日朝首脳会談に対する日本の立場(9月27日)
南北首脳会談と中朝首脳会談は3回開催され、米朝首脳会談も2回目が開催される見通しになった。25日に安倍首相は韓国の文在寅大統領と会談したが、そのなかで文在寅大統から「日本と対話を行ってもよい」とする金正恩委員長からの伝言を受け取ったという。
これを受け11月にも日朝の首脳会談があるのではないかとの観測もでている。いうまでもないが、会談を行っただけで拉致問題が解決するわけではない。米朝首脳会談で非核化の問題が進展しなかったという道を繰り返さないためにも事前の折衝が十分必要である。...
全部読む
南北首脳会談と中朝首脳会談は3回開催され、米朝首脳会談も2回目が開催される見通しになった。25日に安倍首相は韓国の文在寅大統領と会談したが、そのなかで文在寅大統から「日本と対話を行ってもよい」とする金正恩委員長からの伝言を受け取ったという。
これを受け11月にも日朝の首脳会談があるのではないかとの観測もでている。いうまでもないが、会談を行っただけで拉致問題が解決するわけではない。米朝首脳会談で非核化の問題が進展しなかったという道を繰り返さないためにも事前の折衝が十分必要である。もちろん拉致被害者の関係者の方々の高齢化が進むなかで、時間との勝負があるのは確かであるが。
もうひとつ懸念されることがある。日朝の首脳会談で北朝鮮は日本の経済協力を持ち出してくるだろうことである。経済協力の形であれば日本も応じることは可能である。1990年の金丸訪朝以後、日朝間では戦後賠償ではなく、経済協力の形での資金提供で合意していた。1965年の日韓国交正常化の際の戦後賠償は「朝鮮半島」への戦後賠償であったからである。ただし北朝鮮は日本の植民地化をはじめ、数々の歴史問題を提起してくるのは想像に難くない。だからこそ話し合いの最初からボタンの掛け違いのない形での慎重な話し合いが必要になる。
閉じる
韓国・ムン大統領“北朝鮮非核化・国際社会が後押しを”(9月27日)
韓国・ムンジェイン大統領は国連総会で演説し「国際社会が北の新たな選択と努力に応じる番だ」と述べ、北朝鮮の非核化に向けた意志は固いとした上で国際社会としても後押ししていくべきだと呼びかけた。
日韓首脳会談・ムン大統領“キム委員長から回答”(9月26日)
ニューヨーク滞在中の安倍総理大臣が、韓国のムンジェイン大統領と会談。ムン大統領は「日朝首脳会談が行われるよう積極的に支持し、協力していく」と述べた。
そして、文大統領が先の南北首脳会談の詳細な内容に加え、安倍総理大臣からの依頼を受けて金正恩朝鮮労働党委員長に対し、拉致問題の解決の重要性や日朝関係の考え方などを伝え、回答も得たことを説明した。
これに対し、安倍総理大臣は「文大統領の強いリーダーシップに対して敬意を表す。...
全部読む
ニューヨーク滞在中の安倍総理大臣が、韓国のムンジェイン大統領と会談。ムン大統領は「日朝首脳会談が行われるよう積極的に支持し、協力していく」と述べた。
そして、文大統領が先の南北首脳会談の詳細な内容に加え、安倍総理大臣からの依頼を受けて金正恩朝鮮労働党委員長に対し、拉致問題の解決の重要性や日朝関係の考え方などを伝え、回答も得たことを説明した。
これに対し、安倍総理大臣は「文大統領の強いリーダーシップに対して敬意を表す。南北首脳会談で拉致問題を含む日朝問題に言及されたことに、お礼を申し上げたい」と応じた。
西村官房長官はキム委員長の回答について“ムン大統領から説明があったが詳細は控えたい”とした。
また、文大統領は北朝鮮が求める朝鮮半島の終戦宣言を巡っても最新状況や今後の方針について意見を交わしたことを説明したのに対し、安倍総理大臣は「終戦宣言は、朝鮮半島の平和と安定に資するものでなければならない」という認識を伝えた。
そして、両首脳は朝鮮半島の非核化に向けて、国連安保理決議に基づく制裁措置を完全に履行また、韓国大統領府はムン大統領が安倍総理大臣に先週の南北首脳会談の結果について説明し、金正恩朝鮮労働党委員長は「適切な時期に日本と対話をし、関係改善を模索していく用意があると表明した」と伝えたと明らかにした。
閉じる
第二次米朝会談を早期に(9月25日)
国連総会出席のために米国を訪れている韓国の文在寅大統領は、24日トランプ大統領と会談し、第三次南北首脳会談について伝えたが、その席でトランプ大統領はなるべく早い時期の米朝首脳会談を望んでいるが、場所はシンガポール以外になるだろうと語った。
米朝間では先に北朝鮮の非核化を望む米国と、終戦宣言を望む北朝鮮の間で意見の対立があり、高官級会談も進んでいなかった。このため文在寅大統領の仲介外交がどのように展開されるか注目されていたが、文在寅大統領はトランプ大統領に、北朝鮮内部では非核化の日程がすでに提案されていると伝え、さらに金正恩委員長自身も非核化の意思を明らかにしていると述べた。...
全部読む
国連総会出席のために米国を訪れている韓国の文在寅大統領は、24日トランプ大統領と会談し、第三次南北首脳会談について伝えたが、その席でトランプ大統領はなるべく早い時期の米朝首脳会談を望んでいるが、場所はシンガポール以外になるだろうと語った。
米朝間では先に北朝鮮の非核化を望む米国と、終戦宣言を望む北朝鮮の間で意見の対立があり、高官級会談も進んでいなかった。このため文在寅大統領の仲介外交がどのように展開されるか注目されていたが、文在寅大統領はトランプ大統領に、北朝鮮内部では非核化の日程がすでに提案されていると伝え、さらに金正恩委員長自身も非核化の意思を明らかにしていると述べた。さらに金正恩委員長がポンペオ長官の早期の訪朝を望んでいるとの口頭のメッセージを伝えた。
トランプ大統領は2回目の会談の候補地は現在つめている途中だがシンガポール以外になるだろうということと、現在ポンペオ国務長官が詳細な議事日程をつめているところだと語った。
ただし米国は非核化がなされなければ「最大限の圧力を緩和しない」と繰り返し述べていることからすると、文在寅大統領の仲介外交もすぐに成果があがるのは難しいものと思われる。
閉じる
水面下で熾烈な米朝の駆け引き(9月22日)
(平壌共同宣言・米国の求める規準満たさず)
北朝鮮の平壌で行われた南北首脳会談で、両首脳は北朝鮮の非核化が盛り込まれた平壌共同宣言に署名した。内容的には「東倉里のミサイル発射台とエンジン燃焼実験場について専門家の立会いの下に永久的に廃棄する」と盛り込み、米国側の対応によってはという条件付きながらも、「寧辺の核施設などを廃棄する等の追加措置をとる用意がある」としている。トランプ大統領も早速ツイッターで「非常に興奮した。...
全部読む
(平壌共同宣言・米国の求める規準満たさず)
北朝鮮の平壌で行われた南北首脳会談で、両首脳は北朝鮮の非核化が盛り込まれた平壌共同宣言に署名した。内容的には「東倉里のミサイル発射台とエンジン燃焼実験場について専門家の立会いの下に永久的に廃棄する」と盛り込み、米国側の対応によってはという条件付きながらも、「寧辺の核施設などを廃棄する等の追加措置をとる用意がある」としている。トランプ大統領も早速ツイッターで「非常に興奮した。非常に重要なことはミサイル実験や核実験がないということだ」と反応した。しかし米国側が要求している「非核化対象リストの提出」などは一切盛り込まれず、米国の求める規準からはほど遠いものであったこともまた確かだといえよう。北朝鮮は60発の核爆弾を持っているとされているが、これらをどうするかについても宣言文には一切触れられていない。今週、開催された国連安全保障理事会では、ヘイリー国連大使が「北朝鮮がロシアの協力のもとに違法に石油製品を調達している」と指摘するなど、米国は北朝鮮に対して今も強硬姿勢を緩めていない。さらに米国国務省・ナウアート報道官も「まずは非核化が重要だ。非核化の措置なしには何も起きないだろう」という米国のこれまでの立場を強調してみせた。
(水面下で熾烈な米朝の駆け引き)
国内でロシア疑惑やスキャンダルなどで劣勢に立たされているトランプ大統領としては中間選挙前に北朝鮮問題や貿易摩擦問題でどうしても成果を出したいとの思いがある。というのも、トランプ大統領は弾劾裁判につながりかねない中間選挙での敗北を極端に恐れているためだといわれている。さらにトランプ政権内部で対北朝鮮融和派と「終戦宣言は、38度線の非武装地帯に駐屯している国連軍の解体につながり、さらに駐韓米軍の正当性が崩れ、撤退につながる」と警鐘を鳴らす強硬派による綱引きが行われているといわれており、北朝鮮はこれを熟知しているようだ。この状況をうまく利用して米国に終戦宣言を出させ、制裁緩和につなげようとしている可能性もある。北朝鮮が寧辺の核施設廃棄の前提条件にしている「米国の相応処置」というのは終戦宣言を意味しているとみられ、北朝鮮としては65年もの間さらされてきた米国の軍事的脅威を取り除きたい思いがあるとみられる。もちろんトランプ大統領がそう簡単に北朝鮮にコントロールされるようなことは考えにくく、仮に非核化で成果が出ないのなら北朝鮮に対し段階的に厳しい態度をとる可能性もないとは言えない。その場合は強い指導者として自らをアピールする可能性があるだろう。
(9月最終週から10月が山場となる)
ポンペオ国務長官は「核施設廃棄に関して米国やIAEA(国際原子力機関)の査察団が立ち会うことも南北は再確認した」などと共同宣言に含まれていない内容を述べて、北朝鮮をけん制しており、米朝の間で非核化が先か終戦宣言が先かの熾烈な駆け引きが展開されている模様だ。おそらく9月24日の米韓首脳会談から9月27日前後に行われる米朝外相会談がうまくいけば、9月末から10月にかけて2度目の米朝首脳会談が開かれる可能性が高くなり、朝鮮戦争終戦宣言、北朝鮮の非核化に関する手続きの第一歩が示されるかもしれない。9月後半から10月にかけてが山場と言えそうだ。
閉じる
「北朝鮮を追う」内の検索