今週初め、米俳優トム・ハンクス(63歳)が、“コロナ”という名前の豪州の8歳の少年に、スミス・コロナ社製のビンテージ・タイプライターを贈ったと報道された。
新作映画の撮影で現地を訪れていたハンクスが、新型コロナウィルス(COVID-19)に感染したことを知った同少年が、お見舞いの手紙を送った際、“コロナ”という自信の名前のため、学校でいじめられていることを告白していた。
無事に快復したハンクスが、お礼を兼ねてかかるプレゼントを贈り、励ましたものだという。...
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今週初め、米俳優トム・ハンクス(63歳)が、“コロナ”という名前の豪州の8歳の少年に、スミス・コロナ社製のビンテージ・タイプライターを贈ったと報道された。
新作映画の撮影で現地を訪れていたハンクスが、新型コロナウィルス(COVID-19)に感染したことを知った同少年が、お見舞いの手紙を送った際、“コロナ”という自信の名前のため、学校でいじめられていることを告白していた。
無事に快復したハンクスが、お礼を兼ねてかかるプレゼントを贈り、励ましたものだという。
日本においては、さすがに“コロナ”という名前の子供はいないと思うものの、忌むべきCOVID-19を表現するのに、政治家もテレビ・新聞までも、“新型コロナ”とか“コロナ”とかの略称を大っぴらに使用している。
“コロナ”は、太陽の外層大気の最も外側にある、100万度を超える希薄なガスの層のことで、今回問題を起こしている“ウィルス”が“コロナ”に似ているから(その他、これまでも多くのコロナウィルスが問題を引き起こしてきており、区別するため新型コロナウィルスと呼ばれている)ことから、そう名付けられたに過ぎず、“コロナ”そのものが悪い訳ではない。
現に、英語圏のメディアの報道をざっと見る限り、“Novel Coronavirus”、“Coronavirus”、“Virus”、または、世界保健機関(WHO)が命名した“COVID-19”と呼んでいるが、“Corona”と使われている記事にはお目にかかっていない。
従って、もしトヨタ自動車が、依然“コロナ”(1957~1996年)の生産・販売を継続していたとしたら、COVID-19を“コロナ”と呼んで欲しくないとの声明が出されたかも知れない。
一方、新潟県の暖房器具製造の株式会社コロナは、今のところ特にクレームは出していない。
なお、今回の“コロナ”以外、日本国内でしか通じないと思われる、日本独特の略称として、今筆者が思い付く限り、次のようなものがある。
・①対象名詞:Television、②英語圏の略称:TV、③日本語の略称:テレビ
・①Remote-controller、②特になし、③リモコン
・①Personal Computer、②PC、③パソコン
・①Lap-top Computer、②Lap-top、③ノートパソコン
・①Word-processor、②特になし、③ワープロ
・①Car-navigator、②特になし、③カーナビ
・①Event-data-recorder、②特になし、③ドラレコもしくはドライブレコーダー
・①Convenience-store、②特になし、③コンビニ
・①Sexual-harassment、②特になし、③セクハラ
・①General-contractor、②特になし、③ゼネコン
・①Los Angeles(スペイン語、英語のThe Angelsの意)、②LAもしくはL.A.、③ロス(定冠詞Theを指し、またLossと取られかねず、意味は通じない)
・①San Francisco、②San Fran、③シスコ
・①Paris、②特になし、③パリ(Parisの語源は、紀元前にガリア地方に栄えたParisii(パリシー)族から。また、俗説ながら、Par=等しい、Is=イスという5世紀頃のブルターニュ地方の伝説都市からの造語。いずれにせよ、Pariで切ってしまっては意味が通らない。但し、フランス語の発音は“pari”(末尾の“s”は発音しない)なので、フランス語圏では通じる。)
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元米連邦中央情報局(CIA)局員のエドワード・スノーデン(ES、36歳、注後記)は、2013年に米国家安全保障局(NSA)による海外要人の盗聴事件を暴露して、米司法当局より指名手配されている。目下は、プーチン政権の庇護の下、ロシアに滞在しているが、今週「パーマネント・レコード」という回顧録を出版することになったことから、米司法省から、元公務員の機密保持誓約等を理由に提訴された。
9月17日付米
『ニューヨーク・ポスト』紙:「米政府、エドワード・スノーデンの新刊本の収益を求めて提訴」
米司法省は9月17日、元CIA局員兼NSA契約職員のESを、機密事項を含む書籍の出版及び機密事項保持誓約違反で提訴した。
バージニア州連邦地裁に提出された起訴状によると、ESは今週、「パーマネント・レコード」という回顧録を出版する予定だが、その中にCIA及びNSA勤務時代に知り得た機密事項を暴露していること、及び書物を発刊する場合に当局から事前の許可を取得していないことを要件としている。
すなわち、ESがCIA及びNSAで勤務するに当り、機密事項漏洩を行わない等の誓約書に署名しているが、これに違反するとしている。
ES自身は、組織の不正を内部告発したまでだと主張しているが、米司法当局からは、機密情報の窃盗及び機密漏洩の罪で告発されており、それぞれ最長10年の禁固刑が下される。
バージニア州東部地区のザチャリー・ターウィルガー連邦検事は、機密情報は国家及び国民を保護するものであって、個人の収益のために使われることはあってはならないことだとした上で、今回の提訴によって、当該本の収益が一切ESに渡らないようにするものだ、とコメントした。
また、米司法省民事局のジョディ・ハント次官補は、国家安全保障に関わる機密情報は、関係する全ての職員のコンプライアンスに頼るところが大きく、ESの違反行為は許されるものではないと表明した。
なお、米司法当局は、当該本の出版や販売の差し止めは求めておらず、ただ、収益の全てを国家に戻入するよう求めているとしている。
一方、9月18日付ロシア『RT(ロシア・トゥデイ)』テレビニュース:「元CIA内部告発者、米政府によるエドワード・スノーデン提訴は他の内部告発者を黙らせるためだとコメント」
元CIA局員で内部告発者のジョン・キリアコー氏(55歳、ギリシャ系米国人ジャーナリスト)は『RT』のインタビューに答えて、米司法当局がESを提訴したのは、ESを罰するだけでなく、他の内部告発者を黙らせるためだ、と語った。
同氏によれば、以前から元CIA局員らの機密保持に神経を使い、1970年代には、万一本を出版する場合、内容について事前に当局の許可を得るよう義務付けてもいる。
更に同氏は、米司法当局がESの回顧録の出版について提訴したことから、皮肉にも、むしろ同回顧録を宣伝する結果になるという。何故なら、そこには機密情報が掲載されていることが強調されているので、一般大衆は挙って買い求めることになるからである、と付言した。
(注)ES:2013年6月に、中国香港特別行政区で複数の新聞社(ガーディアン、ワシントン・ポスト、サウスチャイナ・モーニング・ポスト)の取材やインタビューを受け、NSAによる国際的監視網の実在を告発。すぐさま、米司法当局から香港政府に臨時逮捕と引き渡しの要請が出されたため、ロシアに逃亡。同年8月、ロシア移民局から期限付きの滞在許可証が発給されてロシアに滞在中。2014年1月、ノルウェーのボード・ソールエル元環境大臣からノーベル平和賞候補に推薦された。なお、ロシア居住許可は2020年まで取得しているが、本人は今年9月、フランスへの亡命希望を表明している。
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