イスラミック・ステイト(IS)で軍の指揮をとっていたシシャニ司令官が、先週金曜にアメリカ軍の行った空爆により死亡したとみられると各メディアが報じていた。しかし、ここにきてシシャニ司令官は負傷しながらも実は生きているとの証言が上がってきている。シシャニ司令官はISの中で、数多くの部隊を率いる「戦闘の達人」として知られ、アメリカ軍も500万ドル(5億6000万円)という多額の懸賞金をかけている。今回の空爆でシシャニ司令官が死亡したならば、ISにとってはある程度の打撃となるはずだが、逆の結果はシシャニ司令官が英雄扱いされ、ISの士気を高めることにもなりかねない。各メディアは以下のように報じている。
3月10日付
『CNN』(米)は当初アメリカ軍が発表したシシャニ司令官が死亡した可能性が高いという発表が、後の追跡調査により、負傷の可能性が高まっていると報じている。シシャニ司令官はチェチェン系ジョージア人で、はじめはチェチェン共和国独立を目指しロシアへの反乱軍に参加していたが、2012年からはISの外国人部隊の司令官として戦闘に参加していることが確認されている。
今回の空爆で12人のIS戦闘員が死亡したことは確認されているものの、空爆機から一人が逃げおおせているのが確認されている。...
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3月10日付
『CNN』(米)は当初アメリカ軍が発表したシシャニ司令官が死亡した可能性が高いという発表が、後の追跡調査により、負傷の可能性が高まっていると報じている。シシャニ司令官はチェチェン系ジョージア人で、はじめはチェチェン共和国独立を目指しロシアへの反乱軍に参加していたが、2012年からはISの外国人部隊の司令官として戦闘に参加していることが確認されている。
今回の空爆で12人のIS戦闘員が死亡したことは確認されているものの、空爆機から一人が逃げおおせているのが確認されている。この一人がシシャニ司令官かは明らかではない。アメリカ軍がシシャニ司令官が死亡したと考えたのは、空爆の後、傍受していたシシャニ司令官の通信が途絶えたためだという。今回の空爆はシシャニ司令官がシリアのシャダディで合議に参加しているとの情報をもとに、即時に計画・実行されたという。ただ、偶然にもドローンがその地域を飛行中であったというのだが、話が出来すぎているし、なぜ空爆後ドローンが現場をもうしばらくの間撮影できなかったのかが不明である。
同日付
『BBCニュース』(英)は、「シリア人権監視団」が、シシャニ司令官が、シリア北部の都市ラッカで、ヨーロッパ出身のISメンバーの医師の下で現在治療中との有力な情報を得たことを報じている。「シリア人権監視団」はイギリスに拠点を置く非政府組織である。
アメリカ国防省はこの件について「現在、事実関係を確認中」としている。
同日付
『ザ・ナショナル』(アラブ首長国連邦)はアメリカのソウファン・グループ(政府や多国籍企業に安全上の戦略を提供する会社)のバレット氏の分析を載せている。同氏によれば、シシャニ司令官はISの中で「もっとも戦闘能力に優れ」、「数々の戦闘に参加してきた経歴を持つつわもの」だという。特にIS内では有能との呼び声の高いチェチェン系の戦闘員をまとめあげ、指揮する能力では抜きん出ているとされる。ただ、IS内での地位は不明で、イデオロギーの面で指導者的地位には立っていないという。
今回のシシャニ司令官の生死の情報についての確認作業の混乱は、同記事は現地にアメリカ軍の人間がいなかったことが最大の原因と指摘している。シシャニ司令官の死亡はこれまで数度、誤報がなされており、確認が急がれる。
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