※2022年6月、更新を終了しています
首相、消費増税先送りへ布石か(3月18日)
来年4月の消費税率10%への引き上げについて安倍首相は先送りの検討を始めたようだ。
安倍首相から講師として招かれた2001年ノーベル経済学賞受賞の米国コロンビア大学・スティグリッツ教授は、会合後「2015年は世界経済にとって金融危機以降の最悪の年だったが、2016年はさらに弱くなるだろう。いま消費税を上げると誤った方向に向かってしまう」と述べた。
国際金融経済分析会合の初会合は、5月の伊勢志摩サミットに向け、世界経済への対応などについて意見交換した。...
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来年4月の消費税率10%への引き上げについて安倍首相は先送りの検討を始めたようだ。
安倍首相から講師として招かれた2001年ノーベル経済学賞受賞の米国コロンビア大学・スティグリッツ教授は、会合後「2015年は世界経済にとって金融危機以降の最悪の年だったが、2016年はさらに弱くなるだろう。いま消費税を上げると誤った方向に向かってしまう」と述べた。
国際金融経済分析会合の初会合は、5月の伊勢志摩サミットに向け、世界経済への対応などについて意見交換した。安倍首相は「世界経済の分析について意見を聞くとともにアベノミクスについてもきたんのない意見をもらいたい」と述べた。
スティグリッツ教授は「景気刺激には国際社会が協調して財政出動を行うことが必要」としたうえで「世界経済の現状を踏まえれば、来年4月の10%への消費増税は避けるべき」との認識を示した。
会合について与野党双方から「消費増税延期への布石では」との指摘が出ている。
14日のBSプライムニュースでも、内閣官房参与・本田悦朗氏は「今日本を取り囲むグローバルな経済環境、消費の伸び悩みからして企業マインドは余り良くない」と述べて、消費税の来年4月増税に明確に反対した。
安倍首相は、「リーマンショックや大震災のような重大事態になれば、増税を先送りする」といってきたが世界経済の悪化が見込まれる場合もこれに含まれると言う解釈をするようだ。
政治状況的には、多くの野党は増税に関し反対しているので、先送りにすれば夏の参議院選挙の争点から外すことができると言うメリットも出てくる。
春闘でのベアも低い水準に落ち着いた現状では、消費増税の先送りは現実的な選択肢として浮上するのではないか。
昨日、2回目の会合の講師として招かれた米国ハーバード大学・ジョルゲンソン教授は、「日本は生産性を高める必要があり、農林水産業や電気、ガス、不動産業など非製造業分野の規制を撤廃する必要がある」などの考えを示した。
一方、麻生財務大臣は参議院の財政金融委員会で、米国コロンビア大学のスティグリッツ教授が来年4月に予定されている消費税増税を延期するよう提言したことについて「私どもとは見解が違う」と述べた。
そのうえで「リーマンショック級の重大事態が発生しない限り増税は確実に実施する」と述べた。
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トランプ旋風の行方(3月17日)
3月半ばになり、米国大統領選の各党の候補は絞られてきたように見えるが、予断許さないのは共和党内の争いである。
ルビオ氏が撤退し、トランプ氏とケーシック氏、クルーズ氏との戦いになるが、トランプ氏が勝っても党内にも反トランプ氏感情が強い共和党では、過半数を取れなければ、7月には再投票にもつれ込むことになり、大混乱になる可能性がある。...
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3月半ばになり、米国大統領選の各党の候補は絞られてきたように見えるが、予断許さないのは共和党内の争いである。
ルビオ氏が撤退し、トランプ氏とケーシック氏、クルーズ氏との戦いになるが、トランプ氏が勝っても党内にも反トランプ氏感情が強い共和党では、過半数を取れなければ、7月には再投票にもつれ込むことになり、大混乱になる可能性がある。
そういう意味で、トランプ氏にとってオハイオ州で負けたのは痛手になってくる。
ここまで代議員を獲得したトランプ氏が、過半数の代議員をとれず、もし7月の共和党大会で他の候補に負けるようなことがあったら、トランプ氏は無所属で大統領候補に立候補する可能性も高い。
トランプ氏の暴言をオバマ大統領も「トランプ氏発言は米国のブランドに傷がつく」とまで発言し、当の共和党主流派は反トランプ氏への攻勢のタイミングを見ている。
一つには、共和党主流派は党大会までにトランプ氏に過半数を取らせないようにする作戦がある。
「自民党総裁選と同様過半数を取らないと再投票になるため票がひっくり返る可能性がある。
ポールライアン下院議長(共和党元副大統領候補)やミットロムニー元マサチューセッツ州知事(共和党元大統領候補)が出てくるかもしれない」と東京財団上席研究員・渡部恒雄氏は16日の報道ステーションで述べた。
一連の予備選挙からそうした米国の側面が見えてくる。
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北朝鮮更に挑発する(3月16日)
15日北朝鮮中央通信は、「北朝鮮が弾道ミサイルの核弾道部分の大気圏再突入模擬実験に成功した」と報じた。
金正恩第一書記は、「早期に核弾道の爆発実験と核弾道搭載可能な様々な種類の核弾道ミサイルの発射実験を行う」と述べた。
ついに北朝鮮は、ロケットの打ち上げではなく、核ミサイルの配備を急いでいることを暴露してしまった。
「大気圏再突入」時の耐熱性に対する評価が、ここでは重要になってくるが、南北朝鮮では次のようにそこが違っている。...
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15日北朝鮮中央通信は、「北朝鮮が弾道ミサイルの核弾道部分の大気圏再突入模擬実験に成功した」と報じた。
金正恩第一書記は、「早期に核弾道の爆発実験と核弾道搭載可能な様々な種類の核弾道ミサイルの発射実験を行う」と述べた。
ついに北朝鮮は、ロケットの打ち上げではなく、核ミサイルの配備を急いでいることを暴露してしまった。
「大気圏再突入」時の耐熱性に対する評価が、ここでは重要になってくるが、南北朝鮮では次のようにそこが違っている。
北朝鮮メディアは、核弾道部分の小型化と大気圏突入の信頼性が確保できたと伝えている。
韓国政府は、まだ高熱に耐えるための弾頭保護技術は持っていないと見ている。
核弾道ミサイルを成功するためには、大気圏に再突入する際に生じる6千度から7千度という高い熱から核弾頭を守り、更には耐振動や姿勢制御など、高度な技術が必要となるが、その辺の実力がはっきり見えていない。
しかし、韓国防衛省は、「現在は北朝鮮に特異動向はないとしながらも、核実験を出来る状態を維持している」と警戒している。
まだ、米国政府からのメッセージはないが、米韓軍事演習に何らかの影響を与えることは予想できる。
それにしても国際社会は、北朝鮮のこの挑発を看過していいのか。
それとも、この程度のことは折込済みなのか、日本の危険は高まっていると感じる。
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日本経済の行方と構造改革(3月15日)
内閣府がきのう発表した機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」は9347億円と前月比15.0%増となり、「鉄鋼業」や「窯業・土石製品」、「不動産業」などが大きく伸びたことなどから比較可能な2005年4月以降では最大の伸び率になった。
「非製造業」が1.0%増にとどまった一方、「製造業」は41.2%伸びている。...
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内閣府がきのう発表した機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」は9347億円と前月比15.0%増となり、「鉄鋼業」や「窯業・土石製品」、「不動産業」などが大きく伸びたことなどから比較可能な2005年4月以降では最大の伸び率になった。
「非製造業」が1.0%増にとどまった一方、「製造業」は41.2%伸びている。内閣府は基調判断を「持ち直しの動きがみられる」に据え置いた。
一方、昨日の東京株式市場は前の週末の欧米での株高や原油相場の持ち直しを受けて買いが優勢になった。東京市場への悲観論が和らぐ中、1月の機械受注統計が市場の予想を大きく上回る伸びを見せたことや、円相場が円安傾向に振れたことなども株価上昇の要因となった。
景気を浮揚するためには、個人消費を伸ばす必要があり、賃上げが重要になる。だが現在はアベノミクス効果による物価上昇に賃上げが追いつかずマイナスの状況にある。
春闘はこの水曜日が集中回答日で大詰めを迎えるが、水準はどのようになっているのか。
内閣官房参与・本田悦朗氏は、14日BSフジのプライムニュースで「今日本を囲むグローバルな経済環境、消費伸び悩みからして企業経営者のマインドはあまり良くない。いざというときのために内部留保と考える経営者が多いと予想される。」と述べている。
ここで、グローバルな経済環境とは、主に中国経済を指す。消費を伸ばすのには、賃上げと将来への経済的見通しの良さが必要とされる。
今、最大の不安定要因は中国経済の行方にある。
日本としては、この中国経済がどのような方向に行っても安定して経済成長を持続できるように、対策してゆかなければならない。
そうしたことを可能にするためには、中国が直面しているように、日本も新たな次への「構造改革が必要」な段階となっている。
(脚注)本田悦朗氏は旧大蔵省入省後、欧州復興開発銀行日本代表理事、財務省大臣官房政策評価審議官などを歴任し退官、現在駐スイス大使に就任決定している。
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緊迫する朝鮮半島(3月14日)
朝鮮中央テレビによると北朝鮮・金正恩第一書記は「敵に核攻撃を行えるよう準備すべきだ」と述べたと伝え、韓国でも核武装論が議論されるなど朝鮮半島の緊張が一段と高まっている。
最近、韓国南東部の海岸で韓国軍と米軍が海と空からの上陸訓練を行った。核やミサイル基地のような施設を破壊する訓練に重点が置かれた。
過去最大規模での米韓合同軍事演習が行われ、中東でテロ組織幹部を暗殺する作戦に従事した米軍特殊部隊も参加した。...
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朝鮮中央テレビによると北朝鮮・金正恩第一書記は「敵に核攻撃を行えるよう準備すべきだ」と述べたと伝え、韓国でも核武装論が議論されるなど朝鮮半島の緊張が一段と高まっている。
最近、韓国南東部の海岸で韓国軍と米軍が海と空からの上陸訓練を行った。核やミサイル基地のような施設を破壊する訓練に重点が置かれた。
過去最大規模での米韓合同軍事演習が行われ、中東でテロ組織幹部を暗殺する作戦に従事した米軍特殊部隊も参加した。
北朝鮮側は国営メディアを通じて「斬首計画まで強行することに対し、核戦力を中心に総攻撃を仕掛ける」と強く反発した。
韓国の有力紙・朝鮮日報は社説で核武装に関する議論の必要性を主張した。与党・セヌリ党・元裕哲院内代表は「自衛レベルの平和的な核兵器を持つ時が来た」と語った。
朝鮮日報・宋熙永主筆はコラムを発表し、その中で「日本のように核を落とされた後に千羽鶴を折っても意味はない」と論評した。
韓国では、核開発が進む北朝鮮に対して、米中がそれを止められない状況を深刻に受け止めていると見られる。
更に、国連安保理における「北朝鮮制裁決議」を纏めるにあたって、米中間で何か裏で取引が行われたのではないかという疑念と、その事実を韓国に伝えられていないという不満もくすぶっているようだ。
北朝鮮の核開発を巡って、韓国では激しい議論が巻き起こっているが、現在日本では国民、メディア、政府共に静観している。
日本は、米国の核の傘に守られて安全だと考えているのか、それとも自国の脅威を余り深刻に受け止めていないのかも知れない。冷静さは必要だが、もう少し関心を向ける必要もあるのではないだろうか。
一部3月13日に放送された「BS朝日・いま世界は」を参照した。
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