビュー』誌(オレゴン州在のジャーナル・シンクタンク)の、「南シナ海領有権問題の最初の犠牲者はAIIB?」と題した報道記事:
「・AIIBは、今年半ば頃までには最初の融資案件を立ち上げたい意向。
・一方、フィリピンが国際仲裁裁判所に申し立てた、南シナ海で中国が一方的に進めた海洋活動について、同裁判所の審理結果が同じ頃出される予定。
・万一、同裁判所がフィリピンの申し立てを認めた場合、中国の対応によって、AIIB融資に問題発生の恐れ。...
全部読む
2月16日付米
『ユーラシア・レビュー』誌(オレゴン州在のジャーナル・シンクタンク)の、「南シナ海領有権問題の最初の犠牲者はAIIB?」と題した報道記事:
「・AIIBは、今年半ば頃までには最初の融資案件を立ち上げたい意向。
・一方、フィリピンが国際仲裁裁判所に申し立てた、南シナ海で中国が一方的に進めた海洋活動について、同裁判所の審理結果が同じ頃出される予定。
・万一、同裁判所がフィリピンの申し立てを認めた場合、中国の対応によって、AIIB融資に問題発生の恐れ。
・同裁判所の審理結果を中国が無視すれば、AIIB融資先が返済の義務履行を果たさなくなる余地を与えるだろうし、中国がAIIB他メンバーの協力を仰いでも、国際ルールに従わない中国を果たしてどの国が支持するか。
・更に、中国が具体的根拠も史料も示さずに南シナ海で展開した、“長い間争いのない中国の領土・領海”としたロジックに沿って、AIIB融資先にとって、融資金で建設した当該国のインフラ設備が、“中国の所有権は争いのない事実”として後日接収されるリスクが新たな懸念。」
同日付ロシア国営
『ロシアTV』の、「BRICS新開発銀行とAIIBは相互協力の関係」とロ
シア国内の疑問に答える形で間接的にAIIBを支援する報道:
「・ロシア外務省セルゲイ・リャブコフ副大臣は2月15日、ロシアTVのインタビューに答えて、BRICS新開発銀行(NDB、ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ新興国が組織した銀行)は中国主導のAIIBと協力して、更に多くのインフラ・プロジェクト立上げを支援していく、と表明。
・NDBは新興5ヵ国によって2014年7月に開業し、本部は上海に置かれ、資本金は500億ドル(約5兆7,000億円)で、主として新興国の継続的発展に寄与することが目的。
・AIIBは57ヵ国の参加によって2014年10月に設立され、本部は北京に置かれ、資本金は500億ドルだが1,000億ドル(約11兆4,000億円)に増額される予定で、主にアジア太平洋地域の道路、鉄道、空港等のインフラ建設が対象。」
一方、2月13日付中国国営
『チャイナ・ウェブサイト・ニュース』の、「AIIBの将来は
大いなる挑戦の機会」と自画自賛する報道記事:
「・AIIBは、これまでの国際金融システムに挑戦し、改革していく新たな取り組み。
・常設の理事会を置かない代わりに、主要国の金融担当相が理事を兼ねる体裁。
・これは、迅速な融資決定を図るだけでなく、過度な政治的思惑による運営にしないための方針。
・なお、AIIBの主要5ヵ国のうち、目下景気後退に喘ぐロシアは外部からの金融支援を必要としていることもあり、AIIB内のバランスを取るため、ロシアに代わって他の非主要国に理事ポストを配分。
・一方、金立群(ジン・リークン)総裁は、中国はAIIBからの融資を受けることはないし、むしろ、途上国向けに5,000万ドル(約57億円)の追加融資基金を用意したと言明。」
1月16日のAIIB開業式典において習近平(シー・チンピン)主席は、中国は国際的な経
済システムの改善を推進する、と大見得を切ったが、中国株価暴落や経済成長率鈍化によ
って引き起こされた現在の世界的金融の混乱を、どのように解決するのか。
現実問題、AIIBがインフラ案件で必須となる、「原資をいかに安く調達し、採算性や返済
計画をどう詰めるかという国際金融機関の融資ノウハウ」が欠如しているだけでなく、AIIB
債券が無格付け(しいて言えば、ジャンク・ボンド並み)の状況下、今年の初の融資案件
含めて、20億ドル(約2,300億円)をどのように手当てするのか等々、問題は山積と言わ
ざるを得ない。
国際通貨基金(IMF)から、国際利用可能通貨のお墨付きを得た人民元資金を活用すると
の案もあろうが、人民元の金融市場はがんじがらめに規制されて使い勝手が悪い上、金融・
資本の自由化と情報の公開がない中国市場は不透明で、どれだけの外資が投資してくるの
か甚だ疑問であるし、むしろ人民元安とともに巨額の資金が中国から逃げているという現
状である。
日米の参加なしには、高い格付け取得は望めないとの現実からか、中国首脳からは、「(AIIB
の)ドアは依然開かれている」と秋波が送られてきている。しかし、AIIB北京本店ビルの
前に、「点石成金(偉君が触れば石も金に換わるとの言い伝え)」記念碑をシンボルとして
置いているとのことから考えて、日米ともに、このように怪しくて、魑魅魍魎が跋扈する
中国金融機関に肩入れすることは控えるべきであろう。
閉じる
2月10日付米
『ロイター通信米国版』の、「米高官、米国とインドが南シナ海における共同監視航行を検討と発言」と題した報道記事:
「・米国防総省高官は2月10日、ニューデリー(インド)でロイター通信のインタビューに答えて、米国とインドは年内にインド洋のみならず、南シナ海においても共同監視航行をすることにつき協議中とコメント。
・米国とインドは最近、安全保障面も含めて連携を強めてきており、昨年は日本も交えて合同演習を実施。
・米国とインドは、南シナ海における領有権問題に直接関わっていないが、両国とも、航行及び飛行の自由を確保することの重要性を確認。
・一方インドとしては、中国と長い間国境問題で揉めており、武力衝突よりも経済活動での連携強化を模索。
・ただ、インド海軍高官は、今やインド海軍は増強されていて、インド洋に限らず、南シナ海まで平和と安全保障確保のため活動範囲を広げており、中国と領有権を争うベトナムにも大艦船団を送っているとコメント。」
同日付ロシア
『ロシアTV』の、「米国とインドが、南シナ海における共同監視航行を検討
との報告」と題した報道記事:
「・これまでインドは、他国と共同監視航行を行ったことはなく、インド海軍報道官によると、これまでの国連旗を付けての国連軍にのみ参加協力をするとの方針に変更はないとコメント。
・中国は今月初め、1月末の米海軍による、南シナ海の中国主権の諸島近海の無通告航行につき、違法で愚かな行為と激しく非難。」
閉じる