ロシアのプーチン大統領は18日、インターネット上の偽ニュースを禁止する法案に署名し、法律が成立した。同法の下では、国家などに対する不敬も取り締まりの対象となる。検察当局が偽ニュースか否かを判断するが、権力による恣意的な取り締まりにより、ネット上の言論が規制されるとの恐れも指摘されている。
『ロイター通信』『AFP通信』や地元メディアの
『タス通信』などが、同法の成立について報じている。議員らは、偽ニュースや悪意あるネット上のコメントに対する新たな措置が必要と主張し、法案は今月、上下両院で可決されていた。
同法は、事実と異なるとみなされる情報の削除要請に応じない場合、当該ウェブサイトを遮断する権限を検察当局に認めており、具体的には、検察が通信の規制・監督当局であるロシア連邦通信局にアクセス制限を依頼する。
偽情報をネット上で発信、拡散した者には、情報がもたらした影響、結果などによって、相当額の罰金が科される。他人の死亡、公共の秩序や安全の攪乱、交通やエネルギー、金融機関など社会的インフラの妨害などに繋がった場合には最も重くなり、個人には最高40万ルーブル(約70万円)、政府当局者には同90万ルーブル(約156万円)、法人には同150万ルーブル(約260万円)の罰金額となる。
同法ではまた、国家や政府当局、国民、国旗、憲法などに対し、ネット上であからさまに不敬を働いた者には、最高10万ルーブル(約17万円)の罰金、重犯の場合には、最高15日の禁錮刑が科される可能性がある。
同法案については、人権活動家らから、曖昧な文言が多く、国家組織による検閲につながる可能性があり、表現の自由を抑圧するとの批判があった。ロシア政府の人権評議会も、法案には多くの欠陥があり、権力による恣意的な利用の恐れがあるとして、大統領に署名しないよう求めていたという。
プーチン大統領は昨年の大統領選で、歴史的な通算4回目の当選を果たしたが、同大統領への支持率は、国民の年金制度改革への激しい反対や、ウクライナ問題などへの西側諸国の制裁による生活水準低下などにより急落している。そうした中、政府はメディアに対する統制を強め、国民の批判を抑えるのに躍起であるとして、活動家らは批判している。
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