新型コロナウイルス、ニコチンに感染予防効果か?(2020/04/27)
フランスのピティエ=サルペトリエール病院の医師と研究者チームが、ニコチンで新型コロナウイルスへの感染を予防できる可能性があることを発表した。ウイルス感染への予防や治療にニコチンを利用できるかどうか、更なる臨床試験が開始されるという。
『RMC』によると、ピティエ=サルペトリエール病院の医師や研究者らが調査したところ、新型コロナウイルス感染症で入院している343人の患者のうち、喫煙者は4.4%しかいないことが分かった。しかしフランスの人口における喫煙者の割合は、通常約25%とされている。これは、喫煙者がウイルスに感染するリスクが4倍から5倍少ないことを意味する。
『BFMTV』によると、仏パスツール研究所もオアーズ県クレピ=アン=ヴァロワで実施した大規模な疫学調査で同様の結論に達したという。...
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『RMC』によると、ピティエ=サルペトリエール病院の医師や研究者らが調査したところ、新型コロナウイルス感染症で入院している343人の患者のうち、喫煙者は4.4%しかいないことが分かった。しかしフランスの人口における喫煙者の割合は、通常約25%とされている。これは、喫煙者がウイルスに感染するリスクが4倍から5倍少ないことを意味する。
『BFMTV』によると、仏パスツール研究所もオアーズ県クレピ=アン=ヴァロワで実施した大規模な疫学調査で同様の結論に達したという。同研究所の著名な神経生物学者ジャンピエール・シャンジュ氏は、ニコチンが細胞受容体に付着することで、ウイルスが細胞に侵入して体内で拡散するのを阻止している可能性があると説明している。
『ル ポワン』によると、パリのピティエ=サルペトリエール病院はこの仮説を検証するために、フランス保健当局からの許可が下り次第、入院中の軽症患者、集中治療室にいる重症患者、そして予防として看護師らに、臨床試験として異なる用量のニコチンパッチを着用してもらう予定だという。ただし同病院の呼吸器科医は「ニコチンの副作用、特に非喫煙者への副作用については、警戒する必要がある。」とコメントしている。
また、タバコには健康上の利点はなく、コロナウイルスに感染した場合は、喫煙者のほうが非喫煙者よりも重症化しやすいことが調査で分かっている。
神経生物学者のトゥバック博士は煙草の煙は多くの毒性物質を含んでおり、感染の抑止効果があるのはニコチンのみであると説明しており、ニコチン効果もまだその可能性があるという仮説段階でしかないと強調している。
『RMC』によると、オリビエ・ベラン保健大臣は「非喫煙者はニコチンパッチをつけると嘔吐、めまい、倦怠感など、その副作用をすぐに感じる。これは治療法ではなく、大衆薬でもない。たばこには中毒性があり、喫煙を始める道となってはならない」と注意を喚起した。
フランスでは現在も喫煙が原因で、年間75,000人が死亡しており、フランス人の主な死亡要因の一つとなっている。
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アイスランド、国民の10%にコロナウイルス検査を実施(2020/04/17)
新型コロナウイルスの検査を受けることが出来ない、という批判の声が多く上がっている日本だが、同じ島国のアイスランドは、国内で最初の新型コロナウイルス感染者が確認される1カ月前も前の1月末から、国民に対し積極的に検査を受けてもらい、現在は人口の約10%という、世界で最も高い割合で国民に対する検査を実施してきた。
『ル ポワン』は、14日に医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に掲載された、アイスランドの大学と「deCODE Genetics」社による共同研究結果について報じている。
研究者らは今回の研究で、大々的なウイルス検査を2回実施した。1回目は、1月31日より、症状のある人や感染危険地域(当初は中国、そしてオーストリアアルプス、イタリア、スイス)から戻ってきた旅行者、感染者と濃厚接触のあった旅行者に対して検査を実施した。...
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『ル ポワン』は、14日に医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に掲載された、アイスランドの大学と「deCODE Genetics」社による共同研究結果について報じている。
研究者らは今回の研究で、大々的なウイルス検査を2回実施した。1回目は、1月31日より、症状のある人や感染危険地域(当初は中国、そしてオーストリアアルプス、イタリア、スイス)から戻ってきた旅行者、感染者と濃厚接触のあった旅行者に対して検査を実施した。2月28日に最初の陽性者が確認され、3月末までにはあわせて9,000人以上が検査を受けた。その結果、13.3%が感染していたことが判明した。
2回目の大規模検査は、バイオ医薬品会社「deCODE Genetics」社が一般の国民を対象に3月13日に実施された。症状の何も出てない人、軽度の風邪症状で隔離されていない人、が対象となった。その結果、検査を受けた国民の中で陽性判定が出た人の割合は0.6%~0.8%と非常に低いことが判明した。
そしてこうした大々的な検査のおかげで、ウイルスに関する様々なことが分かってきた。『BFMTV』によると、今回の調査の結果、海外からウイルスが持ち込まれたのはアジアからではなくヨーロッパからだったことが判明した。
分析によれば、当初、アイスランド国内にウイルスを持ち帰ったのは、イタリアとオーストリアから戻ってきた自国民の人達であったようだ。 続いて、イギリスで封鎖措置が取られる前に、イギリス旅行から戻ってきた人たちであった。これは、新型ウイルスがイギリス人の間でかなり早い時期に出回っていたことを示唆する。
また、感染した人のうち57%が症状あり、43%が無症状だったということも判明した。現在世界のほとんどの国では、症状のある人に絞って検査を実施するため、無症状の人は感染していないという印象を与えてしまう。しかし、今回の研究により、症状が何もなくても、誰でも感染力を持つ感染者になりうることが分かった。
なお、検査をあまり行っていない国では、高齢者中心に感染者が確認されているが、今回のアイスランド国民を検査したところ、感染者の内訳は子供が10.1%、青少年は56.6%、大人は28.7%、高齢者は4.7%と、若い人の比率が非常に高いことが分かった。
今回の検査で陽性判定が伝えられた人は、発熱がある場合は解熱後10日間、症状がない場合でも陰性結果が出るまで自宅で自主隔離することが求められた。仮に濃厚接触のあった相手がいたら、その相手も2週間の自主隔離を要請された。
無症状であった人たちが今回の検査を受けていなかった場合、自らの感染を知らずに出歩き、知らないうちに他の人々を感染させていただろう。積極的に検査を受けてもらうことで、ウイルス感染の拡大をより防ぐことができることが分かる。アイスランドでは幼稚園や小学校は休校となっていないが、これまでウイルス感染による死者は8人にとどまっている。
現在、アイスランドでは検査数が36,000を超え、 人口364,000人の小さな国の、国民検査率は世界一位。大々的にウイルス検査を行っていることで知られている韓国の国民検査率の10倍にあたる。
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