中村哲医師の銃撃事件、海外でも広く報道(2019/12/13)
アフガニスタン東部ジャララバードで、民間活動団体(NGO)「ペシャワール会」の中村哲医師が今月4日、現地で銃撃されて亡くなった事件は、日本だけでなく英BBCなど海外でも広く報道された。
英
『BBC』は、中村哲医師がどのような人物だったのかを詳細に紹介。「1946年に日本の福岡市で生まれ、医師の資格を得た後、ハンセン病患者の治療のため1984年にパキスタンに移住した。2年後、彼はアフガニスタンに向かい、ナンガルハールの人里離れた地で最初の診療所を開き、NGOであるピース・ジャパン・メディカル・サービス(PMS)を設立した。
PMSは、ピーク時には10の診療所を運営し、ハンセン病患者や難民などを支援していた。...
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英
『BBC』は、中村哲医師がどのような人物だったのかを詳細に紹介。「1946年に日本の福岡市で生まれ、医師の資格を得た後、ハンセン病患者の治療のため1984年にパキスタンに移住した。2年後、彼はアフガニスタンに向かい、ナンガルハールの人里離れた地で最初の診療所を開き、NGOであるピース・ジャパン・メディカル・サービス(PMS)を設立した。
PMSは、ピーク時には10の診療所を運営し、ハンセン病患者や難民などを支援していた。
中村医師は、清潔な水がないがゆえに人々がコレラやその他の病気で苦しんでいた村で、井戸の建設や灌漑に深く関わった。2003年、アジアのノーベル賞として認知されているラモン・マグサイサイ賞を受賞した。」
更に『BBC』は2014年、中村医師がジャパンタイムズに語ったことばも紹介。「安全性を確保するために毎日異なるルートで仕事出かけていた」こと。同時に、彼がとることができる最善の予防策は「みんなと友人になる」ことであると。また、「私は敵を作らないようにしてきました。たとえ私が原則のない人だと思われたとしても、みんなと友人になることが一番良いのです。私がそこで頼れるのは唯一人だけだからです」「そして、それは銃を持つより驚くほど効果的なのです。」という中村医師の言葉を伝えた。
仏『ル ポワン』は、1980年代よりアフガニスタン東部で病人や農業関係者を助けてきた日本人医師が、同乗していた運転手や警備員5人も含め銃撃されて殺害されたことを報道。
そして、カブールでは、100人以上の人々が(中村医師は)「本当のヒーロー」だと伝えるプラカートを持ってろうそくの周りに集まり、参加者の一人は「中村医師は慈悲心の象徴だった」と話したと伝えている。アフガニスタンの大手民間テレビチャンネルTolonewsは、事件翌日にいくつかの州で告別式が執り行われる中、中村医師に関する特集番組を長時間にわたり放送したという。
また『ルポワン』は、NGOに対する攻撃は非常にまれであるものの、中村医師に対する銃撃事件は、11月29日に国連開発計画(UNDP)で働いていた米国人が、カブールで国連の車両を狙った爆破に巻き込まれて死亡した事件に続くものだと伝えている。
カタール『アルジャジーラ』は、中村医師はアフガニスタンで「ムラド伯父さん」という呼び名で知られており、30年以上にわたる彼の人道的活動を通して多くの人々の愛と尊敬を得たと紹介。
アフタにスタンでの町の人々の反応に注目し、「中村医師はアフガニスタンを変えようとし、アフガニスタン社会で最も弱い立場の人々に仕えようとしたために殺された」とボランティア芸術活動団体のArtLordsの共同創設者であるオメイド・シャリフィさんのコメントを紹介している。
中村医師のアフガニスタンの人々のためにしてきた素晴らしい仕事を忘れないために、ArtLordsのボランティアチームは同医師を描いた壁画を1つはジャララバード市に、もう1つはカブール市に描いたという。またシャリフィさんは、普通の住民から政府関係者まで、中村医師の遺産を引き継ぐことを誓ったと伝えている。
ナンガルハールのカマ地区の教師で居住者のアジュマルさんは「中村医師士の死は私たちにとって大きな損失です。私たちは彼をアフガニスタンの真の忠実な息子として常に覚えるでしょう」とアルジャジーラに語った。
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フランス、熱波の影響で原子力発電所2基の運転を一時停止(2019/07/24)
この夏2回目の熱波が訪れているフランス。40℃超えの予報が出ている中、フランス電力会社(EDF)は、猛暑の影響でフランス南部にあるゴルフェッシュ原発2基を23日から一時停止すると発表した。
『ル ポワン』の報道によると、EDFは「環境的制約のための停止」だと伝えている。ガロンヌ川の水位が低く、水温も高すぎて冷却が出来ない状況にあるというのだ。
原子炉の上流でガロンヌ川の水温が27度を超えており、2006年に設定された28度という水温の限界を超える可能性がある。 1980年代に建設されたオクシタニ州で唯一の原子力発電所の再稼働は、暑さが続く週末までは不可能なはずだと関係者は伝えている。...
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『ル ポワン』の報道によると、EDFは「環境的制約のための停止」だと伝えている。ガロンヌ川の水位が低く、水温も高すぎて冷却が出来ない状況にあるというのだ。
原子炉の上流でガロンヌ川の水温が27度を超えており、2006年に設定された28度という水温の限界を超える可能性がある。 1980年代に建設されたオクシタニ州で唯一の原子力発電所の再稼働は、暑さが続く週末までは不可能なはずだと関係者は伝えている。
ゴルフェッシュ原子力発電所の2基が同時に停止したのは今回が初めてとなる。しかし、『ル モンド』によると、 ローヌ川沿いの14基の原子炉も今後数日間で同じ運命を迎える可能性があるという。
『ル モンド』は次のように報道している。「EDFは水温制限に適合するために特定の原子炉での生産を停止または削減することを環境規制によって強いられている。 川沿いにある原子力発電所の運転では、川の水は、タービンに供給する二次回路の蒸気を冷却するために使用されてから川に排出される。」
「しかし、この水は川の環境バランスを崩さないように一定の温度を超えてはならない。各発電所には、地理的、技術的または環境的な特徴に配慮した制限が定められている。」
同紙によると、フランスは夏の間は電気生産量が消費量を上回っており、近隣諸国へも輸出している状況であり、今回の一時停止は電力生産への影響はわずかだという。 過去10年間の熱波による生産ロスは生産量の0.3%に相当する。
しかし『Orange』は、原子力発電所と猛暑は相性が悪いという問題を指摘している。度重なる熱波や干ばつによって河川の水位や流速が遅すぎるなどの水の問題は、生産上の制約に加えて安全上の制約にもなっている。
放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)は「2018年には、運転を妨げたり原子炉の安全性を危うくしたりするような低流量現象はなかった」と説明している。しかし雨量の少なかった去年の冬の後、川の状態はどうなのだろうか? EDFは、「今のところその懸念はない」と保証している。
エネルギー移行省によると、地球温暖化に伴い、フランスの河川の平均流量は2050年から2070年までに現在と比較して10から40%減少すると予測されている。これは、農業用、家庭用、工業用、エネルギー用などの水の使用で利益相反の増大が予想されることは間違いない。
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