ブラジルのルセフ大統領が弾劾で罷免(2016/09/01)
オリンピックが閉幕し来週パラリンピック開幕を控えているブラジルでは、昨年より労働党左派ジルマ・ルセフ大統領が国家会計の操作で弾劾裁判にかけられていたが、今月上院で行われた弾劾裁判の採決で規定の3分の2以上の賛成多数(81議員中、有罪61票、無罪20票)で有罪判決が下され大統領を罷免されることとなった。2年後の任期完了までは、現在暫定政権を引き継いでいる中道右派のテメル副大統領が新大統領となる。ルセフ氏は国家会計の状況を良好に見せて国営銀行等に肩代わりさせたとされていた。テメル新大統領は税制や社会保障の改革を進める意向だが、経済の回復は期待されるものの政府内対立でブラジル改革には懐疑的見方もある。左翼政党が政権を握るベネズエラなどの周辺国ではルセフ氏罷免を受けて、ブラジルから大使を召還するなどブラジル政府を批判している。
8月31日付ブラジル
『ザ・リオタイムズ』は「アナリストはルセフ弾劾によるブラジル改革に疑問」との見出しで以下のように報道している。
・テメルが国を変革し政治経済が好転するというアナリストもいるが、それに疑問を呈する者もいる。
・カヴァルカンティ上院議員は議会廊下で課題は左派の改革である、テメル政権は経済への信頼を取り戻せるという。
・モレイラフランコ元リオ知事は弾劾でテメル大統領は改革すべき懸案を改革できる、取り急ぎ年次歳出を回復する政策を打ち出せるだろうという。...
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8月31日付ブラジル
『ザ・リオタイムズ』は「アナリストはルセフ弾劾によるブラジル改革に疑問」との見出しで以下のように報道している。
・テメルが国を変革し政治経済が好転するというアナリストもいるが、それに疑問を呈する者もいる。
・カヴァルカンティ上院議員は議会廊下で課題は左派の改革である、テメル政権は経済への信頼を取り戻せるという。
・モレイラフランコ元リオ知事は弾劾でテメル大統領は改革すべき懸案を改革できる、取り急ぎ年次歳出を回復する政策を打ち出せるだろうという。
・しかし、弾劾と新政権はブラジルの大きな政治経済問題への抜本的解決策とはならない。弾劾が済めば中休みとはなるが、政府は又もとの対立構造に戻るだろう。
同日付英
『ザ・ガーディアン』は「ジルマ・ルセフがブラジル上院で弾劾」との見出しで以下のように報道している。
・ルセフ氏は13年の労働党政権に幕、腐敗にまみれた上院で厳しい弾劾の末失職する結果となった。2年4か月の残任期間は中道右派のテメル氏が新大統領となる。
・ルセフ氏は2010年初当選、選挙で負け知らずのルセフ氏は弾劾採決後支持者の前でこれを議会のクーデターだとし、弾劾への反発と弾劾で露呈した保守的政策への挑戦を誓った。「退けたと思っているだろうがそれは間違え。皆で戦おう」、「さようならではなく、また会いましょうというべき」だと枯れた声で涙目で感情的に述べた。
・今年5月の暫定政権発足時、テメル氏は男性、白人のみを入閣させ大きく批判を浴びた。就任演説では、ブラジルを再び軌道に乗せ新時代を築くと演説。ブラジルは団結し低迷する経済を回復し外国資本に政治の安定を保障するとした。G20サミットでの中国訪問では安定回復をアピールしたいとした。
同日付英
『IBT』は「歴史的なルセフ弾劾によりミシェル・テメルがブラジル大統領に就任」との見出しで次のように報道している。
・2010年のルセフ大統領就任後、急速に経済が衰退し支持率が低下、2014年に2期目就任。
・隣国ベネズエラでは、ルセフ氏罷免を受けて、ブラジル大使を本国に召還させ国交断絶するという上院の決定に左派政権が猛反発している。
8月31日付キューバ
『Prensa Latina』は「キューバ:ジルマルセフ罷免にブラジル市民が激怒」との見出しで以下のように報道している。
・水曜キューバ政府はハバナで公表された声明で、不正や犯罪の証拠もないのにブラジルのルセフ大統領罷免することにブラジル市民は怒りっているとし、2014年のブラジル市民が選んだ新大統領への「議会のクーデター」であるとした。
・キューバは労働党のルセフ氏とルーラ・ダ・シルバ元大統領への信頼を語る。両者政権下の経済社会政策によりブラジルは急速に発展した。又両者は3500万人の貧困を減らし、4000万人の収入を上げた。また、教育や衛生環境の向上に貢献した。当政権下では、平和、発展、貧困対策の環境や組織に関する重要な議論に参加し、ブラジルはアフリカなどの途上国への協力、ロシア、インド、中国、南アなどのBRICS加盟国にも協力的。キューバはブラジル市民がこのようなリーダーを擁護し新自由主義政策に反対するよう願う。
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ブラジル大統領弾劾、オリンピックは?(2016/04/19)
ブラジル下院で行われたルセフ大統領の弾劾決議案は、予測を大きく覆し、賛成367、反対137で採択され、上院に移る事となった。雇用不安や政府内対立、汚職疑惑で支持率が低下、弾劾は反ルセフ派の陰謀との見方もされている。上院で過半数が賛成すれば弾劾裁判中大統領は職務停止となり、テメル副大統領が暫定大統領となる。今夏、リオでのオリンピック開催を控え、難題の重なるブラジル。オリンピック主催者側は準備は着々と進み、オリンピックへの影響はないと楽観している。
4月18日付ブラジル
『ザ・リオタイムズ』は「ブラジル下院がルセフ大統領の弾劾を採択」との見出しで以下のように報道している。
・国民の意思を代表する511名の議員が一人ずつ演台に進み口頭で投票、賛否両派で拍手や野次が飛び交った。議会の外では、仕切り板をはさんで弾劾賛成派と反対派が固唾をのんで見守った。サンパウロ軍警察によると、21,5万人が弾劾集会に参加、地方各地でも数万人規模の集会が行われ、弾劾賛成派の数は予測を大きく上回った。...
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4月18日付ブラジル
『ザ・リオタイムズ』は「ブラジル下院がルセフ大統領の弾劾を採択」との見出しで以下のように報道している。
・国民の意思を代表する511名の議員が一人ずつ演台に進み口頭で投票、賛否両派で拍手や野次が飛び交った。議会の外では、仕切り板をはさんで弾劾賛成派と反対派が固唾をのんで見守った。サンパウロ軍警察によると、21,5万人が弾劾集会に参加、地方各地でも数万人規模の集会が行われ、弾劾賛成派の数は予測を大きく上回った。
・国会終了後、司法長官ホセ・エドゥアルド・カルドーソ氏は国営TVに対し、「国民は怒っており、この結果は5400万人の国民が選んだ大統領と民主主義を否定し憲法を無効とするもの。これは更なるクーデターを招き、国家の汚点として語り継がれるもの。」と述べている。
・また、同氏は、ルセフ大統領は結果に落胆しているが辞任や職務縮小の予定はなく、月曜、国営TVで演説予定であるとしている。
同日付英
『ザ・ガーディアン』は「ジルマ・ルセフ大統領、ブラジル国会が弾劾裁判」との見出しで以下のように報道している。
・下院労働党のホセ・ギマラインス党代表は投票が終わる前に、「勝敗は世論と上院での裁判にかかっている」と述べた。弾劾賛成派はサッカー応援歌で団結した。
・数週間のうちに弾劾裁判が上院に進む可能性となれば、ルセフ大統領は3ヶ月職務停止となり、2002年から第一党の労働党は、テメル副大統領率いる中道右派による暫定政権に移る。
・大統領派は、今回の投票結果は、2014年のルセフ大統領の再選に対する反対派の非民主主義な策略だとして、上院での弾劾棄却に自信をみせているが、その可能性は薄い。
・かつて支持率92%だった大統領に国民は大きく反発、経済低迷と政府内対立、また汚職疑惑により支持率は急落した。最新の世論調査では、大統領支持率は僅か1割で、6割が弾劾に賛成。
・労働党の数人はスキャンダル疑惑で逮捕、前大統領も捜査中。ルセフ大統領は汚職を知りつつ責任を取っていない。
・しかし、弾劾の背景を疑問視する声も多く、支持者の中には政権奪還を狙うクーデターの前哨に利用されているとの懸念もある。下院議員の約3割が逮捕されるか警察の捜査中を受けている。
・日曜ブラジルのTVは弾劾集会のようすを報道、賛成派は国旗を掲げ、国家を斉唱する姿も見られた。
4月19日付米
『CNN』は「危機のブラジル、オリンピックは大丈夫?」との見出しで以下のように報道している。
・今夏予定されているオリンピック開催にむけ準備が進む中、当国は、ジカウイルスの蔓延、失業率が上がり停滞する経済、大統領の弾劾で政治危機、と先例のない難題が山積み。
・大統領辞任の可能性が出て、オリンピック開催を心配する声が多いが、国際オリンピック委員会(IOC)は、現状の危機は祭典開催に影響しない、弾劾の状況をつぶさに把握し、政情の影響は限られた物で、準備は着々と進んでいるとする。
・現地の主催委員会によると、スタジアムはほぼ完成したが、チケットの売れ行きが55%と予想に比べ今一つ。ブラジル国民は(チケット購入でなく)もっと違う関心、心配事に時間を費やしているため購入が遅い、とする。
・大統領のオリンピックでの役割は主に開会式への出席である。現地主催者の多くはリオデジャネイロのエドゥアルド・パエス市長であり、ルセフ大統領でない。
・政情にもかかわらず、主催者も観光当局もオリンピックの成功を確信。当局は観光客の呼び込みに奔走、ブラジルホテル業協会リオデジャネイロ支部によると、市内のホテル予約はほぼ満室、最近の報道にもかかわらずキャンセルは出ていない。
・リオ市観光大使は、開催中100万人の観光客を見込んでおり、「不安を持って訪れる人もリオの美しさと暖かい歓迎に驚くだろう。」と述べている。
・一方否定的な見方も。オリンピックはキャンセルや延期は出来ないが、国の「混乱」状況を取り繕うのに好都合だと考える人も多い。現状を「こわいメロドラマのようだ」という市民もいるが、主催者側はオリンピックが国の好転の機会になると楽観視している。
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