米・イラン関係;イラン政府が米との収監者交換交渉用の候補者リストを提出済みと明かすも米政府は沈黙【米・イランメディア】(2019/10/22)
米・イラン関係は、ドナルド・トランプ大統領によるイラン核合意離脱宣言以降、悪化の一途を辿っている。両国の間を取り持つべく、安倍晋三首相が奔走しているが、一向に目立った改善はみられない。しかし、水面下では両国の高官通しがコンタクトを続けている模様で、この程、イラン政府が米政府に対して、双方で収監されている受刑者の交換交渉のため、その候補者リストを提出したと明かした。だが、米政府は詳細コメントを避けている。
10月21日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』:「イラン政府が収監者交換のためのリストを提出済みと明かすが米政府は沈黙」
イラン外務省のアッバス・ムサビ報道官は10月21日の記者会見で、米側との収監者交換交渉の一環で、イラン側から候補者リストを米政府に提出済みであると明かした。
同報道官は、具体的候補者名や米側への提出方法について言及しなかったが、同政府としては、米政府の一方的な経済制裁が原因で“いわれのない”罪状で少なくとも20人のイラン人が米側に拘束されていると主張した。...
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10月21日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』:「イラン政府が収監者交換のためのリストを提出済みと明かすが米政府は沈黙」
イラン外務省のアッバス・ムサビ報道官は10月21日の記者会見で、米側との収監者交換交渉の一環で、イラン側から候補者リストを米政府に提出済みであると明かした。
同報道官は、具体的候補者名や米側への提出方法について言及しなかったが、同政府としては、米政府の一方的な経済制裁が原因で“いわれのない”罪状で少なくとも20人のイラン人が米側に拘束されていると主張した。
更に同報道官は、イラン人科学者のマソード・ソレイマニ氏が病を患っているのに米政府が拘束しているとして強く非難している。
米当局は2018年10月、ソレイマニ氏がシカゴ空港に到着した際、同氏が対イラン制裁に反して、米国から生体物質をイラン向けに輸出しようとした罪で逮捕している。
『ボイス・オブ・アメリカ』が国務省に照会したが、同省は本件に関し一切コメントせず、ただ、米政府はイラン政府によって捉えられている人質の奪還を最優先課題として取り組んでいる、とのみ回答した。
これまでの情報では、イラン当局によって、安全保障を理由として少なくとも4人の米国人が拘束されている。
元米兵のマイケル・ホワイト氏、中国系米国人の王喜悦(ワン・キユー)プリンストン大学研究員、イラン系米国人実業家のシアマック・ナマジ氏とその父親で、いずれの親戚筋も支援者もいわれのない拘束だと非難している。
なお、5人目の米国人として、米連邦捜査局(FBI)の元捜査官のロバート・レビンソン氏が12年前にイラン国内で消息を絶っているが、彼の家族はイラン当局に不当に拘束されていると主張している。
一方、今回の収監者交換交渉について、『ロイター通信』が先月、国務省高官の話として、今年初めにイラン政府に対して、拘束されている米国人解放について協議したい意向を伝えていると報じている。
同高官によれば、イランのモハンマド・ジャバド・ザリフ外相が、人質問題担当特使のロバート・オブライアン氏(当時。今年9月、米国家安全保障問題担当大統領補佐官に就任)から書簡を受領したことを明かしたという。
ただ、アラブ系米メディア『アル・モニター』オンラインニュースによれば、同外相が今年4月にニューヨークの国連本部を訪問した際、米側は一方的に米国人の解放を求めるだけだとした上で、2018年10月に米政府に対して、双方の収監者交換について協議を持ちかけたが、トランプ政権は一切無視していると非難しているという。
同日付イラン『イラン・デイリィ』:「イラン政府、米政府に収監者交換交渉用のリスト送付」
イラン政府は、米側に送付した候補者リスト詳細を明かさなかったが、ザリフ外相は唯一、科学者ソレイマニ氏の一日も早い解放という“吉報”を心待ちにしているとコメントした。
イラン・米両国間での収監者交換交渉が進展することによって、両国間の関係改善が進むことが期待される。
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イスラエル・カタール・トルコ・イランメディア;中東から見た米大統領予備選(2016/03/17)
3月も半ばが過ぎ、民主党、共和党とも最終候補が絞られつつあるが、民主/クリントン候補、共和/トランプ候補とも一歩抜け出しているとは言え、過半数獲得までにはまだ先が長い。中東のメディがこれまでの予備選の動きについて、どう報道しているかみてみたい。
3月17日付イスラエル
『ザ・タイムズ・オブ・イスラエル』紙の報道記事「トランプ陣営、クリントン候補は犬のように吠えるだけと批評」:
「・共和党はトランプ候補、民主党はクリントン候補に絞られつつある中、それぞれ敵対する党の候補に対する非難合戦。
・トランプ候補の公式インスタグラムに掲載された動画では、プーチン大統領と黒装束のイスラム戦闘員を登場させ、“民主党が我々の敵”とするテロップを流し、次にクリントン候補が犬のように吠え、それをプーチン大統領が嘲笑う映像を掲載。...
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3月17日付イスラエル
『ザ・タイムズ・オブ・イスラエル』紙の報道記事「トランプ陣営、クリントン候補は犬のように吠えるだけと批評」:
「・共和党はトランプ候補、民主党はクリントン候補に絞られつつある中、それぞれ敵対する党の候補に対する非難合戦。
・トランプ候補の公式インスタグラムに掲載された動画では、プーチン大統領と黒装束のイスラム戦闘員を登場させ、“民主党が我々の敵”とするテロップを流し、次にクリントン候補が犬のように吠え、それをプーチン大統領が嘲笑う映像を掲載。
・クリントン候補も直近の演説で、トランプ候補が示す主張、経験、政策などを酷評。」
同日付カタール
『カタール・トリビューン』紙の報道記事「イスラエルはトランプ大統領でも大丈夫?」:
「・ネタニエフ首相が今年望む最大の願いは、イスラエル政府と友好関係を築ける候補が米国の新大統領に選出されること。
・直近8年間、同首相とオバマ大統領とは、対イラン政策、イスラエル支援等でことごとく対立。
・そして今回の民主党候補も、サンダース氏は同首相の米議会での演説をボイコットしたし、クリントン氏にいたっては、夫のクリントン大統領時代から痛い目に遭わされ、同候補がオバマ政権で国務長官時代も何かと敵対するといった、散々な思い出ばかり。
・では、共和党の有力候補のトランプ氏はどうかというと、同首相としては、発言に一貫性がないことに不安;例えば、イスラム過激派イスラミックステートを撲滅すると言ったかと思うと、あれは米国には関係ないのでロシアに任せればよいと言い出すし、また、イスラエル・パレスチナ和平交渉についても、仲を取り持つような発言をしたかと思うと、“ニュートラル(どちらの肩も持たない)”な立場で臨むと言い出す始末。
・更に、共和党のどの候補も、イスラエルにとって忌むべき“イラン核合意”に反対を唱えるも、トランプ氏はそれを潰すとまで言い切らないもどかしさ。
・従って、同首相にとっては、クリントン氏であろうとトランプ氏であろうと、どちらが大統領になっても、(オバマ政権時代と同様)イスラエルの立場が擁護されない4年、もしくは8年間になると懸念。」
同日付トルコ
『デイリィ・サバ』オンラインニュースの報道記事「大統領選候補、イスラエル支持団体の年次総会で支持訴え」:
「・3月20~22日に開催される、米・イスラエル政治問題委員会(AIPAC、注後記)の年次総会には、大統領選全候補が招待されているが、今のところクリントン候補もトランプ候補も参加を表明。
・これまでどの候補も、(イスラエルが最も望んでいない)“イラン核合意”に反対を表明しているものの、大統領選を前にして、同総会では、更に突っ込んで、どれ程イスラエルを支援しているかとの演説が求められており、各候補にとっては厳しい踏絵。」
同日付イラン
『イラン・デイリィ』英字紙の報道記事「銃規制活動家、トランプタワー玄関前でトランプ候補の政策を非難」:
「・トランプ候補が発した、銃で人を撃った後でも、大統領選に出馬するとの暴言に怒った銃規制活動家らが3月16日、(不動産王の代名詞でもある)同候補所有のトランプタワー前で、非難する抗議運動を展開。
・活動家らは、毎日90人(年間約3万3千人)が銃の犠牲になっており、これ以上銃を野放しにすることは許されないとシュプレヒコール。
・同候補は、米国のイスラム教徒やマイノリティに対して攻撃的な発言を繰り返していることから、政治評論家は、最終的には同候補が共和党の代表候補に選出されることはないと予想。」
(注)AIPAC:1953年に設立された、米国において強固な米・イスラエル関係を維持することを目的とするロビースト利益団体。米国において、全米ライフル協会をも上回る影響力のあるロビー団体と言われる。全米50州で10万人の会員数。AIPACの政治目標は、ハマスに率いられたパレスチナ自治政府の孤立化、イランの核兵器保有の防止、中東における唯一の民主主義国家としてのイスラエルの支援等。
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