習国家主席;国防トップの徹底抗戦宣言を後押しするかのように「戦争以外の軍事作戦ガイドライン」を発令【米メディア】(2022/06/14)
6月13日付GLOBALi「
中国国防トップ、米国を目の敵にして台湾独立阻止のため徹底抗戦すると改めて宣言」で報じたとおり、中国国防トップが「アジア安全保障会議(シャングリラ対話、注後記)」において、台湾独立阻止のために徹底抗戦すると改めて宣言した。そして、これを後押しするかのように、習近平国家主席(シー・チンピン、6月15日に69歳)が「戦争以外の軍事作戦ガイドライン」を発令して、いつでも即応戦線が敷けるよう指示を出している。
6月14日放送の
『ザ・ナショナル・デスク』(2021年放送開始のシンクレア放送グループ制作のニュース番組)は、「習氏、台湾問題で緊張が高まる中、“戦争以外の軍事作戦ガイドライン”を発令」と題して、習国家主席が人民解放軍(PLA)に対して、いつでも即応戦線が敷けるよう具体的指示を出したと報じている。
習近平国家主席は6月13日、前日に国防トップが行った、台湾独立を阻止するために“徹底抗戦する”との演説を後押しするかのように、戦争以外の軍事作戦(NWMO)に関わる具体的ガイドラインを発令した。...
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6月14日放送の
『ザ・ナショナル・デスク』(2021年放送開始のシンクレア放送グループ制作のニュース番組)は、「習氏、台湾問題で緊張が高まる中、“戦争以外の軍事作戦ガイドライン”を発令」と題して、習国家主席が人民解放軍(PLA)に対して、いつでも即応戦線が敷けるよう具体的指示を出したと報じている。
習近平国家主席は6月13日、前日に国防トップが行った、台湾独立を阻止するために“徹底抗戦する”との演説を後押しするかのように、戦争以外の軍事作戦(NWMO)に関わる具体的ガイドラインを発令した。
国営『新華社通信』が報じたもので、“習近平・党中央軍事委員会主席が、NWMOに関わるガイドラインの公布文書に署名した”とし、“6章・59条から成る同ガイドラインは6月15日に発効する”という。
米議会調査局(CRS、1914年前身設立の立法補佐機関)によると、“NWMOは、全面衝突の下に位置付けられる”とする。
そして、NWMOには、監視や武力外交等の“定期的な活動”から、中国の領有権擁護のための抗戦等の“危機対応活動”まで含まれており、NWMOはしばしば戦争にエスカレートする可能性が高い、と解説する。
習氏の具体的発令の前日、国防トップの魏鳳和部長(ウェイ・フォンホー、68歳、国防相に相当、2018年就任)がシャングリラ対話において、“台湾独立を支援するような如何なる国に対しても、徹底抗戦を辞さない”と宣言していた。
訪日中のジョー・バイデン大統領(79歳)が5月下旬、もし中国が台湾に武力侵攻したら米国も武力で対応すると表明していて、また、同対話に出席していたロイド・オースティン国防長官(68歳)も6月11日、中国を名指しで非難する演説を行っていた。
かかる事態もあって、台湾問題をめぐって中国側から攻撃的なメッセージが発信されたものである。
6月13日付『ラジオ・フリー・アジア』(1996年設立の、米議会出資の短波ラジオ放送局)は、「習国家主席、NWMOガイドラインの公布文書に署名」と題して、中国における台湾問題をめぐる緊張度が増していると報じている。
台湾はこれまで、中国共産党の支配下になったこともなければ、台湾国民も主権や民主主義を放棄する意思を示したことはない。
しかし、中国はしきりに、台湾は中国の一部だと主張してきている。
そしてこの程、習国家主席が、6月15日に発効するNWMOガイドラインの公布文書に署名したと中国国営メディアが報じた。
『新華社通信』によると、“同ガイドラインはNWMOを展開する法的根拠となるものだ”とする。
今回のガイドライン発令に至る前日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領(44歳、2019年就任)がシャングリラ対話にビデオ出演して、台湾海峡における軍事的脅威に対して外交による解決が必要だ、と訴えていた。
また、岸田文雄首相(64歳)も6月10日、同対話において、“今日のウクライナ問題は近い将来の東アジアの問題にもつながる”と懸念を表明していた。
中国反体制派の政治コメンテーターの呉強氏(ウー・チャン、50歳)は、“ゼレンスキー大統領は、ウクライナ支援を行っている米国への返礼として、米国が推進しているインド太平洋戦略への支持を打ち出したものと考えられる”と分析している。
一方、台湾の国立中山大学(1924年設立)政治学部の陳健治准教授(チェン・チエンチ)は、魏国防部長の攻撃的なメッセージについて、米国をしてこれ以上台湾問題に関わらせまいとするための発言だと解説した。
同准教授は、“米国が、これ以上台湾向けに武器を提供しないよう釘を刺したもので、中国は、特に最先端武器が供与されることを非常に懸念している”と付言している。
なお、呉氏によると、魏国防部長は中国中央政権で大きな権力を有している訳ではなく、“中国中央政治局(中国共産党最高指導機関)25人の中にも入っていないが、軍事面において習国家主席に代わって二次的な役割を十分果たしている”とする。
(注)シャングリラ対話:安全保障問題等を研究するシンクタンク、国際戦略研究所(IISS、1958年設立、本部ロンドン)が主催。2002年から年1回のペースで開かれていて、アジア・太平洋地域を中心に各国の国防、安全保障の担当閣僚らが顔をそろえる。シャングリラホテル・シンガポールが会場なので、そう呼ばれている。政府間の公式な会議では自由な議論が難しいケースもあるため、外交・安保の専門家やビジネス界のリーダー等も交えて率直な意見をぶつけあう場を民間が設け、地域の信頼関係を築くことに役立ててもらおうという狙いがある。
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ローマ教皇;長年緊張関係にあったロシア正教トップと今年9月に直接会談【米・アラブ首長国連邦メディア】(2022/04/13)
ローマ教皇庁は4月11日、フランシスコ教皇(85歳、2013年就任)が今年9月、カザフスタン(1991年旧ソ連より独立)で開催される「世界伝統的宗教指導者会議(CLWTR、注1後記)」に出席し、そこで長年緊張関係にあったロシア正教会(モスクワ総主教庁、注2後記)トップのキリル1世(75歳、2009年就任)と直接会談することになったと発表した。
4月12日付米
『カトリック教通信』(CNA、2004年設立、本部コロラド州デンバー)は、「フランシスコ教皇、9月にカザフスタン訪問」と題して、カザフスタンで今年9月に開催されるCLWTRに出席し、そこでキリル1世モスクワ総主教と直接会談すると報じている。
ローマ教皇庁は4月11日、フランシスコ教皇が今年9月にカザフスタンを訪問すると発表した。
9月14~15日に首都ヌルスルタンで開催される第7回CLWTRに出席するもので、カザフスタンのカシム-ジョマルト・トカエフ第2代大統領(68歳、2019年就任)が、4月11日に同教皇とテレビ会議を行った後に公表していた。...
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4月12日付米
『カトリック教通信』(CNA、2004年設立、本部コロラド州デンバー)は、「フランシスコ教皇、9月にカザフスタン訪問」と題して、カザフスタンで今年9月に開催されるCLWTRに出席し、そこでキリル1世モスクワ総主教と直接会談すると報じている。
ローマ教皇庁は4月11日、フランシスコ教皇が今年9月にカザフスタンを訪問すると発表した。
9月14~15日に首都ヌルスルタンで開催される第7回CLWTRに出席するもので、カザフスタンのカシム-ジョマルト・トカエフ第2代大統領(68歳、2019年就任)が、4月11日に同教皇とテレビ会議を行った後に公表していた。
同教皇庁のマッテオ・ブルーニ報道官(45歳、2019年就任)は、“4月11日朝の同大統領とのテレビ会議において、教皇がカザフスタンを訪問することが決まった”と追認した。
更に、CLWTR出席に当たって、同教皇とキリル1世モスクワ総主教との会談を設定することがカザフスタン側に求められている。
同総主教は、ロシアのウクライナ軍事侵攻(ロシアは特別軍事作戦と呼称)を支持すると公表している。
仮に直接会談が実現すると、両トップとして2度目の会談となるが、『ロイター通信』報道によると、両トップの会談は、双方が6月にレバノンを訪問する際に実現する可能性があるという。
同教皇のカザフスタン訪問は、新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題発生前から準備が進められていて、駐バチカン市国カザフスタン大使が2020年、翌年開催予定とされた第7回CLWTRに出席する可能性が“非常に高い”と発言していた。
COVID-19感染問題で、当該会議が今年に順延されたが、同教皇は元々の計画に沿って今年の会議に出席する運びとなったものである。
カザフスタンは130余りの民族、18もの宗教を抱える多文化社会であるが、その中でイスラム教(スンニ派)が最大(約70%)で、次いでキリスト教(約26%、うちロシア正教約20%)である。
かかる状況下、フランシスコ教皇は2019年、ウクライナ・ギリシア・カトリック教会(正式にはウクライナ東方カトリック教会、1596年設立)の信徒が1万人に達したことから、カラガンダ(首都南東部)にビザンチン・カトリック教会の管理教区を設置することを認めている。
なお、同教皇庁によれば、同教皇は6月にレバノンを訪問した後、7月2~5日にコンゴ民主共和国(中部アフリカ、1960年ベルギーから独立、元ザイール共和国)、7月5~7日に南スーダン(東アフリカ、2011年に東隣りスーダンから分離独立)を訪問する予定である。
一方、同日付アラブ首長国連邦『ザ・ナショナル』紙(2008年発刊の英字紙)は、「フランシスコ教皇、今夏にエルサレムでロシア正教総主教と会談」と題して、同教皇が今年6月にイスラエルのエルサレム(ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の聖市)を訪問した際、モスクワ総主教と会談する予定だと報じた。
『ロイター通信』の4月11日付報道によると、フランシスコ教皇が今年6月にエルサレムを訪問し、その際にロシア正教トップのキリル1世モスクワ総主教と直接会談する予定だとする。
ローマ教皇とロシア正教総主教との会談が実現すれば、2016年にキューバで開催されて以来2度目となるが、そもそも2016年会談自体が、1054年の東西協会の分裂(注3後記)以来、双教会のトップの初の会談となっている。
しかし、同総主教は、ロシアによるウクライナ軍事侵攻(ロシア流特別軍事作戦)を祝福しており、数多の正教会(1ヵ国に一つの教会を具えることが原則、ギリシア正教会・ルーマニア正教会・ブルガリア正教会・ジョージア正教会・日本正教会等)と大きく異なる対応となり、正教会内の分裂を引き起こしている。
なお、匿名条件の情報提供者によると、同教皇は6月12~13日にレバノンを訪問した後、6月14日にヨルダン首都アンマン経由エルサレムにヘリコプターで移動し、キリル1世と会談した後にローマにとんぼ返りする予定であるという。
(注1)ロシア正教会:1448年独立宣言、1589年承認されたロシアのキリスト正教。長らく、ローマ・カトリック教会とは緊張関係にある。なお、2022年4月、ロシアのウクライナ軍事侵攻について「あなたはロシアの戦士です。あなたの義務は、ウクライナの民族主義者から祖国を守ることです。あなたの仕事はウクライナ国民を地球上から一掃することです。あなたの敵は人間の魂に罪深いダメージを与えるイデオロギーです。」という免罪符を発行している。
(注2)CLWTR:2003年、カザフスタンのヌルスルタン・ナザルバエフ初代大統領(1991~2019年在任、現81歳)が主導して立ち上げ。3年に一度開催。この会議は、諸宗教・文明間のグローバルな対話が開始され、さまざまな国や社会における相互理解と尊重を促進するうえで、大きな役割を果たしている。なお、2021年が開催年だった第7回会議は、COVID-19感染問題で1年延期されている。
(注3)東西教会の分裂:キリスト教教会が、ローマ教皇を首長とするカトリック教会(西方教会)と、東方の正教会(ギリシア正教他)とに二分されたことをいう。「ローマ教皇とコンスタンティノープル総主教の相互破門」と言われる事件を契機とする。この東西教会の分裂は、多くのシスマ(分裂)の中でも史上最大規模だったことから、大シスマとも呼ばれる。
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