欧州連合(EU)はこのほど、トランプ米政権がEUの駐米大使や代表部の外交的地位について、事前の通知なく、各国やその大使らと同等の国家級から国際機関級に格下げしていたことを明らかにした。
『CNN』『BBC』など多くのメディアが10日までに伝えたが、EUの当局者によれば、米国の格下げの措置については、ドイツのメディア「ドイチェ・ヴェレ」が、EUのオサリバン駐米大使が昨年、一部の行事に招かれなかったとして最初に報じていた。また、同大使が昨年12月、ジョージ・ブッシュ(父)元大統領の葬儀に参列した際、自分より駐在期間が短い大使も含め、全ての各国大使の後に名前を呼ばれていたという。
EU側を驚かせたのは、外交的処遇に変化がある際には、事前通知をすべきであるが、今回米国側にそうした動きが全くなかったことだ。...
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『CNN』『BBC』など多くのメディアが10日までに伝えたが、EUの当局者によれば、米国の格下げの措置については、ドイツのメディア「ドイチェ・ヴェレ」が、EUのオサリバン駐米大使が昨年、一部の行事に招かれなかったとして最初に報じていた。また、同大使が昨年12月、ジョージ・ブッシュ(父)元大統領の葬儀に参列した際、自分より駐在期間が短い大使も含め、全ての各国大使の後に名前を呼ばれていたという。
EU側を驚かせたのは、外交的処遇に変化がある際には、事前通知をすべきであるが、今回米国側にそうした動きが全くなかったことだ。EUのマヤ・コジアンチッチ報道官は、通知なく格下げがなされたことを認めた上で、米国の関係当局に対して説明を求めたと述べたが、EUと米国は引き続き良きパートナーであると強調し、詳細の説明は避けた。
外交的な処遇が格下げされると、主要な行事などに招かれる機会がなくなり、大使や外交団としての仕事が一部果たせなくなるなどの影響がある。EUは2011年に米国に代表部を設置し、オバマ政権に対し長期のロビー活動を行った結果、2016年にオサリバン大使が各国大使と同等の処遇を受ける外交的地位を得たという経緯がある。
米国務省は、格下げの決定の時期、理由や決定を下した人物、そしてなぜEU側に口頭ないし文書で事前通知をしなかったのかなどに関し、一切コメントしていない。EU側には不快感を強め、政治的な動機に基づくものとして批判する声も出ている。
トランプ政権の発足以来、安全保障、貿易関係、イランの核合意、気候変動に係わるパリ協定への支持など数多くの問題をめぐり、米国とEUとの関係は悪化している。さらに、トランプ大統領や政権の高官らはEUをたびたび批判し、英国のEUからの離脱を強く支持している他、EUの存在価値自体についても、公然と疑問視する発言さえしている。
こうしたホワイトハウスとEUとの緊張関係の中で、そしてトランプ政権の発足以来2年が経過した現時点で本措置が取られたことについて、各国の外交官らは懲罰的な動きであると批判している。「明らかに政治的であり、率直に言ってアマチュアだ。プロのやることではない。」とあるEU以外の国の外交官は述べた。
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